第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前6~10】

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問6 身体の構成成分として体重に占める割合が最も多いのはどれか。

1.水
2.脂質
3.無機塩類
4.蛋白質

答え.1

解説
1.〇 正しい。は、身体の構成成分として体重に占める割合が最も多い。一般的な成人の水の割合は、約60~66%である。

2.× 脂質は、約15%である。

3.× 無機塩類(ミネラル)は、約6%である。

4.× 蛋白質は、約15%である。

 

 

 

 

 

問7 免疫抑制作用があるのはどれか。

1.エストロゲン
2.成長ホルモン
3.サイロキシン
4.糖質コルチコイド

答え.4

解説
1.× エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。

2.× 成長ホルモンとは、下垂体前葉から合成・分泌されるホルモンで、成長促進作用や代謝作用などの作用がある。

3.× サイロキシンとは、甲状腺ホルモンのひとつである。甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。

4.〇 正しい。糖質コルチコイドは、免疫抑制作用がある。糖質コルチコイドとは、副腎皮質の束状帯の細胞で産生されるステロイドホルモンのことである。副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがある。過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

副腎皮質ステロイド薬とは?

【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。

【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)

ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。

(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)

 

 

 

 

 

問8 両側同時収縮で体幹が屈曲するのはどれか。

1.脊柱起立筋
2.腰方形筋
3.内腹斜筋
4.短背筋群

答え.3

解説
1.× 脊柱起立筋は、腸肋筋、最長筋、棘筋があげられる。主に体幹の伸展を働く。

2.× 腰方形筋の【起始】腸骨稜と腸腰靭帯、腰椎肋骨突起、【停止】第12肋骨、腰椎肋骨突起、【作用】腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)である。

3.〇 正しい。内腹斜筋は、両側同時収縮で体幹が屈曲する。内腹斜筋の【起始】白線・恥骨稜・腸骨稜、【停止】腰腱膜、【作用】上体を同側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。

4.× 短背筋群は、半棘筋、多裂筋、回旋筋があげられる。主に体幹の伸展を働く。

 

 

 

 

 

問9 呼吸器や消化管などの粘膜の炎症で粘液分泌の亢進が著しいのはどれか。

1.漿液性炎
2.カタル性炎
3.線維素性炎
4.化膿性炎

答え.2

解説

1.× 漿液性炎とは、液体成分主体の滲出物の炎症で急性期炎症初期の炎症性充血を伴う病変のことである。 毛細血管網の発達した組織に起こりやすく、一般的に滲出液中にフィブリノゲンを含まないため、淡黄色でほぼ透明である。

2.〇 正しい。カタル性炎は、呼吸器や消化管などの粘膜の炎症で粘液分泌の亢進が著しい。カタル性炎症とは、粘膜の滲出性炎症のことである。したがって、粘液の分泌が亢進する。この状態では、粘膜の保護と清浄化が目的で、炎症反応により粘膜が過剰に粘液を産生して防御しようとする特徴を持つ。例えば、気管支炎や胃炎などが典型的なカタル性炎である。

3.× 線維素性炎とは、血漿の滲出物に大量のフィブリノゲンを含む炎症のことである。生体組織の滲出液中に線維素(フィブリン)が析出し、細網状に沈着する。これは、漿膜、粘膜、肺などに好発し、代表的な例としては、胸膜炎や腹膜炎などが挙げられる。

4.× 化膿性炎とは、滲出物に多量の好中球を含む炎症で、漿液に混ざっているものを漿液化膿性炎、線維素が混ざっているものを線維素化膿性炎という。膿性カタルや蜂窩織炎があてはまる。

 

 

 

 

 

問10 ノーマライゼーションの考え方に含まれないのはどれか。

1.施設への入所
2.社会的自立の促進
3.安全な暮らしの確保
4.バリアフリー化の促進

答え.1

解説

ノーマライゼーションとは?

ノーマライゼーションとは、「障害者が一般市民と同じ環境で、同じ条件で家庭や地域で共に生活すること」を目指す概念である。障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営めるように、当該社会から物心両面において改善しようという社会的志向である。

1.× 施設への入所は、ノーマライゼーションの考え方に含まれない。なぜなら、施設への入所は、ノーマライゼーションの概念「普通の社会生活」とは逸脱し、むしろ強制や差別にあたる可能性があるため。

2~4.〇 社会的自立の促進/安全な暮らしの確保/バリアフリー化の促進は、ノーマライゼーションの考え方である。

 

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