第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午前106~110】

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問題106 関節運動で正しいのはどれか。

1.伸展は体節同士のなす角度が小さくなる。
2.内転は体節が身体の中心線から遠ざかる。
3.内旋は開始肢位での前面が外側に向く。
4.分回し運動は体節が円錐形を描く。

答え.4

解説
1.× 伸展は体節同士のなす角度が、「小さく」ではなく大きくなる。
伸展は、関節を構成する骨が互いに遠ざかる方向に動くため。

2.× 内転は体節が身体の中心線から「遠ざかる」のではなく近づく
内転は、体節が身体の中心線に近づく方向に動く運動である。

3.× 内旋は開始肢位での前面が、「外側」ではなく内側に向く。
内旋は、四肢の軸を中心にして、開始肢位での前面が内側に向く運動である。

4.〇 正しい。分回し運動は体節が円錐形を描く
分回し運動(円錐運動)は、関節が円錐形の軌道を描くような複合的な運動で、関節の動きが柔軟性と広範囲の動きを示す。

 

 

 

 

 

問題107 関節運動を起こさない筋収縮はどれか。

1.遠心性
2.求心性
3.等尺性
4.等運動性

答え.3

解説
1.〇 遠心性
遠心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。

2.〇 求心性
求心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。

3.× 等尺性は、関節運動を起こさない筋収縮である。
等尺性運動とは、関節を動かさない筋肉の収縮で、筋の長さは一定である特徴を持つ。ギプス固定している間の筋の廃用予防のための筋力トレーニングとして重要である。

4.〇 等運動性
等運動性収縮(等速性収縮)は、関節の運動速度が一定に保たれている運動である。したがって、可動域全般にわたり負荷が可能である。しかし、等運動性収縮(等速性収縮)の欠点として、バイオデックスなどの特殊な機器を必要とする。

 

 

 

 

 

問題108 伸張反射で正しいのはどれか。

1.多シナプス反射である。
2.Ⅰa群運動線維を通じて刺激が求心的に伝達される。
3.γ運動ニューロンを通じて錘外筋に刺激が伝達される。
4.緊張性頸反射が該当する。

答え.2

解説

伸張反射とは?

伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。

1.× 「多」ではなく単シナプス反射である。

2.〇 正しい。Ⅰa群運動線維を通じて刺激が求心的に伝達される
伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するものである。

3.× γ運動ニューロンを通じて、「錘外筋」ではなく錘内筋に刺激が伝達される。
γ運動ニューロンは、錘内筋線維の両端を支配しており、筋紡錘が正常に働くように調節する機能がある。

4.× 緊張性頸反射は、伸張反射とは異なるものである。
緊張性頸反射は、頚部の筋収縮に基づいて体の姿勢を制御する反射である。たとえば、非対称性緊張性頚反射とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する反射のことである。生後から生後4~6ヵ月までみられる。

 

 

 

 

 

問題109 肩関節を内旋するのはどれか。

1.小円筋
2.肩甲下筋
3.棘上筋
4.棘下筋

答え.2

解説
1.× 小円筋
【起始】肩甲骨後面の外側部上半、【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端、【作用】肩関節外旋、【神経】腋窩神経

2.〇 正しい。肩甲下筋は、肩関節を内旋する。
【起始】肩甲骨肋骨(肩甲下窩)と筋膜内面、【停止】上腕骨前面の小結節、小結節稜上端内側、【作用】肩関節内旋、【神経】肩甲下神経

3.× 棘上筋
【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部、【作用】肩関節外転、【神経】肩甲上神経

4.× 棘下筋
【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転、【神経】肩甲上神経

 

 

 

 

 

問題110 股関節を伸展するのはどれか。

1.大殿筋
2.腸腰筋
3.長内転筋
4.大腿筋膜張筋

答え.1

解説
1.〇 正しい。大殿筋は、股関節を伸展する。
【起始】腸骨翼の外面で後殿筋線の後方、仙骨・尾骨の外側縁、仙結節靭帯、腰背筋膜、【停止】腸脛靭帯、大腿骨の殿筋粗面、【作用】股関節伸展、外旋、外転、上部:内転、下部:骨盤の下制、【神経】下殿神経

2.× 腸腰筋
腸腰筋は、①腸骨筋と②大腰筋の2筋からなる。
①腸骨筋:【起始】腸骨窩全体、【停止】大腿骨の小転子、【作用】股関節屈曲、外旋、【神経】大腿神経
②大腰筋:【起始】第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板、すべての腰椎の肋骨突起、第12肋骨、【停止】大腿骨の小転子、【作用】股関節屈曲、【神経】腰神経叢の枝

3.× 長内転筋
【起始】恥骨結節の下方、【停止】大腿骨粗線内側唇の中部1/3、【作用】股関節内転、屈曲、【神経】閉鎖神経前枝

4.× 大腿筋膜張筋
【起始】上前腸骨棘と大腿筋膜の内側、【停止】腸脛靭帯、脛骨外側顆前面の粗面、【作用】股関節屈曲、内旋、外転、膝関節伸展、【神経】上殿神経

 

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