第34回(R8年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後176~180】

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問題176 透熱灸後のフレア現象で最も早期に起こるのはどれか。

1.逆行性伝導
2.順行性伝導
3.侵害受容器の興奮
4.神経ペプチドの遊離

解答

解説

フレア現象とは?

フレア現象とは、お灸の熱刺激によって細胞レベルで微細な火傷が起こり、神経から脳に「ここにケガがあるから治すために血液を送ってください」と連絡が入ることで起こる軸索反射のこと。軸索反射とは、末梢神経の軸索上で起こる反射様現象である。神経末端に生じた興奮が神経の分枝に沿って逆行性に伝播する現象のことをさす。したがって、鋮刺激によりポリモーダル受容器が興奮すると、軸索反射によって受容器末端から神経伝達物質が放出され、コリン作動性神経の末梢血管に働いて(血管拡張(フレア)、膨疹(浮腫))が生じる。※神経伝達物質には(CGRP、サブスタンスP)が考えられている。

1.× 逆行性伝導とは、感覚神経の興奮が通常とは逆に、神経の枝分かれ部から皮膚末梢へ向かって伝わることである。これにより神経ペプチドが遊離し、血管拡張を起こす。たとえば、透熱灸で皮膚に強い熱刺激が加わると、まず末梢の侵害受容器が「熱い・危険だ」と反応して発火する。その発火したインパルスの一部が側副枝を通って逆行性に伝わる、という順番である。

2.× 順行性伝導とは、侵害受容器で生じた興奮が通常どおり、皮膚末梢から脊髄・中枢へ向かって伝わることである。熱い灸刺激を受けた皮膚では、まず末梢の受容器が反応し、その信号が中枢へ向かって進むのが順行性伝導である。

3.〇 正しい。侵害受容器の興奮は、透熱灸後のフレア現象で最も早期に起こる。透熱灸で皮膚に強い熱刺激が加わると、まず末梢の侵害受容器が「熱い・危険だ」と反応して発火する。その発火したインパルスの一部が側副枝を通って逆行性に伝わる。
・侵害受容器とは、痛みを起こす刺激(侵害刺激)の受容器で、熱刺激・機械刺激・化学刺激の受容器がこれにあたる。

4.× 神経ペプチドの遊離は、逆行性伝導によって末梢終末が興奮したあとに起こる。つまり最後に起こる。
・神経ペプチドの遊離とは、逆行性伝導によって感覚神経の末端からサブスタンスPやCGRPなどの物質が放出されることである。これらは血管を拡張させ、血管透過性を高めるため、灸刺激部位の周囲に赤みが広がるフレア現象を生じる。

 

 

 

 

 

問題177 透熱灸で生じた施灸局所の膨隆に最も関与するのはどれか。

1.ノルアドレナリン
2.CGRP
3.エンケファリン
4.エンドセリン

解答

解説

MEMO

局所膨隆は、血漿漏出や浮腫により生じる。

1.× ノルアドレナリンは、主として交感神経終末から放出され、血管収縮方向に働く
・ノルアドレナリンとは、激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質である。ノルアドレナリンが交感神経の情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まり、その結果、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態となる。副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらす。

2.〇 正しい。CGRPは、透熱灸で生じた施灸局所の膨隆に最も関与する。
CGRPとは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドのことで、片頭痛の痛みの直接の原因とされているタンパク質である。脊髄後根神経節で産生され、中枢および末梢の両側性に作用する。末梢血管を著しく拡張させ、血管透過性を亢進させる働きを持つ

3.× エンケファリンは、内因性オピオイドのひとつである。主な役割は、疼痛抑制である。
・内因性オピオイドとは、体内で作られ、生理的な状況や危機が迫ったときに放出される物質され、脳や脊髄に存在するオピオイド受容体に作用し、鎮痛作用をもたらす。主に、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、エンドモルフィンなどあげられる。また、痛みによる不快な感覚の抑制、下降性抑制神経系の賦活化、恐怖という情動の抑制、脳内報酬系における重要な伝達物質でもある。

