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問題26 ラックマンテストで被検者の姿勢はどれか。
1.背臥位
2.側臥位
3.腹臥位
4.座位
答え.1
解説
1.〇 正しい。背臥位が、ラックマンテストで被検者の姿勢である。
Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。
2~4.× 側臥位/腹臥位/座位/
ラックマンテストで被検者の姿勢とはいえない。
前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。
問題27 急性期の半月板損傷でみられないのはどれか。
1.腫脹
2.圧痛
3.不安定性
4.運動制限
答え.3
解説
炎症5大徴候:①腫脹、②発赤、③熱感、④疼痛、⑤機能障害。
急性炎症(数分~3週間まで):血管外への血漿成分浸出、 好中球主体の遊走がみられる。
慢性炎症(4週間以上経過後):リンパ球・大食細胞の増加、血管増生、線維化がみられる。
1~2.4.〇 腫脹/圧痛/運動制限
クリック音とは、半月板損傷で見られる音のひとつで、膝の中でコリッという音のことをいう。症状が進むと、膝に水(関節液)が溜まったり、切れた半月板が関節に引っかかって激痛を引き起こし、動かせなくなるロッキングを発症する。McMurrayテストの検査の際に観察する。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
3.× 不安定性は、急性期の「半月板損傷」ではなく靭帯損傷(十字靭帯損傷など)でみられる。
なぜなら、靭帯は、関節の捻りや離開などといったストレスの制御に寄与するため。したがって、脱臼によっても靭帯は伸びて不安定性を伴いやすい。ちなみに、Pivot Shift/Pivot Shift test(ピボットシフトテスト)とは、前十字靭帯損傷の回旋不安定性現象を検査する。前十字靱帯損傷膝では膝伸展位において外反、軸圧のストレスをかけることにより脛骨は前方にずれる。そして、屈曲とともに 20°~30°付近で脛骨は突然整復位に外旋するように、即ち、後方の正常な位置に戻る。
問題28 膝関節内側側副靭帯損傷の固定肢位はどれか。
1.膝関節完全伸展位
2.膝関節軽度屈曲位
3.膝関節60度屈曲位
4.膝関節直角位
答え.2
解説
1.× 膝関節完全伸展位
なぜなら、膝関節内側側副靭帯は、伸展位に緊張するため。より痛みの助長や治療の悪化につながりかねない。
2.〇 正しい。膝関節軽度屈曲位は、膝関節内側側副靭帯損傷の固定肢位である。
通常、膝関節を軽度の屈曲位(約30度)で固定することが推奨される。なぜなら、靭帯だけでなく、その他の軟部組織にも最適なテンションが維持され、治癒が促進されるため。
3~4.× 膝関節60度屈曲位/膝関節直角位
固定肢位としては大きすぎる。なぜなら、膝関節内側側副靭帯は、屈曲時に緩むが、角度が大きいほど著明な負担やストレスの軽減(治療の促進)とはならないため。
問題29 下腿三頭筋肉ばなれで痛みが誘発されない足関節運動はどれか。
1.自動屈曲
2.自動伸展
3.他動屈曲
4.他動伸展
答え.3
解説
下腿三頭筋の肉離れは、10代からみられ、各年齢層にまんべんなく発生し、筋線維の多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすい。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中など下腿三頭筋が最大伸長時に、ふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。
1.〇 自動屈曲(自動底屈)
自動底屈は、自身の筋力で足関節底屈することを指す。下腿三頭筋自体が損傷しているため、収縮することで痛みが出やすい。下腿三頭筋とは、下腿の強大な筋の総称で、膨隆する2頭をもつ浅側の①腓腹筋と、深側にある平たい②ヒラメ筋とからなる。
①腓腹筋:【起始】外側頭:大腿骨外側上顆、内側頭:大腿骨内側上顆、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節屈曲、足関節底屈、踵の挙上、【神経】脛骨神経
②ヒラメ筋:【起始】腓骨頭と腓骨後面、脛骨のヒラメ筋線と内側縁、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節底屈、踵の挙上、【神経】脛骨神経
2.〇 自動伸展(自動背屈)
自動伸展は、自身の筋力で足関節背屈することを指す。下腿三頭筋が伸張され痛み(伸張痛)が出やすい。
3.× 他動屈曲(他動底屈)は、下腿三頭筋肉ばなれで痛みが誘発されない足関節運動である。
なぜなら、自動底屈と異なり、他動底屈は他人に関節運動を行ってもらうことを指すため。つまり、下腿三頭筋自体の収縮を伴わない関節運動である。
4.〇 他動伸展(他動背屈)
なぜなら、他動伸展は、他者の操作で足関節背屈することを指す。下腿三頭筋が伸張され痛み(伸張痛)が出やすい。
肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。肉離れの予防として、①柔軟性の向上、②血行改善、③アイシング、④違和感があった際の中断が必要となる。
【好発部位】
大腿四頭筋:太ももの前側(大腿直筋)で起こりやすい。なぜなら、股関節と膝関節の二つの関節の動きに作用する二関節筋であるため。
ハムストリングス:大腿二頭筋(筋腱移行部)で起こりやすい。
下腿三頭筋:筋線維の多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすい。10代からみられ、各年齢層にまんべんなく発生する。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中などにふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。
問題30 足関節外側側副靭帯1度損傷で見られないのはどれか。
1.疼痛
2.腫脹
3.圧痛
4.不安定性
答え.4
解説
足関節外側側副靱帯は、人体において存在しますか?、私が知る限り、肘関節と膝関節において外側側副靱帯がある。もしご存じの方いらしたら、コメント欄にてご協力をお願いします。なお、当問題については、足関節外側側副靱帯を「外側靭帯」と変換させて解いた。
1~3.〇 疼痛/腫脹/圧痛は、足関節外側側副靭帯1度損傷である。
炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
4.× 不安定性は、足関節外側側副靭帯1度損傷で見られない。
なぜなら、靱帯損傷グレードⅠは、靭帯が引き延ばされた状態であり、不安定性を伴わないため。不安定性が見られるのは、グレードⅡ以降のレベルである。
グレードⅠ:靭帯が引き延ばされた状態
グレードⅡ:靭帯が部分断裂した状態
グレードⅢ:靭帯が完全断裂した状態
グレードⅢの「靭帯の完全断裂」の場合にはもっとも重傷で、外くるぶしが腫れて血腫が溜まり、痛みが強くなるので歩行は困難となる。
外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯を合わせていう。
【足関節靭帯損傷の受傷原因】
足関節の内反や外反が強い外力でかかる捻挫が最も多い。
内反捻挫は、足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷される。
外反捻挫は、足関節内側靭帯(三角靭帯)が損傷される。
【頻度】
外反捻挫より内反捻挫が多い。
足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)の中でも前距腓靭帯が多く損傷される。
なぜなら、足関節の可動域が、外反より内反の方が大きく、内反・底屈に過強制力がかかるため。