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問題111 24歳の男性。ランニング中に右前足部が溝に挟まって転倒して来所した。足部に激痛を訴えており、前足部は軽度外転位を呈している。足内側縁には内側楔状骨が触知され、足外側縁は第5中足骨底部が突出している。
考えられるのはどれか。
1.リスフラン関節外側脱臼
2.ショパール関節外側脱臼
3.リスフラン関節内側脱臼
4.ショパール関節内側脱臼
解答1
解説
・24歳の男性。
・ランニング中:右前足部が溝に挟まって転倒。
・足部に激痛、前足部は軽度外転位。
・足内側縁:内側楔状骨が触知。
・足外側縁:第5中足骨底部が突出。
→ほかの選択肢が消去される理由を挙げられるようにしよう。
1.〇 正しい。リスフラン関節外側脱臼が考えられる。なぜなら、本症例は、前足部(第5中足骨底部)が外側へ転位(脱臼)していると考えるのが妥当であるため。
・リスフラン関節とは、足根中足関節ともいい、3つの楔状骨(内側・中間・外側楔状骨)—立方骨—中足骨で構成する関節のことである。
2.4.× ショパール関節外側脱臼/ショパール関節内側脱臼より考えられるものがほかにある。なぜなら、第5中足骨底部は関与しない関節であるため。
・ショパール関節とは、横足根関節ともいい、踵骨—距骨—舟状骨—立方骨の間の関節のことである。
3.× リスフラン関節内側脱臼より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例の前足部は、軽度外転位であるため。ちなみに、リスフラン関節内側脱臼の場合、前足部は内側へ転位し、足内側縁で目立つのは第1中足骨基部側である。
問題112 30歳の男性。野球の素振りで胸に痛みを自覚したため来所した。痛みは体幹の側屈や回旋で再現され、深呼吸や咳で増悪する。視診で明らかな腫脹はない。圧痛は右側胸部の第7・8肋間に限局する。
考えられるのはどれか。
1.広背筋損傷
2.肋間筋損傷
3.肋骨骨折
4.腰椎横突起骨折
解答2
解説
・30歳の男性。
・野球の素振りで胸に痛み。
・痛み:体幹の側屈や回旋で再現される。
・深呼吸や咳で増悪する。
・視診:明らかな腫脹はない。
・圧痛:右側胸部の第7・8肋間に限局する。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。
1.× 広背筋損傷より考えられるものがほかにある。なぜなら、広背筋損傷は主に背部〜後腋窩部の痛みとして出やすいため。
・広背筋の【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、伸展、多少内旋、【神経】胸背神経である。
2.〇 正しい。肋間筋損傷が考えられる。なぜなら、肋間筋損傷と症状(肋骨と肋骨の間の局所痛・圧痛、体幹のひねりや側屈、深呼吸、咳、くしゃみで痛みが増悪)が合致するため。
・外肋間筋の【起始】上位肋骨下縁、【停止】下位肋骨上縁、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)、【支配神経】肋間神経( Th1~11)である。
・内肋間筋の【起始】下位肋骨上縁、【停止】上位肋骨の下縁および内面、【作用】外肋間筋と反対に肋骨を引き下げて胸郭を狭める(呼息)、【支配神経】肋間神経( Th1~11)である。
3.× 肋骨骨折より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例は野球の素振りで胸に痛みが発生し、症状から軟部組織の損傷のほうが妥当であるため。
・肋骨骨折とは、肋骨が折れた状態であり、通常は転倒や打撲などの外傷によって急激に発生する。骨折した場所には強い痛みや腫れが生じることが多い。ほかの症状として、息を深く吸ったり、咳をしたり、体を動かしたりするたびの痛みである。
4.× 腰椎横突起骨折より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例は野球の素振りで胸に痛みが発生し、症状から軟部組織の損傷のほうが妥当であるため。
・腰椎横突起骨折とは、交通事故で、追突されて大きな衝撃を受けた場合やバイク・自転車から転落した場合などに発症することが多い傷病である。スポーツやスキー、スノボなどをしているときに腰椎横突起骨折をするケースもある。症状は、主に腰痛や圧痛、動作痛(大腰筋や腰方形筋)である。ただ、末梢神経を傷めることがないため、足の麻痺やしびれ感などの神経症状は伴わない。治療方法としては、腰を安静にして、コルセットや腰部固定帯を使って骨折した部位を固定する。
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
問題113 20歳の男性。2週前から右肩部後面の痛みと脱力感を自覚し、症状が軽快しないため来所した。棘下筋は萎縮し外旋筋力が低下しているが、棘上筋の筋力は保たれている。写真の★印で示した部分にしこりを触知する。
考えられるのはどれか。

1.肩甲上神経絞扼障害
2.腱板断裂
3.SLAP損傷
4.ベネット(Bennett)損傷
解答1
解説
・20歳の男性。
・2週前から右肩部後面の痛みと脱力感を自覚。
・棘下筋は萎縮し、外旋筋力が低下。
・棘上筋の筋力は保たれている。
→ほかの選択肢が消去される理由を挙げられるようにしよう。
1.〇 正しい。肩甲上神経絞扼障害が考えられる。なぜなら、棘甲切痕で肩甲上神経が絞扼されると、棘下筋だけに支配枝が行ったあとの障害になるため(棘窩切痕で絞扼される場合もある)。したがって、棘下筋の萎縮と外旋筋力低下が出ても、棘上筋筋力は保たれる。
