第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前101~105】

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問題101 バゾプレッシン分泌を抑制するのはどれか。

1.大量の発汗
2.塩分摂取の増加
3.循環血液量の減少
4.血漿浸透圧の低下

解答

解説

バゾプレッシンとは?

バゾプレッシンとは、下垂体後葉から分泌される水溶性ホルモンで、役割として、抗利尿作用がある。バソプレッシンは、集合管の受容体に作用し、水の透過性を亢進する。水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起きる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。

1.× 大量の発汗は、バゾプレッシンの分泌が促進される。なぜなら、バゾプレッシンは、体内に水分を保持するように働く(抗利尿作用)ため。

2.× 塩分摂取の増加は、バゾプレッシンの分泌が促進される。なぜなら、塩分摂取の増加により、血漿浸透圧が上昇し、水分を摂取し、塩分を薄めようとする反応が起こるため。

3.× 循環血液量の減少は、バゾプレッシンの分泌が促進される。循環血液量の減少は、心機能の低下、筋肉量の減少や萎縮のため起こる。つまり、血圧低下を引き起こすため、バゾプレッシンの分泌を増加させて血圧の増加に寄与させる。

4.〇 正しい。血漿浸透圧の低下は、バゾプレッシン分泌を抑制する。なぜなら、体内の水分を体外へと排出するため。血漿浸透圧の低下とは、血液内の栄養が少なくなったり、ナトリウム濃度が低下したりすることで、血管内に水分を保つための力(浸透圧)が低下することである。これにより、水分や塩分が血管の外に増え、身体がむくんだり、脳細胞内に水分が移動して脳浮腫を引き起こしたりする。

浮腫とは?

浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
【低アルブミン血症の原因】①栄養摂取の不足(低栄養状態)、②肝臓における蛋白質合成能の低下、③腎臓から尿への蛋白質の大量喪失(ネフローゼ症候群)など。

 

 

 

 

 

問題102 腎臓でグルコースを能動的に再吸収する部位はどれか。

1.集合管
2.近位尿細管
3.遠位尿細管
4.ヘンレループの下行脚

解答

解説

(図引用: 泌尿器のしくみと働き

ネフロンでの再吸収

ネフロンは、糸球体、近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、集合管に分けられる。

①近位尿細管:低分子物質の再吸収(アミノ酸は糸球体で濾過され、100%が近位尿細管で再吸収される)
②遠位尿細管:Na+の再吸収、K+、H+の分泌。
③集合管:水の再吸収など

1.× 集合管は、主にの再吸収に関与する。集合管とは、集合尿細管は集まっている部分をいう。

2.〇 正しい。近位尿細管は、腎臓でグルコースを能動的に再吸収する。近位尿細管では、低分子物質が再吸収される。グルコース・アミノ酸は糸球体で濾過され、ほぼ99%が近位尿細管で再吸収される。

3.× 遠位尿細管は、水(抗利尿ホルモンにより促進される)、ナトリウムイオン(アルドステロンにより促進される)が再吸収される。

4.× ヘンレループの下行脚は、水が再吸収される。ちなみに、上行部は、ナトリウムイオン・クロールイオン、カリウムイオンが再吸収される。

尿細管で吸収されるもの

◎近位尿細管で再吸収されるもの
グルコース・アミノ酸・ビタミン・水・ナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオン・リン酸イオン・重炭酸イオン

◎ヘンレループで再吸収されるもの
水・ナトリウムイオン・クロールイオン

◎遠位尿細管で再吸収されるもの
水(抗利尿ホルモンにより促進される)・ナトリウムイオン(アルドステロンにより促進される)

 

 

 

 

 

問題103 肝臓の機能でないのはどれか。

1.解毒
2.糖新生
3.胆汁産生
4.リンパ球産生

解答

解説

肝臓の主な働き

①胆汁の生成とビリルビンの代謝
②血漿蛋白質と尿素の合成
③脂質代謝
④糖の貯蔵と放出
⑤ビタミンDの代謝
⑥ホルモンの代謝
⑦解毒・薬物の代謝である。

1~3.〇 解毒/糖新生/胆汁産生は、肝臓の機能である。ちなみに、糖新生とは、肝臓などで血中のブドウ糖が低下した場合に、ブドウ糖以外の物質からブドウ糖を産生する過程である。乳酸やアミノ酸、グリセロールなどの栄養素からグルコースを合成する反応で、解糖系の逆反応とも呼ばれる。

4.× リンパ球産生は肝臓の機能でない。リンパ球産生は、骨髄や胸腺で行われる。ちなみに、胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。

胆汁とは?

