第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前126~128】

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問題126 薬剤注射直後に起こり得る副反応の機序はどれか。

1.IgEが抗原と結合して誘導される即時型反応
2.細胞膜抗原に結合する抗体に誘導される細胞傷害反応
3.免疫複合体に誘導される組織傷害反応
4.Tリンパ球に誘導される遅延型反応

答え.

解説

1.〇 正しい。IgEが抗原と結合して誘導される即時型反応は、薬剤注射直後に起こり得る副反応の機序である。薬剤注射直後に起こり得る副反応の一つはアナフィラキシーと呼ばれる重篤なアレルギー反応で、これはIgE抗体が抗原(この場合、薬剤)と結合することにより誘導される。ちなみに、IgEとは、Ⅰ型アレルギーに関与する抗体で、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、I型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。

2.× 細胞膜抗原に結合する抗体に誘導される細胞傷害反応
Ⅱ型アレルギー(IgG、IgM)のことで、細胞傷害型である。細胞膜に付着している抗原(アレルゲン)と、抗体が結合して反応する。溶血性貧血・血小板減少症、重症無力筋症などである。ちなみに、抗体とは、液性免疫の中心となる存在で、病気の原因となる細菌やウィルスなどが体内に侵入したとき、異物として攻撃したり体外に排除する役割を担うタンパク質のことである。 免疫メカニズムに関与するリンパ球であるB細胞から産生・放出され、免疫グロブリンとも呼ばれる。

3.× 免疫複合体に誘導される組織傷害反応
Ⅲ型アレルギー(IgG)のことで、免疫複合体型である。血清病、リウマチ、腎炎などである。抗原抗体反応の結果産生された抗原-抗体複合体が、小血管壁に付着することにより起こる。

4.× Tリンパ球に誘導される遅延型反応
Ⅳ型アレルギーのことで、遅延型細胞性免疫やツベルクリン型と呼ばれる、感作T細胞が関与するアレルギーである。感作T細胞と抗原の反応によって産生・放出されたサイトカインが局所の細胞性免疫反応を活性化し、炎症と組織障害が生じる。ツベルクリン反応、接触性皮膚炎などに関連する。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題127 前癌病変でないのはどれか。

1.食道異形成
2.大腸腺腫
3.子宮頸部異形成
4.前立腺肥大

答え.

解説

前癌病変とは?

前癌病変とは、正常組織よりも癌を発生しやすい形態学的に変化した組織のことをいう。口腔内の前癌病変の一つに白板症がある。白板症とは、口腔粘膜に生じた、摩擦によって除去できない白色の板状あるいは斑状の角化病変で、40歳以上の男性の舌や歯肉、頬粘膜に好発するといわれる。

1.3.〇 食道異形成/子宮頸部異形成
異形成は、前癌病変になる進行性病変である。異形成とは、(癌ではないが)細胞や細胞配列が乱れる病変のことである。その程度によって、①軽度異形成、②中等度形成、③高度異形成に分類される。ちなみに、高度異形成は、子宮頸癌の前癌病変とされる。

2.〇 大腸腺腫
腺腫は、大腸内視鏡検査中に最も多く発見されるポリープで腫瘍である。腫瘍細胞は、勝手かつ過剰に増加する。結果的に腺腫は自分で大きくなり、細胞自体が悪くなって、大腸がんになる。

4.× 前立腺肥大は、前癌病変でない。肥大とは、細胞や組織・臓器の大きさが増して容量が増大する事である。病的肥大には、高血圧症や弁膜症に伴う心肥大、前立腺肥 大に伴う膀胱壁の筋肥大などがある。

 

 

 

 

 

問題128 扁平上皮癌の好発部位はどれか。

1.口腔
2.胃
3.大腸
4.子宮体部

答え.

解説
1.〇 口腔は、扁平上皮癌の好発部位である。
扁平上皮癌とは、最上層が薄くて平らな細胞よりなる上皮からなる癌をいう。特徴として、分化度の異なる不均一からなる細胞から構成され、欠陥分布も均一性を欠く。好発部位は、舌が最も多く、次いで歯肉、頬、口底、口蓋である。

2~4.× 胃/大腸/子宮体部
胃/大腸/子宮体部がんは、腺癌の好発部位である。腺癌とは、腺組織とよばれる上皮組織から発生するがんである。 胃、腸、子宮体部、肺、乳房、卵巣、前立腺、肝臓、膵臓、胆のうなどに発生する。なかでも、胃がんの90%以上は、胃壁の最も内側の粘膜上皮細胞から発生する腺癌である。

食道癌とは?

食道癌は食道に発生した上皮性腫瘍のことである。組織学的に約90%が扁平上皮癌である。好発部位は、胸部中部食道、胸部下部食道の順で、胸部中部食道が約50%を占める。アルコール、喫煙、熱い食事、Barrett食道、アカラシアなどが誘因である。

 

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