4.× エンドセリンは、細動脈を収縮させる。ほかにも、陽性変時・変力作用、血管平滑筋増殖作用、心筋細胞肥大作用、線維芽細胞増殖作用などを有するとされる。

 

 

 

 

 

問題178 侵害性熱刺激によって生じる発汗に最も関与するのはどれか。

1.脊髄前角
2.楔状束核
3.内側毛帯
4.延髄網様体

解答

解説
1.× 脊髄前角とは、主に骨格筋を支配する運動ニューロンの細胞体がある。神経細胞体の集まりであり、灰白質に分類される。

2.× 楔状束核は、深部感覚の一次ニューロンである。
・深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路である。後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野をたどる。

3.× 内側毛帯は、深部感覚(振動覚、位置覚)に関与する。後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野をたどる。

4.〇 正しい。延髄網様体は、侵害性熱刺激によって生じる発汗に最も関与する。なぜなら、痛覚情報は、脳幹網様体を介して自律神経反応を引き起こし、生理反応(発汗・血圧上昇・脈拍変化など)に結びつくため。
・脊髄網様体路は、脊椎動物の姿勢や歩行(移動)動作に関与する運動性下行路である。痛みに関しては、侵害刺激をポリモーダル受容器で受容→C線維(伝導速度0.5-2m/sec)→脊髄後角→前脊髄視床路・脊髄網様体→視床髄板内核・視床下部→大脳(辺縁)皮質である。

 

 

 

 

 

問題179 施灸により血圧上昇をきたす反射の遠心路を構成するのはどれか。

1.Aα線維
2.Aγ線維
3.Aδ線維
4.B線維

解答

解説
1.× Aα線維(Ⅰ群)は、筋・腱の感覚と運動を伝導する。

2.× Aγ線維は、触圧覚を伝導する。

3.× Aδ線維(Ⅲ群)は、痛みを伴う熱刺激を伝導する。

4.〇 正しい。B線維は、施灸により血圧上昇をきたす反射の遠心路を構成する。
・B線維は、交感神経の節前線維である。

 

 

 

 

 

問題180 施灸局所の皮膚血流を増加させる内皮細胞由来の物質はどれか。

1.NO
2.VIP(血管作動性腸ペプチド)
3.サブスタンスP
4.ブラジキニン

解答

解説
1.〇 正しい。NO(一酸化窒素)は、施灸局所の皮膚血流を増加させる内皮細胞由来の物質である。
・一酸化窒素とは、窒素(N)と酸素(O)が結合した物質である。常温では無色・無臭の気体で、水に溶けにくく、空気よりやや重い。一酸化窒素(NO)は、血管内皮細胞で産生され、血管平滑筋を弛緩させる物質である。血管の内皮細胞から放出される物質で、血管を拡張してしなやかにして、血圧を安定させる働きを持つ。

2.× VIP(血管作動性腸ペプチド)は、28のアミノ酸残基で構成されるペプチドホルモンである。消化管、膵臓、脳の視床下部の視交叉上核を含む人体内の多数の場所で作られる。血管を広げ、血液の流れる量を増やす作用を持つ。消化管組織に広く存在し、胃酸の分泌を抑制し、腸液の分泌を促進する。他にも、小腸から水と電解質の分泌を促進するなどの作用がある。

3.× サブスタンスPは、広作動域ニューロンのひとつである。広作動域ニューロンとは、非侵害刺激を含めた色々の種類の刺激を受け入れるC線維(ポリモーダル受容器)が受けた刺激を脳へ中継する神経細胞のことである。脊髄Ⅴ層に存在する。一次感覚細胞から広作動域ニューロンへの痛みの信号はサブスタンスPやグルタミン酸などの興奮性アミノ酸によって伝達される。ポリモーダル受容器の興奮で放出されたCGRP・サブスタンスPは血管拡張や血漿蛋白の漏出を生じさせ、結果として神経原性炎症を起こす。

4.× ブラジキニンとは、生理活性ペプチドともいい、炎症やアレルギー反応に関与する。発痛作用、血管拡張(血圧降下作用)、血管透過性亢進といったさまざまな作用をもつ。ブラジキニンは、プロテアーゼの作用により血漿中のグロブリン前駆体から生成される物質である。

 

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