肝臓で合成されるアルカリ性の物質で、胆嚢で濃縮されたうえ、貯蔵される。胆汁中には消化酵素は存在しない。しかし、胆汁中に含まれる胆汁酸は乳化作用とミセル形成作用を有するため、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たす。胆汁はビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質からなり、消化酵素は含まれない。胆汁は消化酵素の働きを助ける作用がある。胆汁酸の働きは、脂肪を乳化し、消化・吸収させやすい形に変化させ、脂肪を分解吸収しやすくする。 さらに水に溶けない脂溶性ビタミンの吸収を助ける。排出された胆汁の大部分は小腸から吸収されて、他の吸収された栄養分と一緒に血管を通って肝臓に戻り、再利用される。 これを腸肝循環という。

 

 

 

 

 

問題104 調節する因子と消化器の働きの組み合わせで正しいのはどれか。

1.ガストリン-胃酸分泌の抑制
2.セクレチン-膵液分泌の促進
3.副交感神経刺激-唾液分泌の抑制
4.交感神経刺激-消化管運動の促進

解答

解説
1.× ガストリンは、胃酸分泌の「抑制」ではなく促進である。ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。一方、セクレチンは、十二指腸のS細胞から分泌される。胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。

2.〇 正しい。セクレチンは、「膵液分泌の促進」である。セクレチンとは、消化管ホルモンのひとつで、十二指腸のS細胞から分泌され、胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。

3.× 副交感神経刺激は、唾液分泌の「抑制」ではなく促進である。

4.× 交感神経刺激は、消化管運動の「促進」ではなく抑制である。交感神経が活性化されると、消化管の血流が減少し、消化管運動が抑制される。これにより、消化活動が減少し、エネルギーが他の身体活動に優先的に使用されるようになる。

 

 

 

 

 

問題105 暑熱環境に暴露されたときに起こるのはどれか。

1.立毛筋の収縮
2.皮膚血管の収縮
3.四肢骨格筋のふるえ
4.エクリン汗腺からの分泌増加

解答

解説

セットポイントとは?

 セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。

1.× 立毛筋の収縮は、熱の放出を止める仕組みである。立毛筋は交感神経の支配を受けているため、冷感ストレスや恐怖などの情緒性ストレスを受けた際に収縮する。ちなみに、立毛筋とは、毛包に付着している平滑筋の一種で、毛髪を立たせたり、毛穴の皮脂を外に押し出す役割を担っている。

2.× 皮膚血管の収縮は、熱の放出を止める仕組みである。暑熱環境の場合、皮膚血管は「収縮」ではなく拡張する。なぜなら、体内の熱が皮膚表面に運ばれ、放熱を促進するため。

3.× 四肢骨格筋のふるえは、寒冷環境で体温を上げるために起こる反応である。つまり、低体温から回復するための生体の反応である。この現象をふるえ熱産生という。小刻みな収縮:シバリングによって生体内で熱が産生される現象である。寒さによる「ふるえ」は骨格筋の不随意運動による筋収縮で発生するエネルギーが熱となるため、熱産生が増加する。

4.〇 正しい。エクリン汗腺からの分泌増加は、暑熱環境に暴露されたときに起こる。つまり、発汗作用である。汗が蒸発する際に体表面から熱が奪われ、体温を下げることができる。ちなみに、エクリン腺とは、口唇・亀頭・陰唇を除く全身の皮膚に分布するし、特に手掌・足底・額に多い。エクリン汗の成分はアポクリン腺からの汗(アポクリン汗)に比べて薄い。一方、アポクリン汗腺は、主に脇や陰部などの真皮に存在する。

 

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