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問題106 50歳の男性。スキーで転倒し、右下肢を負傷したため来所した。背臥位で寝かせたところ、膝蓋骨は正面を向いているが、足部は外旋している。
考えられるのはどれか。
1.大腿骨骨幹部骨折
2.脛骨骨幹部骨折
3.脛・腓骨骨幹部骨折
4.腓骨骨幹部骨折
解答3
解説
・50歳の男性。
・スキーで転倒:右下肢を負傷。
・背臥位:膝蓋骨は正面を向いているが、足部は外旋。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。
1.× 大腿骨骨幹部骨折より考えられるものがほかにある。なぜなら、大腿骨骨折では膝蓋骨自体の向きも変わるため。本症例は、「膝蓋骨は正面を向いている」=「股関節の回旋(大腿骨の骨折)」はみられない。
2.× 脛骨骨幹部骨折より考えられるものがほかにある。なぜなら、腓骨が保たれていると支持性が残り、股関節の回旋は生じにくいため。
3.〇 正しい。脛・腓骨骨幹部骨折が考えられる。なぜなら、本症例の膝蓋骨は正面を向いているが、足部は軸が床面と平行で外側を向く状態の説明と合致するため。スキーやサッカーなどで下腿にねじり力が加わると、脛骨と腓骨の両方が骨幹部で骨折し、下腿全体が不安定となる。
4.× 腓骨骨幹部骨折より考えられるものがほかにある。なぜなら、腓骨単独骨折では、脛骨が残存していることから下腿全体の回旋変形は生じないため。
問題107 14歳の女子。バレーボール部。1週前からジャンプの着地の際に右下腿に痛みを自覚し来所した。右下腿前部中央に限局した腫脹と圧痛がみられる。整形外科を紹介し、単純エックス線検査を行ったが明瞭な陽性所見はなかった。
考えられるのはどれか。
1.ハンター(Hunter)管症候群
2.脛骨疲労骨折
3.オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病
4.コンパートメント症候群
解答2
解説
・14歳の女子(バレーボール部)。
・1週前からジャンプの着地の際に右下腿に痛み。
・右下腿前部中央に限局した腫脹と圧痛がみられる。
・単純エックス線検査:明瞭な陽性所見なし。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。
1.× ハンター管症候群より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例は、右下腿前部中央に痛みが発生しているため。
・ハンター管症候群とは、内転筋管の絞扼のことで伏在神経や血管の圧迫により、膝の内側〜前内側の痛みをきたす病態である。
・内転筋管とは、膝関節内側の筋で囲まれた孔である。
2.〇 正しい。脛骨疲労骨折が考えられる。なぜなら、脛骨疲労骨折は、ジャンプや反復荷重を繰り返す若年アスリートに起こりやすく、単純X線では正常に見えることが多いため。また、限局した圧痛や腫脹を示す。
・疲労骨折とは、1回の大きな外傷でおこる通常の骨折とは異なり、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいう。好発部位は、腰椎が半数以上を占める。次に、中足骨35%、脛骨27%、肋骨12%、腓骨9%、尺骨・大腿骨・足関節の内側がそれぞれ3%である。
3.× オスグッド・シュラッター病より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例は、右下腿前部中央に痛みが発生しているため。
・オスグット-シュラッター病とは、小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男女比(4:3)で男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。
4.× コンパートメント症候群より考えられるものがほかにある。なぜなら、コンパートメント症候群は、急性なら外傷後の“激痛・緊満・他動伸展痛”が中心であるため。また、本症例の単純エックス線検査は明瞭な陽性所見がないことからも否定しやすい。
・コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢血管の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。