・肩甲上神経絞扼障害とは、バレーボールショルダーともいい、肩甲上神経が、肩甲骨の肩甲切痕または棘窩切痕という箇所を通過するところで絞扼されることで起こる障害である。肩の痛みや腕が挙がりにくくなるなどの症状が現れる。また、肩の後面から腕にかけて放散する痛みがある。肩甲上神経支配の筋肉は、棘上筋と棘下筋の支配神経である。
・棘上筋の【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部、【作用】肩関節外転、【神経】肩甲上神経である。
・棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転、【神経】肩甲上神経である。
2.× 腱板断裂より考えられるものがほかにある。なぜなら、腱板断裂の場合、一般に肩の挙上時痛や挙上筋力低下を主体とし、特に最も多いのは棘上筋腱の障害であるため。
3.× SLAP損傷より考えられるものがほかにある。なぜなら、本症例の棘下筋は萎縮し、外旋筋力が低下する症状と合致しないため。また、写真の★印で示した部分のしこりとも合致しない。
・SLAP損傷とは、上方関節唇損傷のことをさす。野球やバレーボールなどのオーバーヘッドスポーツにおける投球動作やアタック動作などを反復することによって上腕二頭筋長頭腱に負荷がかかり、関節唇の付着部が剥がれてしまう状態を指す。また、腕を伸ばした状態で転倒した際に上腕骨頭の亜脱臼に合併してSLAP損傷が生じることや、交通事故などの外傷性機序で発症することがある。スポーツでは、スライディングで手をついたり、肩を捻った時に発症することがある。
4.× ベネット(Bennett)損傷より考えられるものがほかにある。なぜなら、Bennett損傷の、主症状は投球(特に、フォロースルー期)の後方肩痛であるため。つまり、棘下筋だけの萎縮は考えにくい。
・Bennett損傷(ベネット損傷)とは、軟部組織損傷ともいい、投球動作により上腕三頭筋長頭や肩関節後方関節包に繰り返しの牽引力がかかり起こる骨膜反応である。野球暦の長い選手、特に投手に多く、上腕三頭筋長頭や後方下関節包の拘縮を合併する。炎症を伴うため、疼痛があるときは投球を中止し、初期は、冷罨法、固定、提肘により運動を制限する。疼痛軽減後は、ストレッチ運動や筋力強化訓練を行う。
問題114 54歳の男性。右前腕掌側近位に疼痛を自覚していたが、母指と示指が曲がりにくくなったとの主訴で来所した。母指と示指でマルを作る動作を指示したところ、きれいなマルを作ることができない。
考えられないのはどれか。
1.母指球筋の萎縮
2.方形回内筋の麻痺
3.示指末節部の感覚異常
4.背側骨間筋の萎縮
解答4
解説
・54歳の男性。
・右前腕掌側近位に疼痛。
・主訴:母指と示指が曲がりにくくなった。
・母指と示指でマルを作る動作を指示したところ、きれいなマルを作ることができない(パーフェクトOテスト)。
→本症例は、正中神経麻痺が疑われる。正中神経麻痺とは、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる麻痺である。特徴的な症状として、①猿手変形(母指対立障害による)、②母指球筋の萎縮、手指の感覚障害(母指~環指橈側)がみられる。
・ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
1.3.〇 母指球筋の萎縮/示指末節部の感覚異常は考えられる。なぜなら、本症例は、正中神経麻痺が疑われるため。
2.〇 方形回内筋の麻痺は考えられる。
・方形回内筋の【起始】尺骨下部1/4前面、【停止】橈骨下部1/4前面、【作用】前腕の回内、【神経】正中神経である。
4.× 背側骨間筋の萎縮が考えられない。なぜなら、背側骨間筋は、尺骨神経深枝の支配であるため。
・背側骨間筋の【起始】4個ある。それぞれ2頭もつ。第1~5中手骨の相対する面、【停止】基節骨、指背腱膜、中節骨底、末節骨底、【作用】第2,4指の外転、第3指の橈・尺側外転。母指の内転。掌側骨間筋と共同しておのおのの基節骨の屈曲、中節・末節骨(DIP)の伸展、【支配神経】尺骨神経である。
問題115 32歳の男性。工場で作業中に機械に左示指を挟まれて受傷した。救急車で医療機関に搬送され、正中索の部分損傷と診断された。手術療法を勧められたが、どうしても手術はしたくないとのことで保存療法を選択された。
PIP関節の固定肢位はどれか。
1.深屈曲位
2.60度屈曲位
3.30度屈曲位
4.伸展位
解答4
解説
【種類】
①背側脱臼:掌側板損傷する
②掌側脱臼:正中索損傷する(ボタン穴変形)
③側方脱臼:側副靱帯損傷する(側方動揺性)
【固定法】
①DIP・PIP関節:軽度屈曲位
②正中索損傷の場合:PIP伸展位
③側副靭帯損傷の場合:隣接指間にパットを挟み固定
※示指PIP関節背側脱臼で正中索損傷を合併している稀な症例であるが、基本的に正中索損傷する(ボタン穴変形)に対する固定方法を行う。
1~2.× 深屈曲位/60度屈曲位は、PIP関節の固定肢位ではない。
・正中索とは、PIP関節の伸展を担う構造である。断裂するとボタンホール変形となる。機序としては、PIP関節が伸ばせなくなり、代償的に側索が掌側に滑走してPIP屈曲・DIP過伸展を生じるため。
3.× 30度屈曲位は、掌側板損傷した場合(背側脱臼)に用いられる。
4.〇 正しい。伸展位は、PIP関節の固定肢位である。なぜなら、PIP関節伸展位にすることで、正中索の伸張ストレスを軽減でき、治癒を促進できるため。
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