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問題26.上腕骨顆上骨折で正しいのはどれか。
1.骨端線離開である。
2.多くは遠位骨片が前方に転位する。
3.上腕軸に対しヒューター線が傾斜する。
4.健側と比べ前腕長が短縮する。
解答3
解説
上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
・上腕骨顆上伸展型骨折の後遺症は、フォルクマン拘縮、骨化性筋炎、可動域制限、内反肘などがみられる。内反肘により運搬角の減少が伴いやすい。
1.× 骨端線離開であるのは、リトルリーグ肩にみられる症状である。顆上骨折は骨端線のすぐ近く(骨幹端部)で起こる骨折であり、骨端線そのものは関与しない。
・上腕骨近位骨端線離開とは、リトルリーグ肩とも呼ばれ、成長期の投球選手に特有の障害である。成長途中の骨の端にある骨端線(成長軟骨)は、物理的に脆弱なため、繰り返しの投球動作による牽引力や圧縮力によってストレスがかかり、骨端線が損傷したり、離開したりする。骨端線病変では、関節自体には問題がなく、関節の動きでは痛まないことが多い。
・骨端線離開とは、骨端線骨折ともいい、骨端線閉鎖前の成長期に繰り返し骨端線に負担がかかることで、骨同士が離れてしまう病態のことである。好発年齢は10歳〜15歳と言われる。ちなみに、骨端線とは、成長期に見られる骨を成長させる部分のことで、力学的に弱い部分である。
2.× 多くは遠位骨片が、「前方」ではなく後方に転位する。なぜなら、転倒して手をつくと肘関節が過伸展位となり、上腕骨遠位端に後方へ力がかかるため。
3.〇 正しい。上腕軸に対しヒューター線が傾斜する。ただし、ヒューター線(自体)が乱れるわけではない。
・ヒューター三角とは、肘関節屈曲位で内側上顆・外側上顆・肘頭を結ぶ二等辺三角形のことである。
4.× 健側と比べ、「前腕長」ではなく上腕長が短縮する。なぜなら、骨折部が重なり合うように、後方へ転位(ずれ)するため。
問題27.肩鎖関節上方脱臼で正しいのはどれか。
1.前方脱臼に次いで多い。
2.女性に多い。
3.第Ⅱ度損傷は鳥口鎖骨靭帯断裂を伴う。
4.ピアノキー症状がみられる。
解答4
解説
1.× 「前方脱臼に次いで多い」ではなく、上方脱臼が最も多い。肩鎖関節上方脱臼は、肩関節全体の脱臼の約9割を占める。
2.× 「女性」ではなく男性に多い。なぜなら、原因の多くがスポーツや労働などの外傷(転倒・肩部打撲)によるため。
3.× 「第Ⅱ」ではなく第Ⅲ度損傷は鳥口鎖骨靭帯断裂を伴う。
第一度:関節包・肩鎖靭帯の部分断裂。関節の安定性は良好。
第二度:関節包・肩鎖靭帯は完全断裂。関節は不安定。鎖骨外端は上方転位。
第三度:関節包・肩鎖靭帯・烏口鎖骨靭帯完全断裂。鎖骨外端下面上方転位。
4.〇 正しい。ピアノキー症状がみられる。肩鎖関節上方脱臼時のピアノキー症状は、肩鎖関節脱臼では肩鎖関節のズレにより、鎖骨の外側の端が皮膚を持ち上げて階段状に飛び出して見えることである。上方に持ち上がった鎖骨の端を上から押すとピアノの鍵盤のように上下に動くこと。肩鎖関節の安定性が損なわれていることを示している。
問題28.小児肘内障で整復の確認に使われないのはどれか。
1.単純エックス線像による整復の確認
2.他動的な回外運動での抵抗感消失
3.整復操作中のクリック音触知
4.自発的な患肢使用
解答1
解説
肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。5歳くらいまでの子どもに発症する。 輪状靭帯の付着がしっかりする6歳以降では起こりにくい。
1.× 単純エックス線像による整復の確認は、小児肘内障で整復の確認に使われない。なぜなら、肘内障(橈骨頭亜脱臼)は、靭帯性の軽微な亜脱臼であり、X線では異常がほとんど写らないため。
2.〇 他動的な回外運動での抵抗感消失は、小児肘内障で整復の確認に使われる。なぜなら、整復前は輪状靭帯に橈骨頭が引っかかっており、回外運動に抵抗感や疼痛があるが、整復により橈骨頭が元の位置に戻るとそれが解消するため。
3.〇 整復操作中のクリック音触知は、小児肘内障で整復の確認に使われる。なぜなら、橈骨頭が輪状靭帯の中に戻る際に「ポン」または「クリック」とした感触を伴うため。
4.〇 自発的な患肢使用は、小児肘内障で整復の確認に使われる。なぜなら、整復が成功すると疼痛が急速に軽減し、患児は数分以内に腕を普通に使い始めるため。
・肘内障の症状として、受傷後は、突然に泣き出し肘関節部に激痛を訴え、患肢に触れようとすると嫌がる。他にも、患肢は肘伸展位、前腕回内位で下垂し、健側の手で肘以外の部分を支える様子がある。また、他動的に肘関節屈曲または前腕回外位させると疼痛が増大する(バネ様抵抗感)。局所の腫脹、発赤は認めないことがあげられる。
問題29.大腿骨頸部内側型骨折で正しいのはどれか。
1.若年者に多い。
2.外転型が多い。
3.転倒発生が多い。
4.腫脹が強い。
解答3
解説
1.× 「若年者」ではなく高齢者に多い。なぜなら、大腿骨頸部内側型骨折の背景には、骨粗鬆症があるため。
・骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。
2.× 「外転型」ではなく内転型が多い。なぜなら、受傷機転が転倒などの外的エネルギーによるため。転倒時に体幹が内側へ倒れ、大腿骨頸部が内転位で受傷することが多い。
3.〇 正しい。転倒発生が多い。なぜなら、高齢者では骨粗鬆症によって骨強度が低下しており、軽い転倒でも大腿骨頸部(特に内側部)に剪断力が加わることで容易に骨折するため。
4.× 腫脹が強い「とはいえない」。なぜなら、骨折部位が関節包内(関節内骨折)であるため。一方、関節包外骨折(例:転子部骨折)では、出血が筋間に広がるため腫脹が顕著といえる。
問題30.傷害と検査との組合せで正しいのはどれか。
1.前十字靭帯損傷:サギングサイン
2.後十字靭帯損傷:ワトソン・ジョーンズテスト
3.半月板損傷:ラックマンテスト
4.腸脛靭帯炎:グラスピングテスト
解答4
解説
1.× サギングサインは、「前十字靭帯損傷」ではなく後十字靭帯損傷である。
・サギングとは、後十字靭帯損傷の検査である。膝屈曲位での下腿の後方落ち込み現象を観察する。
2.× ワトソン・ジョーンズテストは、「後十字靭帯損傷」ではなく半月板損傷である。
・ワトソン・ジョーンズテストは、半月板損傷の検査である。 背臥位になってもらい、右手で踵骨を持ち、左手で膝を固定した状態で、右手で軽くトントンと足を上げる。痛みの誘発で陽性となる。
3.× ラックマンテストは、「半月板損傷」ではなく前十字靭帯損傷である。
・ラックマンテスト(Lachmanテスト)は、前十字靭帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。
4.〇 正しい。腸脛靭帯炎:グラスピングテスト
・Graspingテスト(グラスピングテスト)で確認できる。やり方は、腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。腸脛靱帯炎の原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生する。 特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。
国試オタク 