第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前116~120】

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問題116 平成26年の患者調査における我が国の精神障害者の統計で正しいのはどれか。

1.総患者数は約200万人である。
2.外来受療率で最も高いのは気分障害である。
3.外来患者数は20年前に比べ減少傾向にある。
4.入院受療率で最も高いのはアルツハイマー(Alzheimer)病を含めた認知症である。

答え.2

解説
1.× 総患者数は、「約200万人」ではなく392.4万人(約二倍)である。
(※参考データ:「平成26年(2014)患者調査の概況」厚生労働省HPより)

2.〇 正しい。外来受療率で最も高いのは気分障害である
外来受療率では、1位:気分障害、2位:統合失調症、3位:認知症である。ちなみに、気分障害とは、気分の変動によって日常生活に支障をきたす病気の総称である。うつ状態だけが続くものを「うつ病」、躁状態とうつ状態をくり返すものを「双極性障害」などと分類される。気分障害におけるうつ病(単極性)と双極性障害について、双極性障害は障害有病率約1%で、うつ病よりも若い時期に発症しやすく、性差は認められていない。遺伝素因はうつ病よりも2倍以上の関与が考えられている。

3.× 外来患者数は20年前に比べ、「減少」ではなく増加傾向にある。
H14年の外来患者数は223.9万人、R2年は586.1万人まで増加している。これは、精神障害への世間の認知やストレス社会など様々な要因として考えられている。一方、入院患者はわずかながら減少傾向である。

4.× 入院受療率で最も高いのは、「アルツハイマー(Alzheimer)病を含めた認知症」ではなく統合失調症である。
入院受療率では、1位:統合失調症、2,3位同率:気分障害、認知症である。

 

 

 

 

 

問題117 我が国の医療保険制度で誤っているのはどれか。

1.医療保険の制度は国民皆保険である。
2.医療給付は原則、現金給付の形をとる。
3.保険料に財源を求める社会保険方式である。
4.健康保険組合、共済組合などを保険者と呼ぶ。

答え.2

解説

(※図引用:「医療保険」日本医師会様HPより)

1.〇 正しい。医療保険の制度は国民皆保険である
公的医療保険制度とは、病気やケガをした時に医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことをいう。日本は「国民皆保険制度」を採用しており、日本国民すべてに加入が義務づけられている。①地域保険の国民健康保険、②後期高齢者医療制度、③職域保険の全国健康保険協会・組合保険・共済組合・船員保険などがある。

2.× 医療給付は原則、「現金給付」ではなく現物給付の形をとる。
保険給付を行う方法には、病気やけがをした場合に、これを治すために医療そのものを給付する方法と、治療にかかった費用を給付する方法との二つの方法がある。医療を給付する方法を「現物給付」、現金を給付する方法を「現金給付」と呼ぶ。ちなみに、医療給付とは、本人(被保険者)とその家族(被扶養者)が業務外の事由で病気やケガをしたり出産や死亡した場合に受けられるサービスである。主に、診察、処置・手術、薬剤・治療材料、食事療養、入院・看護、在宅療養・看護、訪問看護である。

3.〇 正しい。保険料に財源を求める社会保険方式である
社会保険方式とは、加入者が一定期間にわたって保険料を拠出し、運営主体がその額に応じた年金を給付する方式である。 日本の年金制度はこの方式である。

4.〇 正しい。健康保険組合、共済組合などを保険者と呼ぶ
保険者とは、健康保険事業の運営主体のことのことをいう。例えば、保険契約の一方の当事者で、保険事故に対して給付する義務がある者(民間の保険契約の場合は、生命保険会社)のことをいう。

 

 

 

 

 

問題118 感染経路と感染症の組合せで正しいのはどれか。

1.空気感染:インフルエンザ
2.産道感染:先天性風疹症候群
3.接触感染:梅毒
4.飛沫感染:麻疹

答え.3

解説
1.× インフルエンザは、「空気感染」ではなく接触感染と飛沫感染である。
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスへの感染を原因に発症する。A型、B型、C型の3種類があり、このうち冬季に流行する「季節性インフルエンザ」はA型とB型によるものである。症状として、38度以上の発熱や寒気、関節痛、全身のだるさなどの全身症状と、喉の痛みや咳などの風邪のような症状が現れる。

2.× 先天性風疹症候群は、「産道感染」ではなく経胎盤感染(垂直感染)である。
先天性風疹症候群とは、風しんウイルスの胎内感染によって先天異常を起こす感染症である。 臨床的特徴 先天異常の発生は妊娠週齢と明らかに相関し、妊娠12週までの妊娠初期の初感染に最も多くみられ、20週を過ぎるとほとんどなくなる。

