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問題81.錐体交叉直後の左外側皮質脊髄路の切断で障害されるのはどれか。
1.舌の随意運動
2.左顔面の随意運動
3.右上肢の随意運動
4.左下肢の随意運動
解答4
解説
・外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索
1.× 舌の随意運動(舌筋)は、延髄の舌下神経核が支配する。
2.× 左顔面の随意運動は、橋の顔面神経核が支配する。
3.× 「右」ではなく左上肢の随意運動は、錐体交叉直後の左外側皮質脊髄路の切断で障害される。
4.〇 正しい。左下肢の随意運動は、錐体交叉直後の左外側皮質脊髄路の切断で障害される。左外側皮質脊髄路(錐体交叉直後)の切断は、左側(同側)の四肢随意運動を障害する。
問題82.表面筋電図で記録できないのはどれか。
1.単一運動単位の活動
2.単一骨格筋の活動
3.H波
4.M波
解答1
解説
運動単位とは、1つの運動神経が支配する筋線維のことである。筋によって支配する線維の数は異なる。
①粗大運動を行う筋:神経支配比が大きく、運動単位は大きい。
②精巧な運動を行う筋:神経支配比が少なく、運動単位は小さい。
ちなみに、神経支配比とは、1つの運動神経が支配する筋線維の数のことをいう。
1.× 単一運動単位の活動は、表面筋電図で記録できない。なぜなら、表面電極は皮膚上から多数の運動単位の電気活動を同時に検出するため。単一運動単位を分離して観察するには、針筋電図のように筋内に微小電極を刺入して記録する必要がある。
2.〇 単一骨格筋の活動は、表面筋電図で記録できる。なぜなら、皮膚上に電極を貼付することで、その直下の主たる骨格筋群の活動電位を検出できるため。
3.〇 H波は、表面筋電図で記録できる。なぜなら、H波は、末梢神経を皮膚上から電気刺激して得られる筋反応(表面筋電図で記録)であるため。
・H波とは、感覚神経刺激による発生したインパルスが求心性線維を上行し、後根より脊髄内に入り、脊髄前角細胞を単シナプス性に興奮させ、これにより発生したインパルスが前根より遠心性に運動神経を下行し出現する電位である。
4.〇 M波は、表面筋電図で記録できる。なぜなら、M波は末梢神経刺激による運動線維の直接興奮によって生じる筋電位であるため。したがって、H波同様に皮膚上の電極で容易に検出できる。
・M波とは、神経の遠心性神経(α運動ニューロン)が直接刺激されて筋が興奮するために起こる波である。刺激を強めるとM波は一層大きくなり、H波は小さくなり、やがて消失する特徴を持つ。H波の潜時は20〜30ミリ秒、M波の潜時は数ミリ秒であるため、M波はH波より短い。
問題83.平滑筋の性質で誤っているのはどれか。
1.自律神経の支配を受ける。
2.骨格筋に比べて疲労しやすい。
3.自動性を持つ細胞がある。
4.副腎髄質ホルモンの調節を受ける。
解答2
解説

(※図引用:「筋の分類(骨格筋、心筋、平滑筋)」もりもと塾HPより)
1.〇 正しい。自律神経(交感・副交感)の支配を受ける。なぜなら、平滑筋は、内臓(血管・消化管・膀胱・気道・子宮など)に分布しており、意思で動かすことができない不随意筋であるため。
2.× 骨格筋に比べて疲労「しやすい」のではなくしにくい。なぜなら、平滑筋はATP消費量が少なく、代謝効率が高いため。したがって、長時間の持続的収縮が可能である。
3.〇 正しい。自動性を持つ細胞がある。これにより、リズミカルな自発収縮を起こす。例えば、消化管の蠕動運動などが該当する。
4.〇 正しい。副腎髄質ホルモンの調節を受ける。なぜなら、副腎髄質ホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン)は、交感神経節後線維と同様の作用を持つため。
問題84.網膜の錐状体細胞で誤っているのはどれか。
1.明所視に関与する。
2.色彩視に関与する。
3.中心窩には高密度に分布する。
4.暗順応は杆状体細胞より遅い。
解答4
解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)
・錐体細胞とは、色覚に関与し、黄斑に集中している。
・杆体細胞とは、明るさに関与し、網膜全体に分布している。
1~3.〇 正しい。明所視に関与する/色彩視に関与する/中心窩には高密度に分布する。
・錐体は、色覚を支配し、明所視に関与し黄斑部の中心(網膜中心窩)に多い。
4.× 暗順応は杆状体細胞より「遅い」ではなく速い。つまり、先に錐状体細胞が作用するが、不十分であるため、杆体細胞が調整する。
・明暗順応とは、視感度が光環境に順応する視覚機能で、目の網膜の感度を明るい所で低下させたり、暗い所で増大させたりして調節し、適度な視感覚を保たせることである。視感度とは、明るいところでは低くなり(明順応)、暗いところでは高くなる(暗順応)こと。また、40歳頃より視力は遠視に傾く。
問題85.精子の発育過程で正しいのはどれか。
1.精母細胞の段階で運動能を獲得する。
2.アンドロゲンは関与しない。
3.カウパー腺で成熟する。
4.女性生殖器内で受精能を獲得する。
解答4
解説
1.× 「精母細胞」ではなく精子細胞の段階で運動能を獲得する。なぜなら、精母細胞(一次・二次)はまだ減数分裂過程にある未成熟な細胞であり、鞭毛や頭部構造が形成されていないため。したがって、動くことができない(運動能なし)。
・精母細胞とは、精巣内にあって減数分裂により4個の精子をつくる元になる細胞をいう。 原生殖細胞の分裂により生じた精原細胞がさらに何回か分裂したのち精母細胞がつくられる。 この精母細胞は減数分裂(染色体の倍加ののち2回の核分裂が行われる)により4個の精細胞に変わる。
2.× アンドロゲンは「関与しない」ではなく関与する。なぜなら、精巣内のライディッヒ細胞(間細胞)が分泌するテストステロンが、セルトリ細胞を介して精子形成を促進するため。
・アンドロゲンとは、ステロイドの一種で、生体内で働いているステロイドホルモンのひとつである。アンドロゲンにはテストステロンとジヒドロテストステロン (dihydrotestosterone;DHT)があり、精巣の分化、機能、組織形成、さらに内性器・外性器の形成に重要な役割を果たす。
3.× カウパー腺と精子の成熟は無関係である。なぜなら、精子の成熟は、精巣上体(副精巣)で行われるため。
・精巣上体とは、陰嚢の中、精巣の外側に付属する組織である。精巣(睾丸)で作られた精子を蓄えて成熟させる。精子を運ぶ管(精管)の一部である。
・尿道球腺液とは、カウパー腺液ともいい、男性の尿道球腺から分泌される弱アルカリ性の粘性がある無臭無色透明な液体である。尿道球腺は、前立腺の下、陰茎の付け根付近に位置する。
4.〇 正しい。女性生殖器内で受精能を獲得する。なぜなら、射精直後の精子はまだ透明帯を通過できない状態にあり、女性生殖器内で精子膜の糖タンパクが変化し、膜透過性が上昇することで、卵子との融合が可能になるため。主に、主に卵管峡部〜膨大部で起こる。

(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)
国試オタク 