第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前81~85】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題81 細胞膜にあるのはどれか。

1.輸送体
2.滑面小胞体
3.ゴルジ装置
4.ミトコンドリア

答え.1

解説

細胞の構造

細胞は、核と細胞質からなり、細胞膜で覆われている。細胞膜は、リン脂質2重層から構成されており、この中に特殊なタンパク質(受容体、酵素、担体、チャネルなど)がはめ込まれている。脂溶性物質やガス(酸素や二酸化炭素)は、細胞膜を自由に通過できるが、水溶性物質(電解質や栄養素)は、通過できない。

1.〇 正しい。輸送体は、細胞膜にある。
膜輸送体(トランスポーター)とは、細胞膜内外でイオンや低分子物質を通過させる装置である。生体膜を貫通し、膜を通して物質の輸送をするタンパク質の総称である。単に輸送体または輸送担体あるいは輸送タンパク質ともいう。物質が透過できる間隙を持った構造の膜タンパク質である。

2.× 滑面小胞体
滑面小胞体とは、リボソームが付着していない小胞体の総称。コレステロールの合成や分解、脂質代謝、薬物の解毒、カルシウムの貯蔵などの機能を担っている。

3.× ゴルジ装置
ゴルジ装置とは、小胞体で合成された物質を細胞膜や分泌小胞に振り分けたり、タンパク質を修飾する。リボソームで生成され送り込まれてきた蛋白質に糖鎖を付け加え、濃縮するなどの修飾をする機能を持つ。

4.× ミトコンドリア
ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。

細胞膜の内外での物質のやり取り

①受容体:ある特定の分子を認識し結合するが、膜を通過させない。
②トランスポーター:細胞膜内外でイオンや低分子物質を通過させる装置。物質が透過できる間隙を持った構造の膜タンパク質。
③チャネル:特定の刺激に応じて開閉しイオンを通過させる。

 

 

 

 

 

問題82 細胞内液中の陽イオンで最も濃度が高いのはどれか。

1.カリウムイオン
2.カルシウムイオン
3.ナトリウムイオン
4.マグネシウムイオン

答え.1

解説

体液について

総水分(体液成分)は、①細胞外液、②細胞内液に分けられる。
①細胞外液:間質液と血漿。間質液が細胞外液の7~8割を占める。
②細胞内液:体液のうち細胞内に存在する。

1.〇 正しい。カリウムイオンは、細胞内液中の陽イオンで最も濃度が高い。
カリウムイオン(K+)は、細胞内液で最も多い陽イオンである。カリウムは、細胞内の主要な陽イオンであり、体内のカリウムのほとんどが細胞内に分布しているため、溶血が起こると、血清カリウムの濃度が上昇する。溶血の原因としては、①不適切な採血手技、②血球成分の異常、③採血検体の不適切な保存─が主に挙げられる。

2.× カルシウムイオン
カルシウムイオン(Ca2+)は、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。

3.× ナトリウムイオン
ナトリウムイオン(Na+)は、血漿中で最も多い陽イオンである。ナトリウムイオンは、主にカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持している。他にも、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節している。

4.× マグネシウムイオン
マグネシウムは、生体内で約50~60%がリン酸塩や炭酸塩として骨に沈着し、残りの約40%は筋肉や脳、神経に存在している。細胞が正常に働くために必須の物質である。重炭酸イオンは、血染中では酸塩基平衡に重要な陰イオンである。重炭酸イオンは、体が酸性に傾いたとき、腎臓によって、血液中に重炭酸イオン(アルカリ性物質)を放出し、アシドーシスを防ぐ働きをする。

電解質異常とは?

電解質異常とは、体内の電解質バランスが崩れることによって引き起こされる病気のことである。電解質とは、体内の液体に存在するイオン(带電粒子)のことで、主なものにナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)などがある。電解質異常は、体液の浸漏や脱水、腎臓や腸の異常、薬剤などによって引き起こされる。症状は異常によって異なる。

 

 

 

 

 

問題83 老化した赤血球が破壊される臓器はどれか。

1.心臓
2.骨髄
3.腎臓
4.脾臓

答え.4

解説

赤血球とは?

赤血球とは、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ちなみに、ヘモグロビンのヘム鉄が、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。

1.× 心臓
心臓は、血液を体全体に送り出す役割を果たす。

2.× 骨髄
骨髄は、新しい赤血球を生成する。

3.× 腎臓
腎臓は、老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排泄することで、体の中の水分量やナトリウムやカリウムといったイオンバランスを適正に保ったり、血液の酸性・アルカリ性を調節したり、体内を常に最適な環境にする機能がある。

4.〇 正しい。脾臓は、老化した赤血球が破壊される臓器である。
脾臓は、①古くなった血球(白血球、赤血球、血小板)の処理や、②感染に対する防御など免疫に関係する働きを担う。

 

 

 

 

 

問題84 細胞とその機能の組合せで正しいのはどれか。

1.好中球:抗体産生
2.Bリンパ球:細胞破壊
3.Tリンパ球:貧食殺菌
4.マクロファージ:抗原提示

答え.4

解説
1.× 好中球は、「抗体産生」ではなく貧食殺菌である。
好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。

2.× Bリンパ球(B細胞)は、「細胞破壊」ではなく抗体産生である。
B細胞とは、T細胞と同じリンパ球の一種で、免疫機構を担う重要な細胞である。 B細胞は、リンパ球の約20~40%を占め、骨髄で産生され骨髄内で分化、成熟する。

3.× Tリンパ球(T細胞)は、「貧食殺菌」ではなく細胞破壊(キラーT細胞)である。
T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。

4.〇 正しい。マクロファージは、「抗原提示」である。
マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。

 

 

 

 

 

問題85 図の心電図の矢印が示す波形が反映するのはどれか。

1.心房の脱分極
2.心房の再分極
3.心室の脱分極
4.心室の再分極

答え.1

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.〇 正しい。心房の脱分極が図の心電図の矢印が示す波形が反映する。
これは、P波である。

2.× 心房の再分極
これは、心電図には反映されない。

3.× 心室の脱分極
これは、QRS波である。

4.× 心室の再分極
これは、T波である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)