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問題16.大腿骨頸部内側型骨折が難治性になる理由で誤っているのはどれか。
1.骨膜を欠く。
2.骨頭が壊死しやすい。
3.骨折面に牽引力が作用する。
4.骨萎縮が強い。
解答3
解説
1.〇 正しい。骨膜を欠く。なぜなら、大腿骨頸部内側部は骨膜を欠き、仮骨形成が起こりにくいため。
・骨膜とは、骨の表面を覆っている膜のことをいい、骨組織の成長と修復を支える重要な細胞を含んでいる。骨幹の表面を覆うことで、骨を保護し、治癒する役割を果たす。
2.〇 正しい。骨頭が壊死しやすい。なぜなら、大腿骨頭の血流が途絶しやすいため。骨癒合には、骨細胞への酸素と栄養素の供給が必要である。これらは血流によって骨組織に運ばれる。
3.× 骨折面には、「牽引力」ではなく圧縮力(せん断力)が作用する。なぜなら、大腿骨頸部内側骨折は、体重負荷がかかるため。力学的な安定性を保たれていない場合、骨癒合が阻害される。
4.〇 正しい。骨萎縮が強い。なぜなら、大腿骨頸部骨折は高齢女性に多く、骨密度低下により骨梁構造が脆弱化しているため。したがって、固定力が得にくく骨癒合が遅れやすい。
問題17.骨折転位を角度で表すのはどれか。
1.短縮転位
2.側方転位
3.屈曲転位
4.離開転位
解答3
解説
1.× 短縮転位とは、すれ違うように移動し重なったものをいう。したがって、距離で表す転位である。
2.× 側方転位とは、骨折によって分断された骨が側方に平行移動したものをいう。したがって、距離で表す転位である。
3.〇 正しい。屈曲転位は、骨折転位を角度で表す。屈曲転位とは、傾くように曲がって角度がついたものをいう。
4.× 離開転位とは、骨片が離れるように移動したものをいう。したがって、距離で表す転位である。
転位とは、骨折などで骨片が本来の位置からずれた状態にあることをいう。骨転位ともいう。骨折時の衝撃で起こる転位を一次性転位と呼び、骨折後の運搬時などの力で起こる転位を二次性転位と呼ぶ。転位は、形状によっても分類される。完全骨折の場合、一カ所の骨折でも複数種類の転位が見られることが多い。転位の見られる骨折の治療では、整復によって骨を本来の位置に戻してから固定する必要がある。
①側方転位とは、骨折によって分断された骨が側方に平行移動したものをいう。
②屈曲転位とは、傾くように曲がって角度がついたものをいう。
③捻転転位とは、ねじれるように軸回転したものをいう。
④延長転位とは、離れるように動いたものをいう。
⑤短縮転位とは、すれ違うように移動し重なったものをいう。
問題18.脱臼と判断できるのはどれか。
1.関節裂隙に沿った限局性圧痛がある。
2.関節腔が空虚である。
3.関節周径が健側に比べて大きくなっている。
4.関節可動域が健側に比べて小さくなっている。
解答2
解説
①弾発性固定:脱臼した位置で関節が動かなくなる状態をいう。患部を押しても反発するか、動いてもまた脱臼した位置に戻ろうとする特徴がある。
②変形:関節が元の位置から逸脱するために、見た目にも変形がみられる。一度脱臼すると、関節の構造が破壊されてしまったり、靭帯や関節包が緩んでしまったりすることで不安定性が残る可能性がある。特に肩関節は、再負傷しやすいといわれている(反復性脱臼)。
1.× 関節裂隙に沿った限局性圧痛があるのは、「関節損傷(滑膜炎や関節捻挫など)」である。なぜなら、脱臼では関節面が完全にずれているため、圧痛が生じる部位は、「裂隙」ではなく、ずれた骨頭や関節包の緊張部に出現するため。
2.〇 正しい。関節腔が空虚である。なぜなら、脱臼とは、骨の関節面が正常な位置関係を失い、接触していない状態であるため。例えば、骨頭が関節面から逸脱することで、触診すると「関節が空虚」に感じられる。