3.〇 正しい。梅毒は、「接触感染」である。
梅毒とは、性感染症の一種で、梅毒トレポネーマという細菌が粘膜から感染することによって起こる。感染後3~6週間前後の潜伏期間後に性器、肛門、口などの感染部位にしこり、びらん、潰瘍などが現れるが、治療をしなくても一定期間が過ぎると最初の症状は消える。感染後数ヶ月すると手のひらや足の裏を含めた全身に赤い斑点(バラ疹)が広がる。本症例のように、梅毒血清反応、梅毒トレポネーマ抗体血清検査<TPHA>がいずれも陽性であれば、早期に母体にペニシリン系抗菌薬の投与を開始する。期間は4~6週間である。

4.× 麻疹は、「飛沫感染」ではなく飛沫核感染である。
麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

問題119 金属器具に使用できない消毒薬はどれか。

1.グルタラール
2.次亜塩素酸ナトリウム
3.消毒用エタノール
4.クロルヘキシジン

答え.2

解説
1.〇 グルタラール
グルタラールとは、被消毒物の材質に与える影響が少なく、各種器具・機器、内視鏡などの消毒に有用である。しかし、薬液が皮膚に付着した場合、皮膚の着色や発疹、発赤等の過敏症状を起こすことがあり、また、蒸気は眼や呼吸器等の粘膜に対して刺激作用を示すことなどから、その使用には十分な注意が必要である。

2.× 次亜塩素酸ナトリウムは、金属器具に使用できない消毒薬である。
なぜなら、金属に対して腐食性を示すため。またプラスチックやゴムを劣化させる。ちなみに、次亜塩素酸ナトリウムとは、ノロウイルス感染症に罹患した患者の嘔吐物が床に飛び散っているこの処理に使用する消毒薬である。ノロウイルスの消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの注意点として、毒性が強く、吸い込んでしまったり、目に入ってしまった場合には呼吸器や粘膜へ損傷を与える危険を伴う。

3.〇 消毒用エタノール
消毒用エタノールとは、皮膚や手術部位の消毒、医療器具の洗浄消毒などに用いられている。また、種々の添加物成分を混合した製剤(エタノール製剤またはアルコール製剤)として、新指定医薬部外品や食品添加物の用途でも使われている。

4.〇 クロルヘキシジン
クロルヘキシジンとは、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。

 

 

 

 

 

問題120 大気汚染物質として環境基準が定められているのはどれか。

1.酸素
2.窒素
3.二酸化炭素
4.浮遊粒子状物質

答え.4

解説

大気汚染とは?

【大気汚染の定義】大気中に排出された物質が自然の物理的な拡散・沈着機能や化学的な除去機能、及び生物的な浄化機能を上回って大気中に存在し、その量が自然の状態より増加し、これらが人を含む生態系や物などに直接的、間接的に影響を及ぼすこと。自然一般にある空気組成を変化させる物質は総て広い意味での大気汚染物質である。
【発生源と種類】発生源は①自然起源と②人為起源に分けられる。①自然起源:火山排出物、森林火災、花粉の飛散、砂座・黄砂などの風による地面からの巻き上げ、海塩粒子などの風による海面からの巻き上げ、成層圏から対流闘に沈降するオゾンなどが上げられる。②人為起源:工場や火力発電所、自動車などの化石燃料の燃焼による排出物、生産活動により生成するガスや粒子状物質、廃楽物の処理に伴う粒子状物質や化学物質などが上げられる。
【一次汚染物質】発生源から直接発生する(一酸化炭素、二酸化硫黄、炭化水素、粉塵など)。
【二次汚染物質】環境大気中において化学変化により生成する(二酸化窒素、光化学オゾン、エアロゾルなど)
【ガス状大気汚染物質】①二酸化硫黄、②二酸化窒素、③浮遊粒子状物質、④一酸化炭素、(その他:一酸化窒素、ガス状硝酸、PAN、ガス状フッ素、塩化水素、アンモニア、メチルメルカブタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン、二硫化メチル、アルデヒド、スチレンなど)

(※参考:「大気汚染の定義と汚染物質」環境省HPより)

1.× 酸素は、大気中の約21%含まれている。

2.× 窒素は、大気中の約78%含まれている。

3.× 二酸化炭素は、大気中の約0.04%含まれている。
温室効果ガスの一つであり、気候変動に寄与していると考えられている気体である。

4.〇 正しい。浮遊粒子状物質は、大気汚染物質として環境基準が定められている。
「浮遊粒子状物質(suspended particluate matter:spm)とは、大気中にして存在する粒径10μm以下の粒子のことをさす。人為起源と自然起源の物が混在しており、発生源から直接的に排出された粒子と、ガス状物質が大気中で粒子化した二次生成粒子がある。浮遊粒子状物質は視程の低下を招くばかりではなく特に徴粒子は、ガス状の大気汚染物質と共存することにより人の健康に悪影を及ぼす(※引用:「大気汚染の定義と汚染物質」環境省HPより)」。また、微小粒子状物質(PM25)は、2.5μm以下の微粒子で、大気中に浮遊しやすく、肺の奥まで達して呼吸器疾患に影響する。大気汚染物質として許容基準が定められている。

 

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