第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前101~105】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題101 一次運動野で最も内側に再現されている身体部位はどれか。

1.唇
2.肩
3.手指
4.足首

答え.4

解説

1.× 唇
側部~外側にかけて再現されている。

2.× 肩
頭頂部にかけて再現されている。

3.× 手指
側方中央部にかけて再現されている。

4.〇 正しい。足首は、一次運動野で最も内側に再現されている身体部位である。

 

 

 

 

 

問題102 骨格筋の収縮時に長さが変わらないのはどれか。

1.A帯
2.H帯
3.I帯
4.筋節

答え.1

解説
1.〇 正しい。A帯は、骨格筋の収縮時に長さが変わらない。
A帯(暗帯)とは、ミオシンフィラメントがある部分で、アクチンフィラメントと重なり合っている。筋収縮のメカニズム(滑り説)では、アクチンフィラメントがミオシンフィラメント側に滑り込むことで収縮が生じると説明しており、この際に短縮するのはアクチンフィラメントのみの部分であるI帯(明帯)である。

2.× H帯
H帯は短くなる。H帯はA帯中央の明るい部分(ミオシンのみからなる部分)である。H帯とI帯はほとんど消失する。これは収縮に伴って細いフィラメントがA帯中に滑り込むことを意味する。

3.× I帯
I帯は短くなる。I帯の中央部にZ帯がある。Z帯は筋節を構成する。

4.× 筋節
Z体とZ体の間のことを筋節(サルコメア)といい、収縮時はその間が短くなる。

 

 

 

 

 

問題103 ゴルジ腱紡錘(腱器官)を受容器とするのはどれか。

1.足底反射
2.アキレス腱反射
3.バビンスキー反射
4.折りたたみナイフ反射

答え.4

解説
1.× 足底反射
足底反射とは、表在反射のひとつである。表在反射とは、皮膚や粘膜を刺激することでみられる反射のことで、消失により錐体路障害を示す徴候である。足底を背、ピン、ハンマーの柄などで踵から足先に向けてこする。【判定】足趾屈曲すれば陽性である。

2.× アキレス腱反射
アキレス腱反射の受容器は筋紡錘である。背臥位検査の他に、①両下肢の股関節を軽度屈曲、外転、外旋位にして、膝関節を軽度屈曲させて両踵をつける。検者は足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法、②一側下腿の前面に健側下腿をのせ、足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法がある。

3.× バビンスキー反射
バビンスキー反射は、下肢の病的反射のひとつである。皮膚への刺激によって母趾がゆっくりと背屈すれば陽性(母趾現象または伸展足底反射)ときには他の4指が開く(開扇現象)。正常では足底反射より母趾屈曲が起こる。

4.〇 正しい。折りたたみナイフ反射は、ゴルジ腱紡錘(腱器官)を受容器とする。
折りたたみナイフ現象は、上位運動ニューロン障害でみられる。他動的な筋の伸張に対し、はじめは強く抵抗を示すが、力が加えられ続けるとその抵抗が急激に減じる現象である。受動運動の速度で抵抗力が変わり、速く動かすほど抵抗も大きくなる。

自原抑制とは?

自原抑制(自己抑制)とは、筋が過剰に収縮し、健にかかる張力が大きくなったときに腱紡錘(ゴルジ腱器官)がそれを感知し、その健の筋が弛緩しにかかる張力を小さくする反射である。動筋の抑制性2シナプス反射となる。Ⅰb線維による。

 

 

 

 

 

問題104 近くの対象を見るときの眼の調節で正しいのはどれか。

1.水晶体が薄くなる。
2.水晶体が前方に移動する。
3.毛様体筋が収縮する。
4.毛様体小帯が緊張する。

答え.3

解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

1.× 水晶体が「薄く」ではなく厚くなる。
水晶体とは、ほぼ透明で眼の中でレンズの役割を担う器官である。水晶体が厚くなることで、その屈折力が増すため、近くの対象にピントを合わせることができる。

2.× 水晶体が前方に移動するのは、緑内障の症状である。
水晶体が前方に移動することで、眼圧の上昇がみられる。緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、視野障害をきたす疾患である。一般的な症状として、①見える範囲が狭くなる、②一部が見えにくくなる、③見えない部分が出現するなどが生じる。一度悪くなった視界・視野の症状は改善されることはないため、病気の種類や進行度合いなどによって薬物療法、レーザー治療、手術などが検討される。

3.〇 正しい。毛様体筋が収縮する
毛様体筋は、眼の遠近調節を行う筋である。毛様体筋は近くを見るときに収縮する。ちなみに、近くで見るとき、毛様体小帯が弛緩し、水晶体が厚くなる。

4.× 毛様体小帯は、「緊張」ではなく弛緩する。
毛様体小体とは、チン小帯ともいい、毛様体と水晶体の間を結び水晶体を支えたり、水晶体が眼球内に落ちないようにする働きを持つ。

 

 

 

 

 

問題105 左下肢の温度覚を伝える線維が上行する部位はどれか。

1.左側の脊髄後索
2.左側の脊髄前側索
3.右側の脊髄後索
4.右側の脊髄前側索

答え.4

解説

温度覚の伝導路

外側脊髄視床路:温痛覚・粗大触圧覚
「感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野」

1.× 左側の脊髄後索/右側の脊髄後索
脊髄後索は、深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路である。後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野

2.× 左側の脊髄前側索
これは、右下肢の温度覚を伝える線維が上行する部位である。なぜなら、外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)は、脊髄後角の通過した後、交叉するため。

4.〇 正しい。右側の脊髄前側索は、左下肢の温度覚を伝える線維が上行する部位である。
外側脊髄視床路:温痛覚・粗大触圧覚は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野を通る。

まとめ

聴覚:蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回

視覚:視神経→視交叉→外側膝状体→視放線→視覚野

・外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索

・前皮質脊髄路(錐体路の一部・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束—延髄—交叉せずに脊髄前索を下降(10~25%程度)
重要事項①延髄で交差せずに同側に下降すること、②支配はL2まで。

・前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野

・外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)