第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午前101~105】

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問題101 糸球体血圧60mmHg、ボーマン嚢内圧15mmHg、血漿膠質浸透圧25mmHgの場合の有効濾過圧はどれか。

1.20mmHg
2.50mmHg
3.70mmHg
4.100mmHg

答え.1

解説

有効濾過圧とは?

有効濾過圧は、糸球体での血液濾過を生じさせる圧力差を表す。糸球体の濾過は、糸球体血圧、ボーマン嚢内圧および血漿膠質浸透圧の間のバランスによって決まる。

有効濾過圧は、以下の式で計算できます。

有効濾過圧=糸球体血圧-(ボーマン嚢内圧+血漿膠質浸透圧)

①糸球体血圧:60mmHg
②ボーマン嚢内圧:15mmHg
③血漿膠質浸透圧:25mmHg

 有効濾過圧
=60mmHg-(15mmHg+25 mmHg)
=60mmHg-40mmHg
=20mmHg

選択肢1.20mmHgは、糸球体血圧60mmHg、ボーマン嚢内圧15mmHg、血漿膠質浸透圧25mmHgの場合の有効濾過圧である。

 

 

 

 

 

問題102 欠乏するビタミンと疾患の組合せで正しいのはどれか。

1.ビタミンA:くる病
2.ビタミンB1:夜盲症
3.ビタミンC:壊血病
4.ビタミンD:多発性神経炎

答え.3

解説
1.× ビタミンAは、「くる病」ではなく夜盲症である。
くる病は、ビタミンD欠乏である。

2.× ビタミンB1は、「夜盲症」ではなく、脚気・多発性神経炎である。

3.〇 正しい。ビタミンC欠乏は、壊血病を引き起こす。
壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。

4.× ビタミンDは、「多発性神経炎」ではなく、小児ではくる病、成人では骨軟化症をきたす。
多発性神経炎は、ビタミンB1(チアミン)欠乏によって引き起こされる。

 

 

 

 

 

問題103 ミトコンドリアを必要としない反応はどれか。

1.解糖
2.β酸化
3.クエン酸回路
4.酸化的リン酸化

答え.1

解説
1.× 解糖は、ミトコンドリアを必要としない反応である。
解糖系とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解し、グルコースに含まれる高い結合エネルギー(ATP)を生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。グルコースから生じたピルビン酸は、還元され最終産物として乳酸になる。このグルコースから乳酸への変換経路は、酸素の関与なしに起こりうるので、嫌気的代謝(解糖)と呼ばれる。

2.〇 β酸化
β酸化は、ミトコンドリア内で脂肪酸が分解される過程である。脂肪酸は、アセチルCoAへと変換され、その後クエン酸回路に参加する。

3.〇 クエン酸回路
クエン酸回路(TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路)とは、ミトコンドリアでアセチルCoAが二酸化炭素と水へと酸化されATPを生成する。グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA→【クエン酸回路】(オキサロ酢酸)+クエン酸→イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→サクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸となる。

4.〇 酸化的リン酸化
酸化的リン酸化(電子伝達系)とは、 細胞内(ミトコンドリア)で起こる呼吸(電子伝達系の複合体を経て酸素に渡してH2Oにする)に関連した現象で一連のリン酸化(ATP合成)反応のことである。

 

 

 

 

 

問題104 ホルモンと働きの組合せで正しいのはどれか。

1.アルドステロン:骨形成の促進
2.グルカゴン様ペプチド-1:グルカゴン分泌促進
3.グレリン:摂食促進
4.セクレチン:胃酸分泌促進

答え.3

解説
1.× 骨形成の促進は、「アルドステロン」ではなく、性ホルモン(エストロゲン)である。
似た作用で、骨吸収を抑制するのが甲状腺ホルモンから分泌されるカルシトニンである。ちなみに、副腎皮質で産生されるのは、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲンである。アルドステロンには、ナトリウムの再吸収、カリウムの排泄を促し、血圧を上昇させる働きがある。過剰になると、カリウムの尿中への排泄がますます促進され、血清カリウム濃度も低下する。

2.× グルカゴン分泌促進は、「グルカゴン様ペプチド-1」ではなくエピネフリン(アドレナリン)である。
エピネフリンは、交感神経系の興奮によって分泌され、血糖値を上昇させる作用がある。エピネフリンはアドレナリン受容体に結合することで、グルカゴンの分泌を促進し、肝臓での糖新生やグリコーゲンの分解を促す。ちなみに、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、消化管ホルモンのうちの1つで、小腸から分泌され、膵臓のβ細胞に存在するGLP-1受容体と結合することで、インスリンの分泌を促し、血糖値の上昇を防ぐ。

3.〇 正しい。摂食促進は、グレリンが行う。
グレリンは、【産生場所】胃腸管(胃内分泌細胞)、【分泌場所】胃、【作用】下垂体に働きかけて成長ホルモンの分泌を促し、また視床下部に働き、摂食行動を亢進する。

4.× 胃酸分泌促進は、「セクレチン」ではなくガストリンである。
ガストリンは、胃から分泌される消化管ホルモンである。胃から分泌されるホルモンはガストリンのみである。ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。一方、セクレチンは、十二指腸のS細胞から分泌される。胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。

 

 

 

 

 

問題105 加齢による変化はどれか。

1.残気量の減少
2.大腿直筋の筋量の減少
3.血中コルチゾール濃度の低下
4.大脳皮質視覚野の容積の減少

答え.2

解説
1.× 残気量の減少
加齢により、肺の弾力性が低下し、残気量は増加する。
【加齢に伴う呼吸器の変化】
・肺残気量は増大し、肺活量、1秒率、拡散能は低下する。
・咳嗽反射、気道粘膜の線毛運動が低下する。
・喀痰排出が不十分になる。

2.〇 正しい。大腿直筋の筋量の減少は、加齢による変化である。
加齢により、筋肉の量や筋力が低下する。

3.× 血中コルチゾール濃度の低下
なぜなら、高齢者では、視床下部下垂体-副腎系の感受性が低下し、コルチゾール分泌におけるネガティブフィードバックが減少するためといわれている。ちなみに、コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの1つであり、肝臓での糖の新生、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪組織での脂肪の分解などの代謝の促進、抗炎症および免疫抑制などを行う。

4.× 大脳皮質視覚野の容積の減少
容積の減少は、大脳皮質の「視覚野」に限ったことではない。ただし、加齢により、大脳皮質の特に、前頭葉やシルビウス裂付近の側頭葉で強い萎縮が起きやすい。

 

(図引用:「加齢による身体機能の変化」著:瀬尾 芳輝)

 

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