第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前1~5】

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問題1 恥骨結合の連結様式はどれか。

1.釘植
2.縫合
3.軟骨結合
4.靭帯結合

答え.3

解説
1.× 釘植(※読み:ていしょく)
釘植とは、歯根と歯槽骨との結合のことである。歯と骨は結合組織の歯根膜によって結合されている。ちなみに、歯根膜とは、歯と骨の間にある膜のことを呼ぶ。

2.× 縫合(※読み:ほうごう)
縫合とは、字の通り、縫い合わせることである。外科で外傷や手術などでの患部を縫い合わせる際に用いられる用語である。

3.〇 正しい。軟骨結合は、恥骨結合の連結様式である。
(線維)軟骨結合とは、骨と骨の間に線維軟骨が存在し、可動性がまったくないかごくわずかである不動関節のことである。線維軟骨結合は、①恥骨の線維軟骨結合で連結された寛骨、②椎間板で連結された椎骨があげられる。

4.× 靭帯結合
靭帯結合とは、靱帯が2つの骨と結合している関節で、わずかに稼働性を有するものをさす。例えば、脛骨と腓骨との間の遠位関節などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題2 蝶番関節はどれか。

1.橈骨手根関節
2.腕橈関節
3.腕尺関節
4.上橈尺関節

答え.3

解説
1.× 橈骨手根関節は、顆状関節(楕円関節)である。
顆状関節(楕円関節)は他にも、手根中央(尺側)関節、顎関節、中手指節関節があげられる。

2.× 腕橈関節は、球関節である。
球関節は他にも、肩関節があげられる。

3.〇 正しい。腕尺関節は、蝶番関節(らせん関節)である。
蝶番関節は他にも、指節間関節(PIP・DIP関節)があげられる。
らせん関節は他にも、距腿関節、膝関節があげあれる。
厳密にいうと、蝶番関節とらせん関節は異なる。らせん関節は、蝶番関節の変形とみるべきもので、一方の関節面が隆起、他方が溝状となる。運動軸は骨の長軸と直角ではなく、鋭角で交わり、運動はらせん状となる。

4.× 上橈尺関節は、車軸関節である。
車軸関節は他にも、環軸関節があげられる。

 

 

 

 

 

問題3 関節と内部構造の組合せで正しいのはどれか。

1.胸鎖関節:関節唇
2.肩関節:関節半月
3.股関節:関節内靭帯
4.膝関節:関節円板

答え.3

解説
1.× 関節唇は、「胸鎖関節」にはなく主に肩関節や股関節に存在する。
関節唇とは、関節窩の縁にあり、肩関節の安定性を高めると同時に、さまざまな衝撃から守るクッションの役割を果たしている。

2.× 関節半月は、「肩関節」にはなく主に膝関節に存在する。
半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある板で、内側・外側にそれぞれがある。役割として衝撃吸収と安定化をはたす。損傷した場合、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりが起こる。重度の場合は、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる「ロッキング」が起こり、歩けなくなるほど痛みが生じる。

3.〇 正しい。股関節関節内靭帯が認められる。
関節包内靱帯には、①股関節:完全に滑膜に包まれて関節腔内にあるもの(大腿骨頭靱帯)、②膝関節:関節内に突出する滑膜のヒダに包まれているもの(膝十字靱帯)、③肋椎関節:関節腔を二分するもの(関節内肋骨頭靱帯)がある。

4.× 関節円板は、「膝関節」にはなく①顎関節、②胸鎖関節、③肩鎖関節、④下橈尺関節、⑤橈骨手根関節である。
関節円板とは、帽子のように下顎頭にぶらさがっていて、顎が動くときに、骨と骨がこすれないように、クッションの役割をはたす組織である。

 

 

 

 

 

問題4 股関節の外転に働く筋の支配神経はどれか。

1.上殿神経
2.下殿神経
3.坐骨神経
4.閉鎖神経

答え.1

解説

股関節外転筋群

①中殿筋、②小殿筋、③大腿筋膜張筋などが関与する。

1.〇 正しい。上殿神経は、股関節の外転に働く筋の支配神経である。
上殿神経は、①中殿筋、②小殿筋、③大腿筋膜張筋を支配する。

2.× 下殿神経は、大殿筋を支配する。
大殿筋の【起始】腸骨翼の外面で後殿筋線の後方、仙骨・尾骨の外側縁、仙結節靭帯、腰背筋膜、【停止】腸脛靭帯、大腿骨の殿筋粗面、【作用】股関節伸展、外旋、外転、上部:内転、下部:骨盤の下制、【支配神経】下殿神経である。

3.× 坐骨神経は、膝関節屈筋群(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋、※一部:大内転筋)を支配する。

4.× 閉鎖神経は、股関節内転筋群(恥骨筋、長内転筋、短内転筋、大内転筋、薄筋、外閉鎖筋)を支配する。

 

 

 

 

 

問題5 ATPの合成に関与しているのはどれか。

1.核
2.ミトコンドリア
3.小胞体
4.ゴルジ装置

答え.2

解説

細胞の構造

細胞は、核と細胞質からなり、細胞膜で覆われている。細胞膜は、リン脂質2重層から構成されており、この中に特殊なタンパク質(受容体、酵素、担体、チャネルなど)がはめ込まれている。脂溶性物質やガス(酸素や二酸化炭素)は、細胞膜を自由に通過できるが、水溶性物質(電解質や栄養素)は、通過できない。

1.× 核
細胞核とは、細胞内に存在する細胞小器官の一つで、遺伝情報であるDNAやRNA、タンパク質が含まれている。ヒトを含む真核生物では、細胞核の一番外側に、脂質二重膜からなる核膜が存在する。

2.〇 正しい。ミトコンドリアは、ATPの合成に関与している。
ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。

3.× 小胞体
小胞体とは、①粗面小胞体と②滑面小胞体に分類される。①粗面小胞体は、表面にリボソームが付着し蛋白質を合成する。②滑面小胞体は、リボソームが付着していない小胞体の総称のことで、コレステロールの合成や分解、脂質代謝、薬物の解毒、カルシウムの貯蔵などの機能を担っている。

4.× ゴルジ装置
ゴルジ装置とは、小胞体で合成された物質を細胞膜や分泌小胞に振り分けたり、タンパク質を修飾する。リボソームで生成され送り込まれてきた蛋白質に糖鎖を付け加え、濃縮するなどの修飾をする機能を持つ。

 

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