第21回(H25年)柔道整復師国家試験 解説【午後66~70】

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問題66.開放性骨折で正しいのはどれか。

1.創外に骨が露出している骨折をいう。
2.高度な粉砕骨折である。
3.外固定は禁忌である。
4.goldenhour内の感染防止が重要である。

解答

解説

開放性骨折とは?

開放性骨折とは、骨折した骨の端が皮膚を突き破って露出したりして、骨折部とつながるきずが皮膚にある骨折である。

1.× 創外に「骨」ではなく骨折部が、露出している骨折をいう。例えば、骨折した部位は皮膚内にとどまっているものの、骨折部位以外の骨が外に出てしまった場合、解放骨折といわない。

2.× 高度な粉砕骨折「ではない」。なぜなら、開放性骨折は「骨折部が外界と交通しているかどうか」で分類されるものであるため。
・粉砕骨折とは、ばらばらに折れるような折れ方した骨折のことである。

3.× 外固定(創外固定)は、「禁忌」ではなく適応であることが多い。創外固定は、創部を避けて安定化できる。一方、内固定(プレートや髄内釘)を早期に行うと感染リスクが高くなるため、初期は避けることが多い。

4.〇 正しい。golden hour内の感染防止が重要である。なぜなら、開放性骨折は外界と交通しているため、細菌が骨髄や軟部組織に侵入しやすく、感染(骨髄炎など)を起こしやすいため。この時間内に十分な洗浄・デブリードマン(壊死組織除去)・抗菌薬投与を行うことで感染率を大幅に低下させられる。
・golden hour(ゴールデンアワー)とは、受傷後約6時間以内の治療介入が感染防止に極めて重要とされる時間帯を指す。

 

 

 

 

 

問題67.単純エックス線像により確定診断がしやすい骨折はどれか。

1.骨挫傷
2.竹節状骨折
3.骨軟骨骨折
4.ソルターハリスX型骨折

解答

解説

エックス検査とは?

単純エックス線検査とは、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる。骨折や肺炎、腸閉塞、マンモグラフィなどで有用である。

1.× 骨挫傷より優先されるものが他にある。なぜなら、骨挫傷は、骨皮質(骨の外側の硬い部分)ではなく、骨髄内部の微細な出血や浮腫(骨内損傷)であるため。したがって、X線には異常が映らないことが多い。
・骨挫傷とは、スポーツによる外傷や交通事故、関節同士がぶつかることなど外部からの衝撃が原因で骨内部に損傷をきたした状態である。不完全骨折までいかず、骨の内出血を起こしている状態である。

2.〇 正しい。竹節状骨折は、単純エックス線像により確定診断がしやすい骨折である。なぜなら、骨自体の形状に変化が生じているため。
・竹節状骨折(不全骨折)とは、隆起骨折や花托(かたく)骨折とも呼ばれる。長軸の方向に圧迫された場合、部分的に骨が押しつぶされて、骨折した部分が竹の節のように輪状に隆起する骨折である。小児の橈骨遠位端骨折に多く見られる。

3.× 骨軟骨骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、骨軟骨骨折は、関節面の軟骨とそれに接するごく薄い骨層が剥離する骨折であるため。したがって、X線で骨片が小さい場合は識別が難しい。

4.× ソルターハリスX型骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、ソルターハリス分類は、骨端線(成長軟骨板)損傷の分類であるため。

 

Salter-Harris分類とは?

