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問題76 障害されると猿手を起こすのはどれか。
1.腋窩神経
2.尺骨神経
3.正中神経
4.橈骨神経
解答3
解説
1.× 腋窩神経とは、腕神経叢から出る上腕部に走行する末梢神経で、上肢の背側を走行し、上腕部で、停止する。後神経束から分岐する。上腕の上外側の感覚と、小円筋と三角筋の筋肉を支配する。腋窩神経麻痺は、肩関節周辺の骨折や脱臼、肩関節の打撲、局所の神経圧迫、不良肢位、手術侵襲などで伴いやすい。
2.× 尺骨神経の障害により、手掌・背の尺側に感覚障害やFroment徴候陽性、鷲手がみられる。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。鷲手とは、尺骨神経麻痺により手内筋が萎縮し、とくに環指と小指の付け根の関節(MP関節、中手指骨関節)が過伸展する一方、指先の関節(DIP関節、遠位指節間関節)と中央の関節(PIP関節、近位指節間関節)が屈曲した状態である。
3.〇 正しい。正中神経は、障害されると猿手を起こす。猿手とは、母指球が萎縮し、母指が内転位となり、母指とその他の手指との対立運動が不能となる状態である。他にも、正中神経の障害により、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
4.× 橈骨神経の障害により、母指背側の感覚障害と上腕三頭筋・腕橈骨筋・長、短橈側手根伸筋、総指伸筋などの伸筋群の麻痺(下垂手)を認める。感覚領域は、親指から中指の背側、手背の橈側(親指側)、前腕の背側、上腕の背側と外側である。
問題77 鼻涙管の開口部はどれか。
1.最上鼻道
2.上鼻道
3.中鼻道
4.下鼻道
解答4
解説
(※図引用:「illustAC様」)
1.× 最上鼻道は、主に嗅覚を担当している。
2.× 上鼻道は、後篩骨洞に開口している。
3.× 中鼻道は、前頭洞の鼻腔への開口部位である。中鼻道は鼻中隔と中鼻甲介の間にあり、副鼻腔の排出路として機能している。
4.〇 正しい。下鼻道は、鼻涙管の開口部である。鼻涙管とは、内眼角(目頭)にある2つの小さな穴(涙点)から、骨の中を通り鼻腔内へと抜ける管で、涙が排泄されるための通り道である。
嗅覚は鼻腔上部の嗅部の粘膜上皮(嗅上皮)の嗅細胞で受容される。嗅細胞の中枢性突起が嗅神経となり、篩骨篩板を通って嗅球に入る。嗅球から後方に向かって嗅索が走り、その線維は大部分外側嗅条を通って海馬旁回の嗅覚野に達する。
①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球→④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)に達する。
・一次中枢:①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球まで。
・二次中枢:④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)
問題78 味覚に関与しないのはどれか。
1.顔面神経
2.舌咽神経
3.舌下神経
4.迷走神経
解答3
解説
【味覚】顔面神経:舌前2/3、舌咽神経:後1/3
【知覚(痛覚)】三叉神経:前2/3、舌咽神経:後1/3
1.〇 顔面神経は、舌の前2/3の味覚を伝達する。顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。
2.〇 舌咽神経は、舌の後1/3の味覚を伝達する。舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。
3.× 舌下神経は、味覚に関与しない。舌下神経とは、舌の運動を支配する運動神経である。
4.〇 迷走神経は、咽頭・喉頭の味覚を伝達する。また、軟口蓋の味覚は大錐体神経が伝達する。迷走神経とは、感覚神経・運動神経の一つである。嚥下運動や声帯の運動、耳介後方の感覚などに作用する。内臓(胃、小腸、大腸や心臓、血管など)に多く分布し、体内の環境をコントロールしている。刺激すると徐脈、咳、嘔吐などを生じる。強い痛みや精神的ショックなどが原因で、迷走神経が過剰に反応すると、心拍数や血圧の低下、失神などを引き起こす(迷走神経反射)。
嗅覚は鼻腔上部の嗅部の粘膜上皮(嗅上皮)の嗅細胞で受容される。嗅細胞の中枢性突起が嗅神経となり、篩骨篩板を通って嗅球に入る。嗅球から後方に向かって嗅索が走り、その線維は大部分外側嗅条を通って海馬旁回の嗅覚野に達する。
①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球→④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)に達する。
・一次中枢:①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球まで。
・二次中枢:④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)
(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)
問題79 写真を下に示す。拍動を触れているのはどれか。
1.前脛骨動脈
2.後脛骨動脈
3.弓状動脈
4.足背動脈
解答2
解説
1.× 前脛骨動脈とは、下腿の前面を走行し、足背動脈に分岐する動脈である。外腸骨動脈→大腿動脈→膝窩動脈→①前脛骨動脈(→足背動脈)、②後脛骨動脈(→足底動脈)となる。
2.〇 後脛骨動脈の拍動を触れている。下腿深部を走行する膝窩動脈は、下腿の後上面で①前脛骨動脈と②後脛骨動脈に分かれる。前脛骨動脈はそのまま下腿の前面を下行し、足の甲に血液を供給する足背動脈となる。
3.× 弓状動脈とは、足背部を栄養する動脈である。足背動脈と外側足根動脈が、弓状動脈を形成する。
4.× 足背動脈とは、足の甲に位置で、拍動を感じとれる動脈である。足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知する。
問題80 第3腰椎の高さの腹部CT像を下に示す。矢印で示す筋はどれか。
1.腰方形筋
2.大腰筋
3.腸肋筋
4.腹直筋
解答2
解説
1.× 腰方形筋の【起始】腸骨稜と腸腰靭帯、腰椎肋骨突起、【停止】第12肋骨、腰椎肋骨突起、【作用】腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)である。
2.〇 正しい。大腰筋が矢印で示す筋である。腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋の2筋からなる。腸骨筋の【起始】腸骨窩全体、【停止】大腿骨の小転子である。大腰筋の【起始】第12腰椎~第4腰椎の椎体と椎間円板、すべての腰椎の肋骨突起、第12肋骨、【停止】大腿骨の小転子である。
3.× 腸肋筋は脊柱起立筋の一つである。脊柱起立筋は、腸肋筋、最長筋、棘筋があげられる。腸肋筋(腰腸肋筋、胸腸肋筋、頸腸肋筋)の作用は、①両側が作用すると脊柱を反らせ、肋骨を引き下げる、②片側が働けば体を同側に曲げる。ちなみに、【起始】腸骨稜および仙骨後面、第12~3(4)肋骨の肋骨角上縁、【停止】第12~1肋骨の肋骨角(起始のすぐ外側)および第7~4(3)頸椎の横突起の後結節である。
4.× 腹直筋の【起始】恥骨結合と恥骨結節との間、【停止】第5~第7肋軟骨、剣状突起の前面、【作用】胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。