第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前26~30】

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問題26 膝半月板損傷を評価するのはどれか。

1.ラックマンテスト
2.ピボットシフトテスト
3.マックマレーテスト
4.グラビティーテスト

答え.3

解説
1.× ラックマンテスト
Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

2.× ピボットシフトテスト
Pivot Shift/Pivot Shift test(ピボットシフトテスト)とは、前十字靭帯損傷の回旋不安定性現象を検査する。前十字靱帯損傷膝では膝伸展位において外反、軸圧のストレスをかけることにより脛骨は前方にずれる。そして、屈曲とともに 20°~30°付近で脛骨は突然整復位に外旋するように、即ち、後方の正常な位置に戻る。

3.〇 正しい。マックマレーテストは、膝半月板損傷を評価する。
マックマレーテスト(McMurray Test)は、半月板損傷を検査する。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。

4.× グラビティーテスト
グラビティーテスト(Gravity test )は、膝関節後十字靱帯損傷の検査である。両下肢を後方引き出しテストと同様の肢位とし、脛骨粗面の位置を側面から観察する。健側に比べ、患側の脛骨上端が後方に落ち込んでいる場合が陽性である。 

 

 

 

 

 

問題27 膝関節内側側副靭帯損傷の固定で誤っているのはどれか。

1.大腿近位部から下腿遠位部まで固定する。
2.固定は腓骨頭に綿花枕子をあてる。
3.固定期間は4~5週とする。
4.固定除去後は外反・外旋を制限する。

答え.3

解説
1.〇 正しい。大腿近位部から下腿遠位部まで固定する。
なぜなら、膝の外側からの外反ストレスに抵抗する機能が低下しているため。関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を補う。

2.〇 正しい。固定は腓骨頭に綿花枕子をあてる。
綿花枕子とは、神経の圧迫予防として使用されるものである。腓骨頭に綿花枕子をあて、総腓骨神経麻痺の予防を行う。

3.× 固定期間は、「4~5週」と決まっているわけではなく損傷の程度に応じて異なる
Grade Ⅰ:1~2週間
Grade Ⅱ:4~6週間
Grade Ⅲ:8週間以上

4.〇 正しい。固定除去後は外反・外旋を制限する。
なぜなら、膝の外側からの外反ストレスに抵抗する機能が低下しているため。内側側副靭帯とは、膝の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を持つ靭帯である。

 

 

 

 

 

問題28 下腿三頭筋肉離れで誤っているのはどれか。

1.直達外力による発生頻度が高い。
2.下腿中央部内側に圧痛を認める。
3.足関節の他動的背屈強制で疼痛を認める。
4.下腿をつかむと足関節が底屈する。

答え.1

解説

解説

肉離れとは?

肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。肉離れの予防として、①柔軟性の向上、②血行改善、③アイシング、④違和感があった際の中断が必要となる。

【好発部位】
大腿四頭筋:太ももの前側(大腿直筋)で起こりやすい。なぜなら、股関節と膝関節の二つの関節の動きに作用する二関節筋であるため。
ハムストリングス:大腿二頭筋(筋腱移行部)で起こりやすい。
下腿三頭筋:筋線維の多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすい。10代からみられ、各年齢層にまんべんなく発生する。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中などにふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。

1.× 「直達外力」ではなく介達外力による発生頻度が高い。
介達外力とは、打撃や圧迫などの外力が加わった部位から離れた部位に体内組織を通じて外力が伝わることである。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中などにふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。

2.〇 正しい。下腿中央部内側に圧痛を認める。
なぜなら、下腿三頭筋の肉離れの多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすいため。

3.〇 正しい。足関節の他動的背屈強制で疼痛を認める。
なぜなら、下腿三頭筋の線維に炎症がみられるため。下腿三頭筋は、足関節の底屈を制御する筋肉で、その筋肉が損傷すると、足関節の背屈を強制されると痛みが生じる。

4.〇 正しい。下腿をつかむと足関節が底屈する。
下腿をつかむと足関節が底屈しなかった場合は、アキレス腱断裂を疑う。下腿三頭筋の肉離れは、断裂しているわけではない。

 

 

 

 

 

問題29 アキレス腱断裂の固定で正しいのはどれか。

1.足MP関節手前まで固定する。
2.膝関節は軽度屈曲位にする。
3.足関節は軽度背屈位にする。
4.固定期間は2週とする。

答え.1

解説

アキレス腱断裂とは?