ソルター・ハリス分類(Salter-Harris分類)とは、成長板(骨端線)の骨折を評価するための一般的な分類法である。小児は大人と違って骨端に軟骨が挟まっており、そこから骨が成長する。タイプⅡは最も一般的なタイプで、成長板と骨端の一部が関与するが、多くの場合、完全に治癒し、長期的な成長障害を引き起こすことは少ない。Salter-Harris法では異なる型に分類される。骨折がⅠ型からⅤ型に進むに従い、成長障害のリスクが高まる。

タイプⅠ:骨折線が成長板をまっすぐ通って進む。骨端線の完全分離である。
タイプⅡ:骨折線が成長板の上方へ伸びる、または成長板から離れて伸びる。骨端線の完全分離と骨幹端の三角骨片である。
タイプⅢ:骨折線が成長板の下方へ伸びる。骨端線の分離と骨端の骨片である。
タイプⅣ:骨折線が骨幹端、成長板、および骨端を通過して伸びる。骨幹端から関節軟骨にわたり縦断されたものである。
タイプⅤ:成長板が押しつぶされている。骨端軟骨が圧挫されたものである。
成長板だけでなく骨端も含む損傷(タイプⅢ~Ⅳ)または成長板を圧縮する損傷(タイプⅤ)は、予後不良である。

 

 

 

 

 

問題68.過剰仮骨形成の結果により生じるのはどれか。

1.異常可動性
2.脂肪塞栓
3.深部静脈血栓
4.関節運動障害

解答

解説

過剰仮骨形成とは?

過剰仮骨形成とは、粉砕骨折、大血腫の存在、骨膜の広範な剥離、早期かつ過剰に行われた後療法などの仮骨形成を刺激する状態が持続した場合に発生する。血腫が消失した場合は仮骨形成を遷延させる原因となり遷延仮骨や偽関節の原因となる。

1.× 異常可動性は、偽関節(非癒合)となった場合に生じる。なぜなら、過剰仮骨形成は「骨癒合が過剰に進んだ状態」であり、逆に骨が硬くなりすぎる方向に働くため。したがって、動きが増えるのではなく制限される。
・偽関節とは、骨折部位の癒合がうまくいかず、骨折部が可動性を持つ状態のことである。偽関節が生じやすい部位は、①上腕骨解剖頸、②手の舟状骨、③大腿骨頸部、④脛骨中下1/3、⑤距骨である。ちなみに、開放骨折・粉砕骨折・整復後も離開が生じている骨折では、部位によらず骨癒合は遷延しやすい。

2.× 脂肪塞栓は、仮骨形成と無関係である。脂肪塞栓は、骨髄内の脂肪が血中に流入して生じる急性合併症である。
・脂肪塞栓とは、脂肪細胞に血管を塞栓された臓器が虚血による不全を起こす事が本症の病態である。塞栓される臓器によって様々な臓器不全を起こす。外傷時に脂質代謝が変化し血液内の脂肪が脂肪滴になるため、あるいは外傷部分の血管から骨髄などの脂肪が入り込むためと考えられている。 全身性の脂肪塞栓症の原因としては、骨折の他に、皮下脂肪組織の挫滅、脂肪肝による障害、急性膵炎、減圧症、広範囲の火傷、糖尿病、骨髄炎などがある。

3.× 深部静脈血栓は、仮骨形成と無関係である。深部静脈血栓は、長期臥床や下肢の静脈うっ滞が原因である。
・深部静脈血栓とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう状態である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。ほかのリスク因子として、脱水や肥満、化学療法などがあげられる。

4.〇 正しい。関節運動障害は、過剰仮骨形成の結果により生じる。なぜなら、過剰仮骨形成は、関節周囲で骨組織が増殖し、運動制限を引き起こすため。
・仮骨とは、骨折した場合に折れたり欠損したりした骨の代わりに、新たにできる不完全な骨組織のことである。

 

 

 

 

 

問題69.外傷とその形態指標との組合せで正しいのはどれか。

1.肘内側靭帯損傷:運搬角の減少
2.踵骨骨折:ベーラー角の増大
3.足関節内返し捻挫:距骨傾斜角の増大
4.大腿骨頸部外転型骨折:頸体角の減少

解答

解説
1.× 肘内側靭帯損傷は、運搬角の「減少」ではなく増大する。なぜなら、内側靭帯(尺側側副靭帯)が損傷すると肘関節が外反方向に不安定となるため。
・運搬角とは、肘角ともいい、上腕骨長軸と前腕骨長軸とがなす角度をいう。