問題108 40歳の女性。初発の両側性顎関節前方脱臼で来所した。整復を行ったが、下顎の片側偏位が残存した。整復前と比較し疼痛は減少し会話が可能となり、口の開閉もわずかに可能となった。
考えられるのはどれか。
1.片側顎関節円板前方転位の残存
2.顔面神経麻痺の合併
3.整復時下顎頭の骨折
4.顎関節内障の続発
解答1
解説
・40歳の女性。
・初発の両側性顎関節前方脱臼で来所。
・整復を行ったが、下顎の片側偏位が残存。
・整復前と比較し疼痛は減少し会話が可能となり、口の開閉もわずかに可能。
→ほかの選択肢が消去される理由を挙げられるようにしよう。
1.〇 正しい。片側顎関節円板前方転位の残存が考えられる。なぜなら、片側性の関節円板前方転位では、開口時や下顎運動時に下顎が患側へ偏位しやすく、整復後に“痛みは軽くなったが片側偏位が残る”という所見がみられるため。円板障害では、開口に伴うクリック音がみられる。
2.× 顔面神経麻痺の合併より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例の下顎の片側偏位が残存と合致しないため。
・顔面神経麻痺とは、ある日突然顔の半分、あるいは一部分が思うように動かせなくなる状態である。その中で最も多いのが、「ベル麻痺」、「ハント症候群」という呼ばれるウイルスが顔面神経管の中の顔面神経に感染して生じる。
3.× 整復時下顎頭の骨折より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例の整復前と比較し、疼痛は減少したことと合致しないため。下顎頭骨折を起こした場合、偏位だけでなく、明らかな咬合不全、開口障害、強い圧痛や機能障害がみられる。
4.× 顎関節内障の続発より考えられるものがほかにある。なぜなら、顎関節内障は、下顎頭−関節円板複合体の障害をまとめた広い概念であるため。本症例は、「整復後に片側偏位が残る」という具体的な病態が記載されているため、より直接的な選択肢を選択するべきである。
・顎関節内障とは、顎関節の中で下顎頭と関節円板の位置関係が乱れ、関節円板が前方などへずれることで起こる機能障害である。開閉口時のクリック音、痛み、開口制限、下顎の偏位などを生じる。円板が開口時に元の位置へ戻る場合と、戻らずロックする場合があり、顎関節症の関節円板障害に相当する病態である。
Ⅰ型(咀嚼筋障害):咀嚼筋障害を主徴候としたもの。
Ⅱ型(関節包・靭帯障害):円板後部結合組織・関節包・靭帯の慢性外性病変を主徴候としたもの。
Ⅲ型(顎関節内障):関節円板の異常を主徴候としたもの。
Ⅳ型(変形性顎関節症):進行性病変を主徴としたもの。
Ⅴ型(精神的因子):上記のⅠ~Ⅳ型のいすれにも分類されないもの。顎関節部の違和感、咀嚼器官にみられる不定愁訴。
問題109 4歳の男児。買い物中、母親に手を引っ張られた際に受傷した。肘を動かすと肘の外側に疼痛が生じ、痛みが改善しないため来所した。前腕は回内位、肘関節は軽度屈曲位にある。
正しいのはどれか。
1.局所に腫脹が生じる。
2.腕橈関節の亜脱臼である。
3.肘関節は前腕回内位で固定する。
4.再発が多い。
解答4
解説
・4歳の男児。
・母親に手を引っ張られた際:受傷。
・肘を動かすと肘の外側に疼痛が生じた。
・前腕は回内位、肘関節は軽度屈曲位。
→本症例は、肘内障が疑われる。肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。5歳くらいまでの子どもに発症する。 輪状靭帯の付着がしっかりする6歳以降では起こりにくい。
1.× 局所に腫脹は、「見られないことが多い」。なぜなら、肘内障は、橈骨頭が引っ張られることによって発症するため。出血を呈するほどの軟部組織の損傷まで及ばないため、著明な炎症症状(特に腫脹と発赤)はみられにくい。
2.× 「腕橈関節」ではなく近位橈尺関節の亜脱臼である。
・肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。
3.× 肘関節は前腕回内位で固定する「必要はない」。なぜなら、肘内障は整復できれば固定を要しないことが多いため。きちんとした整復後は、その場で腕を普段通りに動かすことが可能である。
