第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前56~60】

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問題56 椎間円板で正しいのはどれか。

1.硝子軟骨を含む。
2.老化により肥厚する。
3.髄核は70~80%の水分を含む。
4.後面で黄色靭帯と接する。

答え.3

解説

軟骨とは?

軟骨は気質の成分により、主に3種類の①硝子軟骨、②線維軟骨、③弾性軟骨に分類される。
①硝子軟骨:骨端部分を覆う関節や、気管、咽頭などに存在する。
②線維軟骨:脊椎など動きの少ない関節に存在し、骨と骨の間でクッションの役割する。
③弾性軟骨:耳や鼻などを形づくる軟骨である。

1.× 硝子軟骨は、「含まない」。
椎間円板とは、椎体間に存在し、衝撃吸収の役割を果たす線維軟骨である。

2.× 老化により「肥厚」ではなく萎縮する。
なぜなら、椎間円板は老化により水分含有量が減り(脱水状態)となるため。これは、加齢を重ねると身長が少し縮む理由の一つでもある。

3.〇 正しい。髄核は70~80%の水分を含む
椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っている。髄核の水分量が減少すると、椎間板が持つ本来の弾力性を失い、クッションの役割を果たさなくなる。外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。

4.× 後面で「黄色靭帯」ではなく後縦靭帯と接する。
後縦靱帯は、脊椎椎体の後縁を上下に連結する。一方、黄色靭帯は、椎弓間を連結する。椎弓は、後方に存在し、椎弓の両脇に存在する椎間関節により結びつけられていると同時に、椎弓の間は黄色靭帯でつながっている。黄色靭帯は、軸椎から第1仙椎までの上下に隣り合った椎骨の椎弓板の間に張る靭帯である。つまり、脊柱管の側後壁に沿って走行する。

 

 

 

 

 

問題57 胸郭で正しいのはどれか。

1.肋骨は長管骨に分類される。
2.第10胸椎は下肋骨窩を欠く。
3.胸骨の肋骨切痕は12対ある。
4.胸骨角は第2胸椎の高さにある。

答え.2

解説
1.× 肋骨は、「長管骨」ではなく扁平骨に分類される。

2.〇 正しい。第10胸椎は下肋骨窩を欠く
下肋骨窩とは、椎弓根下方の椎体にあり、肋骨頭をいれる関節窩である。
第1胸椎 :8面(上関節突起・下関節突起・肋骨窩・横突肋骨窩 1対)
第2〜9胸椎 :10面(上関節突起・下関節突起・上肋骨窩・下肋骨窩・横突肋骨窩 1対)
第10胸椎 :8面(上関節突起・下関節突起・肋骨窩・横突肋骨窩 1対)
第11~12胸椎 :6面(上関節突起・下関節突起・肋骨窩 1対)
したがって、第10胸椎は、上肋骨窩しか持たない特徴がある。

3.× 胸骨の肋骨切痕は、「12対」ではなく7対ある。
肋骨切痕とは、胸骨の外側縁にある7個の切れ込みで、肋軟骨が関節する。真肋(第1〜7肋骨)が胸骨に直接付着する。

4.× 胸骨角は、「第2胸椎」ではなく第4〜第5胸椎の高さにある。
胸骨角とは、胸の中央で鎖骨よりやや足側にある突起で、 胸骨柄と胸骨体の結合部であり、第2肋骨が付着する。気管分岐部の位置は、腹側が胸骨角、背側が第4~第5胸椎に一致する。

 

 

 

 

 

問題58 肩関節の内旋と内転に働く筋はどれか。

1.棘上筋
2.棘下筋
3.小円筋
4.大円筋

答え.4

解説
1.× 棘上筋
棘上筋の【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部、【作用】肩関節外転、【支配神経】肩甲上神経:C5,C6

2.× 棘下筋
棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転、【支配神経】肩甲上神経:C5,C6

3.× 小円筋
小円筋の【起始】肩甲骨後面の外側部上半、【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端、【作用】肩関節外旋、【支配神経】腋窩神経:C5,C6である。

4.〇 正しい。大円筋が、肩関節の内旋と内転に働く筋である。
大円筋の【起始】肩甲骨の下角部、棘下筋膜下部外面、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、内旋、伸展、【支配神経】肩甲下神経:C5,C6,(C7)である。

 

 

 

 

 

問題59 閉鎖動脈と関わりがあるのはどれか。

1.坐骨大腿靱帯
2.大腿骨頭靱帯
3.恥骨大腿靱帯
4.腸骨大腿靱帯

答え.2

解説
1.× 坐骨大腿靱帯/恥骨大腿靱帯/腸骨大腿靱帯
これら靭帯は、内側大腿回旋動脈や外側大腿回旋動脈が取り巻き、大腿動脈からの分岐である。役割として、大腿骨頭の約2/3を栄養している。

2.〇 正しい。大腿骨頭靱帯は、閉鎖動脈と関わりがある。
大腿骨頭靱帯とは、大腿骨頭と臼蓋を連結しているため股関節内転を制限し、脱臼の予防に働く靭帯である。大腿骨頭靱帯(大腿骨頭)の主要な血液供給源の動脈は、大腿骨頭靭帯動脈である。この動脈は閉鎖動脈から分岐される。大腿骨頭靭帯動脈の特徴として、細い血管であるため、栄養血管としての役割は小さい。

 

 

 

 

 

問題60 矢印で示す動脈が栄養するのはどれか。

1.視床
2.内包
3.後頭葉
4.延髄外側部

答え.4

解説

(※図引用:慶應義塾大学医学部 解剖学教室より)

MEMO

矢印の動脈は、後下小脳動脈である。

1~2.× 視床/内包は、中大脳動脈穿通枝領域である。
視床とは、嗅覚以外のあらゆる感覚情報(体性感覚、痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を大脳皮質に送る一大中継基地を担う。視床出血の場合は、被殻出血と並んで頻度の高い脳出血で、脳出血全体の30%程度を占めている。麻痺に比べ、感覚障害が強くなる。一方、内包は、錐体路の一つである。錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。

3.× 後頭葉は、後大脳動脈領域である。
後大脳動脈とは、脳底動脈から分岐して、側頭葉(海馬を含む)および後頭葉の内側部、視床、ならびに乳頭体および膝状体に血流を供給する。

4.〇 正しい。延髄外側部は、矢印で示す動脈が栄養する。
矢印の動脈は、後下小脳動脈である。後下小脳動脈とは、椎骨動脈の最大の枝であり、上小脳動脈、前下小脳動脈とともに小脳を栄養する主な三つの動脈のうちのひとつである。椎骨動脈から分岐すると延髄上部の表面を背側にまわり、迷走神経および副神経と交叉する。ここで延髄の背外側を栄養する小さな穿通枝を分岐する。

 

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