2.× 踵骨骨折は、ベーラー角の「増大」ではなく減少する。なぜなら、踵骨骨折により踵骨隆起が沈下、踵骨の上方頂点が上へ偏位するため。
・ベーラー角とは、X線足部側面像で踵骨隆起の上端と踵骨の上方頂点を結ぶ線、および、踵骨の上方頂点と前距骨関節面の先端を結ぶ線がなす角のことで、正常20~30°である。

3.〇 正しい。足関節内返し捻挫:距骨傾斜角の増大
なぜなら、足関節の内返し捻挫では、外側側副靭帯が伸展・損傷し、距骨が外側に傾斜するため。
・距骨傾斜角とは、距骨上面と脛骨関節面とのなす角で、正常では約5°以下である。外側側副靭帯損傷で角度が増大する。

4.× 大腿骨頸部外転型骨折は、頸体角の「減少」ではなく増大する。なぜなら、外転型骨折は、骨折部が開大し、骨頭が外上方に変位するため。
・頚体角とは、①大腿骨頭中心と頚部の中心を通る頚部軸と、②大腿骨幹部の長軸がなす角度である。

 

 

 

 

 

問題70.類似する病態と鑑別点との組合せで適切なのはどれか。

1.鎖骨外端骨折と肩鎖関節上方脱臼:肩外転制限の程度
2.C8神経根症と肘部管症候群:骨間筋萎縮の有無
3.脛骨疾走型疲労骨折とシンスプリント:回内足の有無
4.前脛腓靭帯損傷と前距腓靭帯損傷:圧痛部位の差異

解答

解説
1.× 鎖骨外端骨折と肩鎖関節上方脱臼は、「肩外転制限の程度」ではなくピアノキー症状である。
・肩鎖関節脱臼ではピアノキー徴候が目立つ。ピアノキー症状は、肩鎖関節脱臼では肩鎖関節のズレにより、鎖骨の外側の端が皮膚を持ち上げて階段状に飛び出して見えることである。上方に持ち上がった鎖骨の端を上から押すとピアノの鍵盤のように上下に動くこと。肩鎖関節の安定性が損なわれていることを示している。

2.× C8神経根症と肘部管症候群は、「骨間筋萎縮の有無」ではなく感覚障害の分布(デルマトーム)である。
・肘部管症候群とは、肘の内側を通る尺骨神経が圧迫され、小指・薬指がしびれたり、手が使いにくくなる病気である。肘関節を十分に曲げた状態を続けることでしびれ、痛みが悪化するかどうかを見る(誘発テスト)。症状が悪化する場合は肘屈曲テスト陽性と判断する。

3.× 脛骨疾走型疲労骨折とシンスプリントは、「回内足の有無」ではなく疼痛範囲の評価である。
・シンスプリントとは、脛骨過労性骨膜炎ともいい、脛骨に付着している骨膜(筋肉)が炎症している状態である。運動中や運動後にすねの内側(広範囲)に痛みが出る。超音波にて治療を行う際は、下腿中央から遠位1/3部の脛骨後内方、前脛骨筋部、骨間膜などに照射する。
・疲労骨折は、限局性の圧痛・叩打痛がみられる。

4.〇 正しい。前脛腓靭帯損傷と前距腓靭帯損傷:圧痛部位の差異
・前脛腓靭帯は、遠位脛腓靭帯の前方で、外果のやや上・前方〜脛腓間に圧痛が出る。
・前距腓靭帯は、外果の前下方に走行し、外果尖の前下方一点に圧痛が出る。

MEMO

・前脛腓靭帯は、脛腓関節を強固する靭帯である。内反捻挫を起こした際に脛骨腓骨の間が広がるように外力が働くと損傷されやすい。背屈荷重テストで痛みがあれば陽性となる。
・前距腓靱帯とは、足関節の外側に付着し、内がえし方向の捻挫を防いでいる。したがって、外返しに働く筋群を強化することで、足関節内反傾向を回避することができる。

 

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