第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前86~90】

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問題86 リンパ管で正しいのはどれか。

1.リンパ管には弁がある。
2.リンパ液には赤血球が含まれる。
3.毛細リンパ管には厚い平滑筋層がある。
4.下半身からのリンパ液は鎖骨下動脈に戻る。

答え.1

解説

胸管とは?

胸管とは、最大のリンパ管である。下半身と左上半身のリンパを集める全長35~40cmのリンパ管である。胸管は鎖骨下静脈に接続し、リンパ液を血液中に戻す。 またリンパ液は、組織中の異物(細菌など)、がん細胞、死んだ細胞や損傷した細胞などを廃棄するためにリンパ管やリンパ器官に運ぶ役割も担っている。

1.〇 正しい。リンパ管には弁がある
静脈と同様に、リンパ管にはきわめて多くの弁が存在する。これによりリンパ液が一方向にしか流れないようになっている。リンパ流の動力源は周囲の筋による筋ポンプである。

2.× リンパ液には赤血球が「含まれない」。
リンパ液の内容は水分(血しょう成分)が大部分で、リンパ球、電解質、脂肪など含まれる。赤血球とは、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ちなみに、ヘモグロビンのヘム鉄が、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。

3.× 厚い平滑筋層があるのは、「毛細リンパ管」ではなく太いリンパ管である。
始まりは細くて網目状の毛細リンパ管であるが、それらが段々と集まって合流し、集合リンパ管、そして主幹リンパ管となり、太くなる。最後は胸管、右リンパ本幹と呼ばれる2本にまとまって、静脈に注ぐ。

4.× 下半身からのリンパ液は、「鎖骨下動脈」ではなく乳ビ槽に戻る。乳び槽(胸管の起始部)は、腸リンパ本幹と腰リンパ本幹(左右腰リンパ本幹)が合流してできる。左右腰リンパ本幹→乳ビ槽→胸管に注ぐ。

 

 

 

 

 

問題87 動静脈吻合が発達している組織はどれか。

1.脳
2.肺
3.心臓
4.皮膚

答え.4

解説

動静脈吻合とは?

動静脈吻合とは、毛細血管を通さずに、大きな連絡管により動脈と静脈を結ぶ血管である。熱を皮膚表面へ 運び出し環境へ放散するために極めて重要な役割を担っている。からだのさまざまな箇所にあるが、とくに手掌、足底および指の皮膚、爪床、鼻、耳などに見られる。(※読み:どうじょうみゃくふんごう)

1.× 脳
脳とは、運動、触覚、嗅覚、味覚、聴覚、視覚の統合を行っている器官である。

2.× 肺
肺とは、空気中の酸素をからだに取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を外に出す働きを持つ器官である。

3.× 心臓
心臓とは、収縮と拡張を繰り返して、血液を循環させる働きを持つ器官である。

4.〇 正しい。皮膚は、動静脈吻合が発達している組織である。
動静脈吻合とは、毛細血管を通さずに、大きな連絡管により動脈と静脈を結ぶ血管である。熱を皮膚表面へ 運び出し環境へ放散するために極めて重要な役割を担っている。からだのさまざまな箇所にあるが、とくに手掌、足底および指の皮膚、爪床、鼻、耳などに見られる。

 

 

 

 

 

問題88 肺気量分画の大きさの比較で正しいのはどれか。

1.肺活量>予備呼気量
2.予備吸気量>肺活量
3.残気量>機能的残気量
4.予備呼気量>機能的残気量

答え.1

解説

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

1.〇 正しい。肺活量>予備呼気量
肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。

2.× 予備吸気量>肺活量
予備吸気量とは、正常1回換気量を超えて吸気可能な最大空気量である。

3.× 残気量>機能的残気量
残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。一方、機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。

4.× 予備呼気量>機能的残気量
機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。

 

 

 

 

 

問題89 血液中の二酸化炭素の運搬形態で最も多いのはどれか。

1.重炭酸イオン
2.カルバミノ化合物
3.血漿に物理的に溶解したもの
4.赤血球中に物理的に溶解したもの

答え.1

解説

炭酸ガス輸送とは?

炭酸ガス輸送とは、代謝によって産生された生体組織中の二酸化炭素(炭酸ガス)が血液により肺に輸送される過程のことをさす。酸素は、ほとんど赤血球中のヘモグロビンによってのみ輸送される。一方、二酸化炭素は、血しょうと赤血球の両者により輸送される。その割合は、約90%が血しょう中の重炭酸イオン(HCO3-)という形で、約5%が血しょうおよび赤血球中に溶解した二酸化炭素の形、約5%がヘモグロビンあるいは血しょうタンパクのアミノ基と結合したカルバミノ化合物の形である。

1.〇 正しい。重炭酸イオンは、血液中の二酸化炭素の運搬形態で最も多い。
約90%が血しょう中の重炭酸イオン(HCO3-)という形である。炭酸ガス輸送とは、代謝によって産生された生体組織中の二酸化炭素(炭酸ガス)が血液により肺に輸送される過程のことをさす。酸素は、ほとんど赤血球中のヘモグロビンによってのみ輸送される。一方、二酸化炭素は、血しょうと赤血球の両者により輸送される。その割合は、約90%が血しょう中の重炭酸イオン(HCO3-)という形で、約5%が血しょうおよび赤血球中に溶解した二酸化炭素の形、約5%がヘモグロビンあるいは血しょうタンパクのアミノ基と結合したカルバミノ化合物の形である。

2.× カルバミノ化合物
約5%がヘモグロビンあるいは血しょうタンパクのアミノ基と結合したカルバミノ化合物の形である。

3~4.× 血漿に物理的に溶解したもの/赤血球中に物理的に溶解したもの
約5%が血しょうおよび赤血球中に溶解した二酸化炭素の形である。

 

 

 

 

 

問題90 膵液で正しいのはどれか。

1.アルカリ性である。
2.ペプシノゲンが含まれる。
3.セクレチンは分泌を抑制する。
4.膵リパーゼはグルコースを分解する。

答え.1

解説

膵液とは?

膵液とは、膵臓から十二指腸に分泌される消化液である。糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素、核酸の分解酵素を含んでいる。

1.〇 正しい。アルカリ性である
なぜなら、膵液は、胃からの酸性の食物を中和する働きを持つため。

2.× ペプシノゲンが「含まれない」。
胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。一方、膵液にはアミラーゼ、リパーゼ、トリプシンどの酵素が含まれている。

3.× セクレチンは分泌を「抑制」ではなく促進する。
セクレチンは、十二指腸のS細胞から分泌される。胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。

4.× 膵リパーゼは、「グルコース」ではなく脂質(トリグリセリド)を分解する。
主に膵液に含まれるリパーゼは、トリグリセリド(中性脂肪)を分解する消化酵素である。つまり、脂質は、①胃リパーゼ、②膵リパーゼ、③腸リパーゼが分解する。

 

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