・空虚とは、空になっている状態を指し、押すとペコっと凹む。股関節後方脱臼によって、大腿骨頭が股関節窩から離れることにより、股関節窩が空になる。
3.× 関節周径が健側に比べて大きくなっているのは、「炎症(腫脹)」である。炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
4.× 関節可動域が健側に比べて小さくなっていることは、脱臼特有の所見ではない。なぜなら、関節可動域制限は、多くの関節疾患でみられるため。脱臼では、確かに関節運動が制限されるが、これは骨折・炎症・疼痛による制限とも区別がつかない。
問題19.靭帯の第1度損傷で受傷直後に確認できるのはどれか。
1.局所の陥凹
2.皮下出血斑の出現
3.不安定性の徒手検査陽性
4.自動運動の関節可動域減少
解答4
解説
グレードⅠ:靭帯が引き延ばされた状態
グレードⅡ:靭帯が部分断裂した状態
グレードⅢ:靭帯が完全断裂した状態
グレードⅢの「靭帯の完全断裂」の場合にはもっとも重傷で、外くるぶしが腫れて血腫が溜まり、痛みが強くなるので歩行は困難となる。
1.× 局所の陥凹は、第3度靭帯損傷でみられる。なぜなら、筋肉や腱が完全に断裂した場合、断端が離れて皮下に陥凹を形成するため。
2.× 皮下出血斑の出現は、受傷直後には確認できない。なぜなら、皮下出血は、受傷後数時間〜数日で出現するため。また、第1度損傷では出血量自体が少なく、皮下出血斑が明確に現れないことも多い。
・皮下出血斑とは、皮下出血(内出血)したときに紫色のアザのことである。紫斑病ともいう。内出血が起こるメカニズムは、何かにぶつかるなど外部からの衝撃が身体に加わることにより皮膚や皮下の組織が壊れてしまい出血が身体の内部だけに溜まることで起こる。つまり、原因としては転倒などによる打撲や打ち身、捻挫が多く、ひどい肉離れなどでみられる。
3.× 不安定性の徒手検査陽性は、第3度靭帯損傷でみられる。なぜなら、不安定性が出現するのは、靭帯が部分断裂(第2度)または完全断裂(第3度)のときであるため。第1度損傷は靭帯線維の微細な断裂にとどまり、靭帯の連続性と張力が保たれていることが多い。
4.〇 正しい。自動運動の関節可動域減少は、靭帯の第1度損傷で受傷直後に確認できる。なぜなら、第1度靭帯損傷では、疼痛により自動運動の可動域が一時的に制限されるため。靭帯の軽度損傷により関節包周囲に炎症や痛みが生じると、疼痛防御反応によって自動運動の関節可動域減少が減少する。
問題20.骨折の治療で手術療法と比較して保存療法の特徴となるのはどれか。
1.治療期間が短い。
2.感染の危険性は低い。
3.解剖学的整復位を得やすい。
4.早期から運動療法ができる。
解答2
解説
1.× 治療期間が短いのは、「手術療法」の特徴である。なぜなら、保存療法では、自然治癒による骨癒合を待つため。また、固定期間が長くなることで関節拘縮や筋萎縮を起こすこともある。一方、手術療法(観血的整復固定術)は、早期に骨片を強固に固定できるため、リハビリや荷重を早く開始でき、治療期間が短縮されることが多い。
2.〇 正しい。感染の危険性は低いのは、保存療法の特徴である。なぜなら、保存療法は、非観血的治療(皮膚を切開しない)であるため。したがって、病原菌が侵入する機会がほとんどない。一方、手術療法(観血的整復固定術)は、手術創や金属固定具の感染(骨髄炎・創感染)のリスクを伴う。
3.× 解剖学的整復位を得やすいのは、「手術療法」の特徴である。なぜなら、保存療法では外からの牽引や手による整復で骨片を合わせるため。したがって、完全に元の位置に戻す(解剖学的整復)は難しい。
・解剖学的整復とは、骨折部をできるだけ元通りのかたちで癒合することである。
4.× 早期から運動療法ができるのは、「手術療法」の特徴である。なぜなら、手術療法では強固な内固定を得られるため。したがって、、早期離床・運動療法が可能である。
国試オタク 