第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前11~15】

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問題11 肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定で正しいのはどれか。

1.胸部全周に貼付する。
2.完全呼気時に貼付する。
3.順次下方に向かって貼付する。
4.絆創膏交換は不要である。

答え.2

解説

肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定とは?

肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定とは、絆創膏を貼付する範囲をアルコール綿で消毒し、呼気時に貼付していく固定方法である。その際、乳頭部はガーゼで保護し、肋骨弓下縁から上方に向かって少しずつ重ねながら貼付していく。絆創膏固定は3~4週間。

1.× 「胸部全周」ではなく正中線を少し越えて貼付する。
乳頭部はガーゼで保護し、肋骨弓下縁から上方に向かって少しずつ重ねながら貼付していく。

2.〇 正しい。完全呼気時に貼付する
肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定とは、絆創膏を貼付する範囲をアルコール綿で消毒し、呼気時に貼付していく固定方法である。

3.× 順次「下方」ではなく上方に向かって貼付する。
乳頭部はガーゼで保護し、肋骨弓下縁から上方に向かって少しずつ重ねながら貼付していく。

4.× 絆創膏交換は「不要」ではなく必要である。
なぜなら、4~5日で緩んだり痒くなる為皮膚のかぶれなど皮膚トラブルが起こりやすいため。皮膚の状態を見て、重ねて貼付するか、貼り直すか、別の固定法に変更するかを検討する。

 

 

 

 

 

問題12 肩鎖関節上方脱臼の固定法で正しいのはどれか。

1.リング固定法
2.ギプス固定法
3.クラーメル固定法
4.絆創膏固定法

答え.4

解説

肩鎖関節脱臼の整復法・固定法

【整復法】
①助手:患者の後方に立ち、患肢上肢を後上方へ軽く引く。
②術者は下方に転位した患肢上肢を上方に押し上げながら鎖骨遠位端を下方へ圧迫して整復する。

【固定法】
①固定期間:4週~8週
②整復位は困難で完全固定が容易ではない。

1.× リング固定法
鎖骨骨折の固定法である。

2.× ギプス固定法
ギプス固定法は、一般的に骨折の固定に用いられる固定法である。上肢や下肢の骨折に用いられる。

3.× クラーメル固定法
コーレス骨折の固定法である。

4.〇 正しい。絆創膏固定法は、肩鎖関節上方脱臼の固定法である。
肩鎖関節上方脱臼の絆創膏固定法をロバート・ジョーンズという。ロバート・ジョーンズ固定(Robert-Jones固定)は、肩鎖関節上方脱臼の第2~3度損傷で用いる固定法である。【手順】①胸部前面を斜めに上行し局所副子上を通過する。②上腕部後面を通過し綿花沈子をあてた肘をまわる。③上腕部前面を通過し局所副子上を通過し健側肩甲骨下部まで貼付する。

 

 

 

 

 

問題13 肩関節烏口下脱臼で正しいのはどれか。

1.頭部は健側に傾けている。
2.上腕は軽度内転、内旋している。
3.整復前に鎖骨下動脈の拍動を確認する。
4.上腕外側の感覚障害の有無を確認する。

答え.4

解説

烏口下脱臼とは?

烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。

1.× 頭部は、「健側」ではなく患側に傾けている。
なぜなら、頭部や頸部を患側へ傾ける(側屈する)ことで、筋肉や皮膚などの軟部組織の伸張をやわらげ、ストレスを軽減させることができるため。

2.× 上腕は、「軽度内転」ではなく軽度外転、内旋している。
関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)を伴う。

3.× 整復前に、「鎖骨下動脈」ではなく腋窩動脈の拍動を確認する。
上肢の動脈は、「鎖骨下動脈→腋窩動脈→上腕動脈→橈骨動脈、尺骨動脈」となる。鎖骨下動脈は、鎖骨の下方を走行しており、烏口下脱臼において損傷することはない。

4.〇 正しい。上腕外側の感覚障害の有無を確認する
なぜなら、烏口下脱臼の合併症の一つに腋窩神経麻痺があげられるため。神経損傷の有無を確認するため、上腕外側の感覚障害の有無を確認する。

 

 

 

 

 

問題14 肩関節烏口下脱臼の外観と類似しているのはどれか。

1.上腕骨解剖頸骨折
2.上腕骨外科頸外転型骨折
3.上腕骨大結節単独骨折
4.上腕骨骨幹部骨折

答え.2

解説

烏口下脱臼とは?

烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。

1.× 上腕骨解剖頸骨折
解剖頸とは、肩関節内、上腕骨骨頭の半球部分に位置するくびれ部分のことである。 上腕骨頭と大結筋、小結筋の間のある浅い溝にあるくびれで、上腕骨の内側で外科頸(上腕骨骨幹部より骨頭部に移行する部分で骨折しやすい部位)と一部が一致している。

2.〇 正しい。上腕骨外科頸外転型骨折は、肩関節烏口下脱臼の外観と類似している。
なぜなら、両者とも上腕骨の近位骨片は軽度内転、遠位骨片は軽度外転を伴いやすいため。

3.× 上腕骨大結節単独骨折
上腕骨大結節骨折とは、介達外力によって大結節の剥離骨折をきたしている状態である。したがって、腱板損傷も伴うことが多い。

4.× 上腕骨骨幹部骨折
上腕骨骨幹部骨折とは、上腕部での疼痛、変形、不安定性が出現する。骨折した部分の骨が皮膚を突き破る開放骨折になることもある。また、指先がつめたい、血色が悪いなどの症状があれば血管損傷なども考えられる。

上腕骨外科頚骨折外転型について

発生機序:肩外転位で手掌、肘を衝いて転倒
鑑別疾患:肩関節前方脱臼
好発年齢層:高齢者
腱板損傷:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋
整復前の確認:腋窩動脈(橈骨動脈)、腋窩神経の確認

【上腕骨外科頸外転型骨折の転位・変形】
・近位骨片は軽度内転
・遠位骨片は軽度外転
・遠位骨折端は前内上方へ転位
・骨折部は前内方凸の変形

 

 

 

 

 

 

問題15 肩関節烏口下脱臼の整復で正しい組合せはどれか。

1.クーパー法:挙上法
2.コッヘル法:回転法
3.スティムソン法:積杆法
4.モーテ法:吊り下げ法

答え.2

解説

肩関節脱臼の治療(整復法)

コッヘル法 (槓杆法)、ヒポクラテス法(踵骨法)、スティムソン法(吊り下げ法)、クーパー法 (槓杆法)、ドナヒュー法(吊り下げ法)、モーテ法 (挙上法)、ミルヒ法 (挙上法)、シモン法(振り子法)、0ポジション法(挙上法)

1.× クーパー法は、「挙上法」ではなく槓杆法(てこほう)である。
槓杆法とは、座位をとった患者の後方より術者の膝を腋窩に入れ、一方の手で肩峰突起部を押さえ、反対側の手で上腕をつかみこれを内下方に圧迫する。この操作で脱臼した上腕骨頭は支点となる膝のまわりを外方にまわるように引かれ整復がえられる。神経血管損傷を起こさないよう注意を要する(Sir Astley Paston Cooperはイギリスの外科医,1768-1841)。

2.〇 正しい。コッヘル法:回転法
コッヘル法とは、肩関節の脱臼の際の治療方法である。【方法】患者:仰向け、術者:肘の関節を90度に曲げて引っ張り、ゆっくり肩関節を外旋・内転させる。これを行ない続けると、脱臼の整復が次第に行なわれる。※コッヘル法は、てこの原理を利用しているため、筋力のない高齢者などにも使える。ただ、十分筋力のある成人などに行なう場合は、大きな痛みが残る場合があるので、前もって全身麻酔をしておくことが推奨されている。

3.× スティムソン法は、「積杆法」ではなく吊り下げ法である。
スティムソン法とは、患者を腹臥位にしてベッドの横から患肢を垂れさせ、患者の手に重りをつけ、重りの力で自然整復を促す方法である。

4.× モーテ法は、「吊り下げ法」ではなく挙上法である。
モーテ法とは、患者は座位または立位をとり、上腕を体幹に沿って内旋し、治療者が肩を押さえながら肘をゆっくりと伸ばし、脱臼した関節を整復する。

烏口下脱臼とは?

烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。

 

 

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