第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午後1~5】

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問題1 患者の権利として誤っているのはどれか。

1.プライバシーの権利
2.黙秘権
3.知る権利
4.自己決定権

答え.2

解説

リスボン宣言とは?

リスボン宣言とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。

1.〇 正しい。プライバシーの権利
プライバシーの権利とは、人は誰でも私生活上の情報を無断で公表されない権利のことを指す。個人が安心して生活するための大切な権利のひとつで、氏名、住所、学校名、家族などプライベートな情報を暴露されない権利である。

2.× 黙秘権は、患者の権利として誤っている。
黙秘権とは、憲法に自己に不利益な供述を強要されないと記載があり、人権の1つである。自分に不利益になる供述を拒める権利である。憲法第38条の条文を受けて、刑事訴訟法に被疑者および被告人についての規定が設けられている。

3.〇 正しい。知る権利
知る権利とは、国民・市民が国政・市政などについて情報を十分に公開されることにより、1人1人がその情報を吟味した上で適正な意見を形成することができるようになる。情報公開は、国民・市民による国政などの監視・参加を充実させるものである。また、インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。

4.〇 正しい。自己決定権
自己決定権とは、一定の個人的な事柄について、公権力から干渉されることなく、自由に決定する権利である。 例えば、結婚・出産・治療・服装・髪型・趣味など、家族生活・医療・ライフスタイル等に関する選択、決定について、公共の福祉に反しない限りにおいて尊重される。

患者の権利

1.良質の医療を受ける権利
2.選択の自由の権利
3.自己決定の権利
4.意識喪失患者が代理人に付託する権利
5.法的無能力者が代理人に付託する権利
6.患者の意思に反する処置・治療に対する権利
7.医療情報に関する権利
8.秘密保持に関する権利
9.健康教育を受ける権利
10.人間としての尊厳が守られる権利
11.宗教的支援を受ける権利

 

 

 

 

 

問題2 個人情報保護法で正しいのはどれか。

1.罰則規定がない。
2.プライバシー保護が目的である。
3.接骨院は個人情報取扱事業者である。
4.利用目的を特定する必要はない。

答え.3

解説

個人情報保護法とは?

個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。

1.× 罰則規定が「ある」。
個人情報保護法上の義務に違反し、当該義務違反に対する個人情報保護委員会の改善命令にも違反した場合、違反行為をした個人には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。また、違反した法人には1億円以下の罰金が科される。

2.× 「プライバシー」ではなく個人の権利利益の保護が目的である。
目的(第1条) 個人情報保護法は、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としています(※引用:「個人情報保護法の概要」東京都HPより)。

3.〇 正しい。接骨院は個人情報取扱事業者である
個人情報取扱事業者とは、個人情報保護法第2条第5項において、「個人情報データベースなどを事業の用に供している者」と定義されている。ほとんどの個人・企業・団体はこの定義に含まれている。

4.× 利用目的を特定する必要「がある」。
個人情報取扱事業者は、「個人情報」を取得した場合、利用目的の通知または公表が義務づけられている。

 

 

 

 

 

問題3 柔道整復師が原則自らの判断で行えるのはどれか。

1.脱臼への施術
2.打撲への施術
3.外科手術
4.薬品投与

答え.2

解説

柔道整復師法第十七条(施術の制限)

柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。

(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

1.× 脱臼への施術
これは、医師の同意を得た場合もしくは応急手当をする場合に限り施術できる。

2.〇 正しい。打撲への施術は、柔道整復師が原則自らの判断で行える。
打撲や捻挫の施術が行える。

3.× 外科手術
これは、医師が行うものである。

4.× 薬品投与
これは、医師が看護師に指示を出し医師もしくは看護師が行われるものである。

 

 

 

 

 

問題4 施術所の開設届出先で正しいのはどれか。

1.市町村長
2.都道府県知事
3.保健所長
4.厚生労働大臣

答え.2

解説

第五章 施術所(施術所の届出)

第十九条 施術所を開設した者は、開設後十日以内に、開設の場所、業務に従事する柔道整復師の氏名その他厚生労働省令で定める事項を施術所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。その届出事項に変更を生じたときも、同様とする。
2 施術所の開設者は、その施術所を休止し、又は廃止したときは、その日から十日以内に、その旨を前項の都道府県知事に届け出なければならない。休止した施術所を再開したときも、同様とする。

(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

1.× 市町村長
市町村長とは、独任制かつ市町村の執行機関の責任者であり、その市町村の保健福祉や環境、教育、文化などの行政事務を管理・執行することができる。また、予算の調整や条例の制定、条例の改正案を議会に提出できる他、税金の課税や徴収、公の施設の設置・管理、廃止などについての権限を持っている。

2.〇 正しい。都道府県知事は、施術所の開設届出先である。
これは、「柔道整復師法」の第五章 施術所(施術所の届出)に規定されている。

3.× 保健所長
保健所長とは、保健所内の組織管理を主な業務とし、医師たる職員であって、3年以上の公衆衛生の実務経験等を経た者を充てることが原則である。ただし、医師と同等以上の知識を持ち公衆衛生実務の経験が5年以上あり、国立保健医療科学院の養成訓練課程(原則1年)を終了した者であれば、医師でなくても保健所長になることを認められている。

4.× 厚生労働大臣
厚生労働省とは、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。厚生労働大臣とは、日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。

 

 

 

 

 

問題5 施術所の構造設備基準で誤っているのはどれか。

1.トイレを設けること
2.常に清潔に保つこと
3.施術器具等の消毒設備を有すること
4.換気を充分にすること

答え.1

解説

柔道整復師法の施術所の構造設備基準

・6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること
・3.3平方メートル以上の待合室を有すること
・施術室は、室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放し得ること(ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではない)
・施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること

(※引用:「施術所の構造設備基準等について」東京都多摩府中保健所HPより)

1.× トイレを設けることは、施術所の構造設備基準に含まれていない。

2.〇 常に清潔に保つこと/施術器具等の消毒設備を有すること/換気を充分にすること
これらは、施術所の構造設備基準に含まれる。感染症の予防、患者の安全確保に寄与する。

 

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