4.〇 正しい。再発が多い。なぜなら、幼児期の輪状靱帯は、未熟であるため。したがって、家族指導として、手を引っ張らない、腕を持って持ち上げないことを伝える。
問題110 20歳の女性。立ち上がろうとした際に右足を外側に滑らせ、右膝に痛みを自覚したため来所した。関節腫脹が著明で、膝蓋骨内縁に圧痛がみられる。引き出し徴候および側方動揺性テストは陰性で、全身性弛緩テストは7点中4点である。
考えられるのはどれか。
1.膝蓋骨脱臼
2.前十字靱帯損傷
3.内側半月板損傷
4.内側側副靱帯損傷
解答1
解説
・20歳の女性。
・立ち上がろうとした際:右足を外側に滑らせ、右膝に痛み。
・関節腫脹が著明、膝蓋骨内縁に圧痛。
・引き出し徴候および側方動揺性テスト:陰性。
・全身性弛緩テスト:7点中4点。
→ほかの選択肢が消去される理由を挙げられるようにしよう。
1.〇 正しい。膝蓋骨脱臼が考えられる。なぜなら、膝蓋骨脱臼(特に外側脱臼)は、急な異常な動きで起こりやすく、若年女性に多い外傷であるため。また、症状は、関節血症による著明な腫脹がみられ、膝蓋骨周囲の圧痛が残る。
・〈膝蓋骨外側脱臼とは?〉概要:膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨(膝のお皿の骨)が外傷などにより外側にずれてしまい、関節から外れてしまった状態である。膝関節の形態的特徴により、10代の女性に生じることが多く、受傷者の20~50%の方が脱臼を繰り返す「反復性脱臼」へ移行する。【原因】ジャンプの着地などで、膝を伸ばす太ももの筋肉(大腿四頭筋)が強く収縮した時に起こる。【症状】炎症期は、膝関節の痛みや腫れが生じる。慢性期:脱臼を繰り返す(反復性脱臼)ようになると痛みや腫れなどは少なくなり、不安定感を強く訴える。【治療】脱臼後、直ちに整復を行う。ほとんどの患者では鎮静や鎮痛は不要である。
2.× 前十字靱帯損傷より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例の引き出し徴候は陰性であるため。
・前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。
3.× 内側半月板損傷より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例に半月板損傷に特徴的な膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりの記載がないため。
・半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある板で、内側・外側にそれぞれがある。役割として衝撃吸収と安定化をはたす。損傷した場合、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりが起こる。重度の場合は、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる「ロッキング」が起こり、歩けなくなるほど痛みが生じる。
4.× 内側側副靱帯損傷より考えられるものがほかにある。なぜなら、なぜなら、本症例の側方動揺性テストは陰性であるため。
東大式全身関節弛緩性テストとは、手・肘・肩・股・膝・足の6大関節と脊柱の計7項目を調べ、関節が通常より過度に動きやすいかを簡便に評価する方法である。スポーツ現場や整形外科のメディカルチェックで、全身の関節の緩さを把握する目的で用いられる。
【各検査項目と陽性判定】
①手関節:手首を曲げ、親指が前腕につく場合は陽性である。
②肘関節:肘を伸ばしきったときに15度以上反る場合は陽性である。
③肩関節:片手を上から、もう片手を下から背中へ回し、背中の後ろで両手の指を握れる場合は陽性である。
④股関節:かかとをつけて立ち、両足を外側へ180度以上開ける場合は陽性である。
⑤膝関節:立位で膝が10度以上反るように伸びる場合は陽性である。
⑥足関節:足裏を床から離さずにしゃがみ、足関節が45度以上曲がる場合は陽性である。
⑦脊柱:立位で前屈した際に、手のひら全体が床につく場合は陽性である。
【点数の見方】
手・肘・肩・膝・足は左右各0.5点、脊柱と股関節は各1点で、合計7点満点である。総合の陽性基準は報告により差があり、7点満点中3点以上を陽性とする報告と、7項目中4項目陽性を弛緩ありとする報告がある。
国試オタク 