第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前16~20】

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問題16 肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定で誤っているのはどれか。

1.貼付範囲を清拭する。
2.乳頭部はガーゼで保護する。
3.包帯で被覆した上に絆創膏を貼付する。
4.肋骨弓下縁から順次上方へ重ねていく。

答え.

解説

肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定とは?

肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定とは、絆創膏を貼付する範囲をアルコール綿で消毒し、呼気時に貼付していく。その際、乳頭部はガーゼで保護し、肋骨弓下縁から上方に向かって少しずつ重ねながら貼付していく。

1~2.4.〇 正しい。貼付範囲を清拭する/乳頭部はガーゼで保護する肋骨弓下縁から順次上方へ重ねていく。
肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定である。

3.× 包帯で被覆した上に絆創膏を貼付することは、肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定ではない。
これは、熱傷など炎症が起こった時に用いられる方法である。

 

 

 

 

 

問題17 肩鎖関節上方脱臼の3度損傷で正しいのはどれか。

1.肩峰が角状に突出してみえる。
2.反跳症状がみられる。
3.頭部を健側に傾ける。
4.上肢は短縮する。

答え.

解説

MEMO

第一度:関節包・肩鎖靭帯の部分断裂。関節の安定性は良好。
第二度:関節包・肩鎖靭帯は完全断裂。関節は不安定。鎖骨外端は上方転位。
第三度:関節包・肩鎖靭帯・烏口鎖骨靭帯完全断裂。鎖骨外端下面上方転位。

1.× 肩峰が角状に突出してみえる。
肩関節烏口下脱臼の特徴である。

2.〇 正しい。反跳症状がみられることは、肩鎖関節上方脱臼の3度損傷である。
肩鎖関節脱臼では肩鎖関節のズレにより、鎖骨の外側の端が皮膚を持ち上げて階段状に飛び出して見えることがある。上方に持ち上がった鎖骨を上から押すと、ピアノの鍵盤のような上下の動きが確認でき(ピアノキーサイン)、肩鎖関節の安定性が損なわれている。

3.× 頭部を健側に傾ける。
鎖骨骨折に見られることが多い。

4.× 上肢は短縮する。
上腕骨の骨折の特徴である。

肩鎖関節損傷の分類

Ⅰ型:【捻挫】:肩鎖靭帯が損なわれるが、X線では異常所見がない。
Ⅱ型:【亜脱臼】:肩鎖靭帯が断裂し鳥口鎖骨靭帯が損なわれ、骨が上にずれ、関節の隙間が拡大する。
Ⅲ型:【上方脱臼】:肩鎖靭帯と鳥口鎖骨靭帯が断裂し、鎖骨が完全に上にずれる。
Ⅳ型:【後方脱臼】:鎖骨が後ろにずれる。
Ⅴ型:【明らかな脱臼】・鎖骨に付く筋肉等が全部損なわれる。
Ⅵ型:【下方脱臼】:極めてまれ。

烏口下脱臼とは?

烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。

 

 

 

 

 

問題18 肩鎖関節脱臼整復時に上腕に対する助手の動作で正しいのはどれか。

1.下方へ牽引する。
2.上方へ押し上げる。
3.内方へ牽引する。
4.外方へ押し上げる。

答え.

解説

肩鎖関節脱臼の整復法・固定法

【整復法】
①助手:患者の後方に立ち、患肢上肢を後上方へ軽く引く。
②術者は下方に転位した患肢上肢を上方に押し上げながら鎖骨遠位端を下方へ圧迫して整復する。

【固定法】
①固定期間:4週~8週
②整復位は困難で完全固定が容易ではない。

1.× 下方/内方/外方へ牽引する。
これは、肩鎖関節脱臼整復時に上腕に対する助手の動作に該当しない。

2.〇 正しい。上方へ押し上げることは、肩鎖関節脱臼整復時に上腕に対する助手の動作である。
ちなみに、術者は下方に転位した患肢上肢を上方に押し上げながら鎖骨遠位端を下方へ圧迫して整復する。

 

 

 

 

 

問題19 肩関節烏口下脱臼に対するコッヘル法で第2操作はどれか(※不適切問題:解2つ)。

1.外転
2.内転
3.外旋
4.内旋

答え.2or3
理由:設問が不明確で複数の選択肢が正解と考えられるため。

解説

コッヘル法とは?

コッヘル法とは、肩関節の脱臼の際の治療方法である。
【方法】
・患者:仰向け
・術者:肘の関節を90度に曲げて引っ張り、ゆっくり肩関節を外旋・内転させる。これを行ない続けると、脱臼の整復が次第に行なわれる。

※コッヘル法は、てこの原理を利用しているため、筋力のない高齢者などにも使える。ただ、十分筋力のある成人などに行なう場合は、大きな痛みが残る場合があるので、前もって全身麻酔をしておくことが推奨されている。

1.4.× 外転/内旋
コッヘル法において、肩関節外転・内旋は行わない。

2~3.〇 正しい。内転/外旋は、肩関節烏口下脱臼に対するコッヘル法で第2操作である。

 

 

 

 

 

問題20 肩関節烏口下脱臼の固定で用いるのはどれか。

1.麦穂帯
2.8字帯
3.セイヤー絆創膏固定
4.ハンギングキャスト

答え.

解説
1.〇 正しい。麦穂帯は、肩関節烏口下脱臼の固定で用いる。
麦穂帯(ばくすいたい)とは、手関節、足関節、股関節、肩といった屈曲する部位、下腿などの太さが一定でない部位に対して行われる方法である。8の字を描くように交差させながら巻く。関節部分をきれいに覆うことができるだけでなく、各関節の良肢位を保ったまま固定できる。

2.× 8字帯
(亀甲帯)ともいう。関節部を中心に8の字に交差させながら巻いていく方法。 屈曲・伸展がある程度可能なので、肘関節や膝関節、足関節などの被覆(保護)に用いる。

3.× セイヤー絆創膏固定
セイヤー絆創膏固定とは、転位の少ないもの・応急処置時に用いられる。

4.× ハンギングキャスト
ハンギングキャストは、ずれのある上腕骨近位端骨折に用いられる。脇の下から手部までギブスをまいてその重みで整復する。ちなみに、ずれが無いものは、三角巾固定で行う。

セイヤー絆創膏固定とは?

セイヤー絆創膏固定(転位の少ないもの・応急処置時に用いられる)。
腋窩枕子:末梢牽引を行うためのてこの視点となる。
第一帯:肩を外方に引き鎖骨の短縮を防止する(内転を矯正する)。
第二帯:患肢を挙上させて下方転位を防止する(患肢を挙上して下方転位の防止をする)。
第三帯:前腕の重量で骨折部を圧迫する。

 

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