アキレス腱断裂は、完全断裂と部分断裂にわけられる。したがって、断裂の程度に応じて保存療法と手術療法のどちらかに選択される。
【保存療法の治療】最大6週間、アキレス腱にストレスが加わらないようにする。大腿中央から足MP関節手前まで副子固定を行い、膝関節:90°屈曲位、足関節:最大底屈位または自然下垂位にする。このときに、踵部は、アキレス腱断裂の固定において圧迫がかかりやすい部位である。固定装置が踵部に適切な圧力を与えることで、アキレス腱の治療に必要な安定性が確保されるが、その反面、皮膚障害が生じやすい。

1.〇 正しい。足MP関節手前まで固定する
アキレス腱断裂の固定では、通常、足の中足骨(MP)関節手前までを含むキャストやブーツを使用します。これは、アキレス腱が足関節の動きを制御するため、その部分を固定することで腱の治癒を助けます。

2.3.× 膝関節は、「軽度屈曲位」ではなく膝関節90度屈曲位にする。足関節は、「軽度背屈位」ではなく最大底屈位または自然下垂位にする。
なぜなら、アキレス腱にストレスが加わらないようにするため。

4.× 固定期間は、「2週」ではなく6週間程度とする。
ただし、治癒の速度は個々の患者や損傷の程度による。

 

 

 

 

 

問題30 足関節外側側副靱帯損傷で誤っているのはどれか。

1.内返しで発生する。
2.腫脹は損傷の程度と一致する。
3.前距腓靱帯の単独損傷が多い。
4.受傷直後は起立不能になることがある。

答え.2

解説

足関節外側側副靱帯損傷とは?

足関節外側側副靱帯は、人体において存在しますか?、私が知る限り、肘関節と膝関節において外側側副靱帯がある。もしご存じの方いらしたら、コメント欄にてご協力をお願いします。なお、当問題については、足関節外側側副靱帯を「外側靭帯」と変換させて解いた。

1.〇 正しい。内返しで発生する。
内反捻挫は、足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷される。

2.× かならずしも、腫脹は損傷の程度と一致するわけではない
なぜなら、腫脹は血液の流れによって末梢に流れやすいため。ちなみに、腫脹とは、炎症によって毛細血管の透過性が亢進することである。炎症などが原因で、からだの組織や器官の一部に血液成分が溜まってはれ上がる。

3.〇 正しい。前距腓靱帯の単独損傷が多い。
足関節内反捻挫の場合は、外側の前距腓靭帯や前脛腓靭帯が複合して損傷しやすい。ちなみに、足関節外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯があげられるが、最も損傷の頻度が多いのは、前距腓靱帯である。

4.〇 正しい。受傷直後は起立不能になることがある。
なぜなら、損傷の程度にもよるが、受傷後、足関節外側に痛みを感じることが多く、痛みのため歩行困難となる場合もあるため。

外側靭帯とは?

外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯を合わせていう。

【足関節靭帯損傷の受傷原因】
足関節の内反や外反が強い外力でかかる捻挫が最も多い。
内反捻挫は、足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷される。
外反捻挫は、足関節内側靭帯(三角靭帯)が損傷される。

【頻度】
外反捻挫より内反捻挫が多い。
足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)の中でも前距腓靭帯が多く損傷される。
なぜなら、足関節の可動域が、外反より内反の方が大きく、内反・底屈に過強制力がかかるため。

 

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