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問題81 関節リウマチによる変形で最も適切なのはどれか。
1.反張膝
2.翼状肩甲
3.環軸椎亜脱臼
4.内反尖足
解答3
解説
①環軸椎亜脱臼、②肩関節可動域制限、③肘関節屈曲拘縮、④手関節尺側偏位、⑤手指変形(PIPやMP関節)、⑥股関節屈曲拘縮、⑦膝関節内外反変形・屈曲拘縮、⑨足・足趾変形などがある。
1.× 膝は、「反張膝」ではなく屈曲拘縮が起こる。他にも、膝関節において内・外反変形が起こりやすい。ちなみに、反張膝とは、大腿四頭筋の筋力低下・片麻痺などで起こる。
2.× 翼状肩甲とは、肩甲骨内側縁が後方に突出して鳥の翼のような形状をとることをいう。原因として、長胸神経の障害である。長胸神経支配の前鋸筋麻痺があげられる。
3.〇 正しい。環軸椎亜脱臼は、関節リウマチによる変形である。環軸椎亜脱臼とは、環椎と軸椎歯突起の結合が環椎横靭帯の炎症や歯突起の変形により緩むことで生じる脱臼のことである。関節リウマチの死因となることもある。頸部屈曲を行わないように生活指導をする。
4.× 足部は、「内反足」ではなく外反扁平足が起こる。なぜなら、足趾関節炎が長期にわたると、外反母趾や内反小趾や鷲爪変形や足趾の重なるため。それに伴って胼胝・鶏眼形成が生じ、痛みや感染の原因になる。ちなみに、内反足は、脳血管障害による痙性で生じる。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
問題82 胸郭出口症候群に最も関与するのはどれか。
1.胸骨
2.大胸筋
3.第1肋骨
4.胸鎖乳突筋
解答3
解説
胸郭出口は、鎖骨、第1肋骨、前・中斜角筋で構成される。したがって、選択肢3.第1肋骨が胸郭出口症候群に最も関与する。
1~2.4.× 胸骨/大胸筋/胸鎖乳突筋よりも胸郭出口症候群に関与するものがほかにある。
胸郭出口症候群は、胸郭出口付近における神経と動静脈の圧迫症状を総称したものである。症状として、上肢のしびれ、脱力感、冷感などが出現する。胸郭出口は、鎖骨、第1肋骨、前・中斜角筋で構成される。原因として、①前斜角筋と中斜角筋の間で圧迫される斜角筋症候群、②鎖骨と第一肋骨の間で圧迫される肋鎖症候群、③小胸筋を通過するときに圧迫される小胸筋症候群、④頭肋で圧迫される頸肋症候群などがある。
次の文で示す症例について、問題83、問題84の問いに答えよ。
「3歳の女児。滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。近医を受診、右肘部変形があり、肘部前面の皮下出血と示指・中指のしびれが認められた。」
問題83 最も考えられる診断はどれか。
1.上腕骨外科頸骨折
2.上腕骨骨幹部骨折
3.上腕骨顆上骨折
4.上腕骨外顆骨折
解答3
解説
・3歳の女児。
・滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。
・受診:右肘部変形、肘部前面の皮下出血、示指・中指のしびれ。
→本症例は、上腕骨顆上骨折が疑われる。
1.× 上腕骨外科頸骨折より優先されるものがほかにある。なぜなら、本症例に右肘部変形がみられるため。上腕骨外科頸は、肩に近い部位である。ちなみに、上腕骨外科頸骨折とは、上腕骨の骨折の中で、特に高齢者に多く発生する骨折の一つであり、骨頭から結節部にかけての太い部分から骨幹部に移行する部位で発生する。老年期とは、一般的に65歳以上をいう。
2.× 上腕骨骨幹部骨折より優先されるものがほかにある。なぜなら、本症例に右肘部変形がみられるため。上腕骨骨幹部は、上腕骨の中間付近の部位である。ちなみに、上腕骨骨幹部骨折とは、上腕部での疼痛、変形、不安定性が出現する。骨折した部分の骨が皮膚を突き破る開放骨折になることもある。また、指先がつめたい、血色が悪いなどの症状があれば血管損傷なども考えられる。
3.〇 正しい。上腕骨顆上骨折が最も考えられる診断である。上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
4.× 上腕骨外顆骨折より優先されるものがほかにある。なぜなら、本症例に肘部前面の皮下出血がみられるため。上腕骨外顆は肘部の外側である。上腕骨外顆骨折とは、①pull off型(肘伸展位で手掌を衝いて転倒し、肘に内転力が働き、前腕伸筋群の牽引作用により発生)と②push off型(肘伸展位または軽度屈曲位、前腕回内位で手を衝き転倒して発生)するタイプがある。
次の文で示す症例について、問題83、問題84の問いに答えよ。
「3歳の女児。滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。近医を受診、右肘部変形があり、肘部前面の皮下出血と示指・中指のしびれが認められた。」
問題84 最も考えられる障害神経はどれか。
1.腋窩神経
2.正中神経
3.筋皮神経
4.尺骨神経
解答2
解説
・3歳の女児。
・滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。
・受診:右肘部変形、肘部前面の皮下出血、示指・中指のしびれ。
→本症例は、上腕骨顆上骨折が疑われる。上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
1.× 腋窩神経麻痺は、肩関節脱臼で合併しやすい。小円筋の支配神経であるため、肩関節外旋不全は生じるが、図の楕円部に圧痛と筋萎縮は、小円筋から離れているため、腋窩神経損傷は考えにくい。
2.〇 正しい。正中神経が最も考えられる障害神経である。正中神経麻痺とは、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる麻痺である。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
3.× 筋皮神経とは、頚から出た腕神経の束から枝分かれした神経である。主に、上腕二頭筋と前腕外側の感覚を司る。
4.× 尺骨神経麻痺とは、尺骨神経損傷により手掌・背の尺側に感覚障害やFroment徴候陽性、鷲手がみられる麻痺である。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。Guyon管を通るものとして、①尺骨神経、②尺骨動脈である。
次の文で示す症例について、問題85、問題86の問いに答えよ。
「60歳の女性。数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認めるようになり、近医にて診断を受け投薬が開始された。」
問題85 最もよくみられる症候はどれか。
1.仮面様顔貌
2.測定障害
3.眼瞼下垂
4.痙縮
解答1
解説
・60歳の女性。
・数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認める。
・近医にて診断を受け投薬が開始された。
→本症例は、パーキンソン病が疑われる。パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
1.〇 正しい。仮面様顔貌は、パーキンソン病に最もよくみられる症候である。仮面様顔貌とは、表情が乏しく、仮面をつけているような顔のこと。これは、顔面の筋肉の動きが減少するために起こる。
2.× 測定障害は、小脳障害に関連する症状である。ちなみに、測定障害とは、深部覚障害がないにも関わらず運動が、①測定過大(目的点を越える)、②測定過小(目的点に達しない)が起こることである。運動変換障害は、鼻指鼻試験や踵膝試験などでみられる。
3.× 眼瞼下垂は、神経筋接合部の障害(例:重症筋無力症)などに関連する症状である。
4.× 痙縮は、上位運動ニューロン障害(例:脳卒中)などに関連する症状である。痙縮は、錐体路の上位運動ニューロン障害による損傷高位以下の脊髄前角細胞(下位運動ニューロン)の活動性が亢進し、麻痺筋の筋紡錘からの求心性刺激が増強することによって生じる。その結果、意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手や足が勝手につっぱったり曲がってしまったりしてしまう状態となる。このため、前角細胞以下の障害では痙縮は出現しない。
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)