第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午前111~115】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題111 一側が収縮することで体幹を反対側に回旋させるのはどれか。

1.脊柱起立筋
2.腰方形筋
3.内腹斜筋
4.外腹斜筋

答え.4

解説
1.× 脊柱起立筋
【作用】両側が作用すると脊柱を反らせ、肋骨を引き下げる。片側が働けば体を同側に曲げる。

2.× 腰方形筋
【起始】腸骨稜と腸腰靭帯、腰椎肋骨突起、【停止】第12肋骨、腰椎肋骨突起、【作用】腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)、【神経】腰神経叢

3.× 内腹斜筋
【起始】腰腱膜、腸骨稜前部の中間線および鼠経靭帯の外側部、【停止】腱膜は2枚に分かれて腹直筋鞘の前後両葉に入り白線に終わる、【作用】上体を同側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う、【神経】①肋間神経、②腸骨下腹神経、③腸骨鼠経神経

4.〇 正しい。外腹斜筋は、一側が収縮することで体幹を反対側に回旋させる。
【起始】第5(6)~12肋骨の外面、【停止】腱膜は腹直筋鞘の前葉に入って白線に終わる。鼠経靭帯、恥骨稜。
最後部:腸骨稜外唇、【作用】肋骨の引き下げ、脊柱の屈曲、骨盤の引き上げ、また脊柱を同時に曲げ、上体を対側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う、【神経】①肋間神経、②腸骨下腹神経

 

 

 

 

 

問題112 立位姿勢の重心線が後方を通るのはどれか。

1.足関節
2.膝関節
3.股関節
4.第4腰椎

答え.3

解説

重心線

重心線は、①乳様突起(耳垂のやや後方)→②肩峰(肩関節の前方)→③大転子→④膝蓋骨後面(膝関節前部)→⑤外果前方を通る。

1~2.4.× 足関節/膝関節/第4腰椎
立位姿勢の重心線は、各選択肢の前方を通る。

3.〇 正しい。股関節は、立位姿勢の重心線が後方を通る。重心線は、①乳様突起(耳垂のやや後方)→②肩峰(肩関節の前方)→③大転子(股関節後方)→④膝蓋骨後面(膝関節前部)→⑤外果前方を通る。

 

 

 

 

 

問題113 歩行時の関節運動で正しいのはどれか。

1.支持脚の股関節は踵接地後ただちに屈曲する。
2.支持脚の膝関節は踵接地後ただちに過伸展する。
3.膝関節は1回の歩行周期に2度屈曲する。
4.足関節は1回の歩行周期に1度背屈する。

答え.3

解説


1.× 支持脚の股関節は、踵接地後ただちに「屈曲」ではなく伸展する。

2.× 支持脚の膝関節は、踵接地後ただちに「過伸展」ではなく屈曲する。
なぜなら、衝撃吸収のため。

3.〇 正しい。膝関節は1回の歩行周期に2度屈曲する
膝関節は、踵接地直後と遊脚期に膝関節は2度屈曲(膝関節のダブルニーアクション)する。踵接地直後の膝関節屈曲は、床の衝撃を和らげるために起こる。ちなみに、遊脚期の膝関節屈曲は、床とのクリアランス確保のために起こる。

4.× 足関節は1回の歩行周期に、「1度」ではなく2度背屈する。
足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。1度目の背屈は立脚後期、2度目の背屈は遊脚中期である。

歩行周期

【立脚期】

 1. 初期接地(Initial Contact;以下,IC):観測肢の接地の瞬間
 2. 荷重応答期(Lording Response;以下,LR):IC から対側爪先離地まで
 3. 立脚中期(Mid Stance;以下,MSt):対側爪先離地から対側下腿下垂位まで
   立脚中期前半:対側爪先離地から両下腿の交差まで
   立脚中期後半:両下腿交差から対側下腿下垂位まで
 4. 立脚終期(Terminal Stance;以下,TSt):対側下腿下垂位から対側 IC まで
 5. 前遊脚期(Pre Swing;以下,PSw):対側 IC から観測肢爪先離地まで

【遊脚期】

 6. 遊脚初期(Initial Swing;以下,ISw):観測肢爪先離地から両下腿の交差まで
 7. 遊脚中期(Mid Swing;以下,MSw):両下腿交差から下腿下垂位まで
 8. 遊脚終期(Terminal Swing;以下,TSw):下腿下垂位から IC まで

 

 

 

 

 

問題114 歩行開始の段階の小児歩行に特徴的なのはどれか。

1.踵から接地する。
2.上肢の振りがない。
3.左右の足の間隔が狭い。
4.歩行率が低い。

答え.2

解説
1.× 「踵から」ではなくつま先や足部外側から接地する。
なぜなら、バランスが不安定で、広い支持面を確保する必要があり、股関節外転・外旋位を強制されるためである。成長するにつれて、踵から接地する歩行パターンが徐々に出現する。

2.〇 正しい。上肢の振りがない
歩行開始の段階の小児歩行では、上肢の振りがほとんどないのが特徴である。上肢を挙上し、腕の振りがない歩行をハイガード歩行という。バランスが改善されると、上肢の振りが徐々に現れる。

3.× 左右の足の間隔が「狭い」のではなく広い
なぜなら、バランスが不安定で、広い支持面を確保する必要があるため。

4.× 歩行率が「低い」のではなく高い
なぜなら、歩幅が小さくなり歩数は増えるため。歩行率とは、単位時間内の歩数(歩/分)である。歩行率(歩調、ケイデンスとも)とは、単位時間内(1分間)の歩数を表す。歩行率=歩数(歩)÷歩行時間(秒)で示され、一般的に幼児で高く(ヨチヨチ歩きで歩数が多いため)、年齢が高くなるにつれて減少していく。

歩行直後の上肢の肢位

小児は身体の重心位置が相対的に高位で不安定なため、支持基底面の拡大で安定性を確保する。歩行率は年齢とともに減少し、歩幅は年齢とともに増加する。

ハイガード歩行:12ヶ月頃
ミドルガード歩行:15ヶ月頃
ローガード歩行:18ヶ月頃

 

 

 

 

 

問題115 記憶の3つの過程の順で正しいのはどれか。

1.記銘→保持→想起
2.想起→保持→記銘
3.保持→記銘→想起
4.想起→記銘→保持

答え.1

解説

記憶の3つの過程

記憶には、①記銘→②保持→③想起という3つのプロセスがある。
①記銘:覚えること、すなわち脳に情報をインプットすること。
②保持:脳がその情報を維持し続けること。
③想起:脳の中にある情報を引き出す「思い出す」こと。

したがって、選択肢1.記銘→保持→想起が記憶の3つの過程の順である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)