第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前6~10】

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問題6 心室収縮時、左心室からの血液の逆流を防止する弁はどれか。

1.三尖弁
2.肺動脈弁
3.僧帽弁
4.大動脈弁

答え.3

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.× 三尖弁
三尖弁は、右心房と右心室との間に存在する。右心室が収縮する時、三尖弁は閉じて右心房への血液の逆流を防止する。

2.× 肺動脈弁
肺動脈弁は、右心室から肺動脈への出口に存在する。右心室が収縮した後に閉じ、肺動脈から右心室への血液の逆流を防止する。

3.〇 正しい。僧帽弁は、心室収縮時、左心室からの血液の逆流を防止する。
僧帽弁は、左心房と左心室との間に存在する。

4.× 大動脈弁
大動脈弁は、左心室から大動脈への出口に存在する。左心室が収縮した後に閉じ、大動脈から左心室への血液の逆流を防止する。

 

 

 

 

 

問題7 一次視覚野があるのはどれか。

1.前頭葉
2.頭頂葉
3.側頭葉
4.後頭葉

答え.4

解説


1.× 前頭葉は、主に遂行機能をつかさどる。【前頭葉障害の主症状】①遂行機能障害、②易疲労性、③意欲・発動性の低下、④脱抑制・易怒性、⑤注意障害、⑥非流暢性失語などがあげられる。

2.× 頭頂葉は、主に感覚や味覚をつかさどる。劣位半球頭頂葉の障害で、半側空間無視(大脳半球の障害により一側からの情報を認識できなくなる症状)や、優位半球の頭頂連合野(角回)が障害されると、Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)が起こる。症状として、①手指失認、②左右失認、③失算、④失書などである。

3.× 側頭葉は、主に聴覚や感覚性の言語をつかさどる。後頭葉~側頭葉の障害では、人の顏が区別できない(相貌失認)。

4.〇 正しい。後頭葉に、一次視覚野がある。視覚伝導路は、「視神経―視交叉―視索―外側膝状体―視放線―視覚野」である。嗅覚に関係するのは前頭葉(1次感覚野)である。

 

 

 

 

 

問題8 肩関節の内旋に働くのはどれか。

1.三角筋
2.棘上筋
3.広背筋
4.小円筋

答え.3

解説
1.× 三角筋
三角筋の【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面、【作用】肩関節外転、前部は屈曲、後部は伸展、【支配神経】腋窩神経:(C4),C5,C6である。

2.× 棘上筋
棘上筋の【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部、【作用】肩関節外転、【支配神経】肩甲上神経:C5,C6

3.〇 正しい。広背筋は、肩関節の内旋に働く。
広背筋の【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、伸展、多少内旋、【神経】胸背神経である。

4.× 小円筋
小円筋の【起始】肩甲骨後面の外側部上半、【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端、【作用】肩関節外旋、【神経】腋窩神経。

 

 

 

 

 

問題9 貧食作用を有するのはどれか。

1.好塩基球
2.好酸球
3.単球
4.ナチュラルキラー(NK)細胞

答え.3

解説
1.× 好塩基球
好塩基球とは、Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー)を引き起こす。末梢血白血球の0~2%を占める。ほかにも、好酸球や好中球の移動を助ける役割も担う。

2.× 好酸球
好酸球とは、主に寄生虫に対する免疫反応が役割である。ほかにも、アトピー性皮膚炎や薬剤アレルギー、気管支喘息などでも増加する。末梢血白血球の1~6%を占め、呼吸器や腸管などに存在する。

3.〇 正しい。単球は、貧食作用を有する。
単球とは、白血球の一種で、最も大きなタイプの白血球である。マクロファージなどへ分化し、貧食・消化・殺菌などの機能を発揮する。単球は、末梢血白血球の2~9%を占める。ちなみに、マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。

4.× ナチュラルキラー(NK)細胞
ナチュラルキラー細胞は、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞の傷害に働く。ナチュラルキラー細胞は、抗原を認識するための受容体をもたず、標的細胞を直接攻撃する。また、免疫グロブリンすなわち抗体は、B細胞により作られる。

リンパ球とは?

リンパ球とは、脊椎動物の免疫系における白血球のサブタイプの一つである。リンパ球には①ナチュラルキラー細胞、②T細胞、③B細胞がある。B細胞は体液性免疫を担当し、B細胞から活性化して形質細胞となり抗体を産生する。

 

 

 

 

 

 

問題10 健康の定義が定められたのはどれか。

1.アルマ・アタ宣言
2.オタワ憲章
3.ヘルシンキ宣言
4.WHO憲章

答え.4

解説
1.× アルマ・アタ宣言
アルマ・アタ宣言とは、プライマリヘルスケアに関する宣言である。すべての人に健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念である。すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念である。

2.× オタワ憲章
オタワ憲章とは、ヘルスプロモーションに関する宣言である。ヘルスプロモーション(健康教育)は、「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義される。①健康な公共政策づくり、②健康を支援する環境づくり、③地域活動の強化、④個人技術の開発、⑤ヘルスサービスの方向転換などが挙げられる。保健部門だけの責任にとどまらず、人々のライフスタイルや生活の質(QOL)にかかわるものであり、個人の能力だけでなく環境の整備も含まれる。オタワ憲章(1986年)で提唱され、日本では、健康日本21(2000年)で基本理念に取り入れられている。

3.× ヘルシンキ宣言
ヘルシンキ宣言とは、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の基盤となる倫理的原則を示しているものである。ニュルンベルク綱領とは、医学的研究のための被験者の意思と自由を保護するガイドラインである。ニュルンベルク裁判で問題とされた人体実験において遵守されるべき基本原則を定めた倫理綱領である。1947年に提示された、研究目的の医療行為を行うにあたって厳守すべき10項目の基本原則である。後にヘルシンキ宣言として人を対象とする研究の倫理指針につながった。

4.〇 正しい。WHO憲章に、健康の定義が定められた。
WHO憲章では以下のように定義している。「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」また、同憲章にはこんなことも謳われている。「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。」「全ての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する。」「ある国が健康の増進と保護を達成することは、全ての国に対して価値を有する。」つまり、健康が個人にとって、また国家にとっても極めて大切なものであり、その達成に向けて個人と国家が協力していくことが必要ということである。これが既に半世紀以上前に作成されており、今でもなお憲章としての意味を持ち続けているのである(引用:「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」厚生労働省HPより)。

プライマリヘルスケアとは?

プライマリヘルスケアは、アルマ・アタ宣言(1978年)で提唱されたものである。地域住民が一次的に利用する保健医療サービスを指す。

提唱元:アルマ・アタ宣言(WHOとUNICEF)

概念:「すべての人々に健康を」を目標に、病気の治療よりも予防対策や健康管理に重点を置いた保健活動

【4つの原則】
①住民のニーズに基づくこと
②地域資源の有効活用
③住民参加
①農業・教育・通信・建設・水利等、多分野間の協調と統合

【8つの活動項目】
①健康教育(ヘルスプロモーション)
②食料の供給と栄養の改善子
③安全な飲料水の供給と基本的な環境衛生
④母子保健サービス(家族計画を含む)
⑤主要な感染症の対策(予防接種)
⑥風土病の対策
⑦簡単な病気やけがの治療(プライマリケア)
⑧必須医薬品の供給

(※参考:「プライマリ・ヘルス・ケア」特定非営利活動法人シェア様HPより)

 

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