第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前116~120】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題116 生検の試料となるのはどれか。

1.気道吸引によって得られた喀痰
2.腹腔穿刺によって得られた腹水
3.病巣の試験切除によって得られた検体
4.子宮頸部の擦過によって得られた検体

解答

解説

生体組織診断とは?

生検とは、病気の診断や経過予後の判定のために、患部の一部を針やメスなどで採取して、顕微鏡などで拡大して調べる検査である。例えば、針生検では、細胞診よりも太い針を病変部に刺し、その中に組織の一部を入れて、からだの外に取り出し検査する。ちなみに、乳がんの検査では、最初に、目で見て確認する視診と、触って確認する触診、マンモグラフィ、超音波(エコー)検査を行う。乳がんの可能性がある場合には、病変の細胞や組織を顕微鏡で調べて診断を確定する。ちなみに、超音波検査やマンモグラフィなどの画像診断で、良性か?悪性か?、はっきりしないしこりや癌の可能性があるしこりに対して行われる。

1.× 気道吸引によって得られた喀痰は、生検の試料ではない。なぜなら、生検のように、患部の一部を針やメスなどで採取していないため。喀痰とは、主に咳をしたときに喉のほうから出てくる粘液状のものである。一般に喀痰は、細胞診や微生物検査の試料として使用される。

2.× 腹腔穿刺によって得られた腹水は、生検の試料ではない。なぜなら、生検のように、患部の一部を針やメスなどで採取していないため。腹水穿刺(腹腔穿刺)は、触診、腹部超音波、CTなどで腹水貯留が確認された場合に、腹水を採取して性状観察、生化学検査、細胞診を行い、病態把握をすることと症状緩和のための排液を行うものである。

3.〇 正しい。病巣の試験切除によって得られた検体は、生検の試料となる。生検とは、病気の診断や経過予後の判定のために、患部の一部を針やメスなどで採取して、顕微鏡などで拡大して調べる検査である。

4.× 子宮頸部の擦過によって得られた検体は、生検の試料ではない。なぜなら、生検のように、患部の一部を針やメスなどで採取していないため。生検ができない部位(特に子宮)は、擦過によって、細胞を摂取し、細胞診に使用される。

腎生検とは?

腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で直接観察する検査である。患者は腹臥位になってもらい、背中からボールペンの芯程度の太さの針を腎臓に刺して組織を採取する。この操作は、超音波装置で針が腎臓に当っているかどうかを観察しながら行う。局所麻酔(あるいは全身麻酔)や鎮痛剤を用いることで痛みは十分に軽減される。目的として、①各種の腎炎やネフローゼ症候群の診断と原因、②原因不明の蛋白尿や腎機能低下または血尿、③全身性エリテマトーデス(SLE)などがあげられる。合併症として、出血(血腫、血尿)、感染、その他の臓器の損傷、腎臓の嚢胞などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題117 媒介動物名に由来する病名はどれか。

1.ツツガムシ病
2.フィラリア症
3.アメーバ赤痢
4.アニサキス症

解答

解説
1.〇 正しい。ツツガムシ病は、媒介動物名に由来する病名である。ツツガムシ病とは、病原体はつつが虫病リケッチア(細菌)で、つつが虫病リケッチアを保有するツツガムシに刺されて感染する感染症である。全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症する。体温は段階的に上昇し数日で40℃にも達する。刺し口は皮膚の柔らかい隠れた部分に多い。刺し口の所属リンパ節は発熱する前頃から次第に腫脹する。第3~4病日より不定型の発疹が出現するが、発疹は顔面、体幹に多く四肢には少ない。テトラサイクリン系の有効な抗菌薬による治療が適切に行われると劇的に症状の改善がみられる。重症になると肺炎や脳炎症状を来す。北海道を除く全国で発生がみられる。

2.× フィラリア症とは、によって媒介される寄生虫(線虫)による感染症である。リンパ系を侵すことがあります。感染は、通常、小児期に成立し、リンパ系組織に症状が現れないまま障害を起こし、後に、この疾患による疼痛を伴う外観の大きな変形、リンパ浮腫、象皮病、陰嚢水腫が、生涯のうちに現れてきて、永続的な身体の障害へと進展する。

3.× アメーバ赤痢とは、赤痢アメーバシスト(嚢子という形態の一種)に汚染された飲食物を口にすることにより感染する。ちなみに、赤痢とは、赤痢菌(細菌)に汚染された水や食物を摂取することにより感染する疾患である。潜伏期間は、通常1~3日であり、症状は、発熱とともに腹痛や下痢が初発し、その後しぶり腹(テネスムス)、頻回の膿粘血便、膿性下痢便などがみられる。近年では重症例は少なく、数回の下痢や軽度の発熱で経過する事例が多い。

4.× アニサキス症とは、アニサキスという寄生虫が海産魚介類に寄生しており、ヒトがその魚介類を生(不十分な冷凍や加熱をしたものも含む)で食べることで引き起こされる食品媒介寄生虫症である。アニサキスとは、寄生虫(線虫)の一種である。アニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見える。生の魚介類を摂取した際に、消化器系に寄生することがあり、アニサキス症と呼ばれる感染症を引き起こすことがある。

 

 

 

 

 

問題118 疾病と原因の組み合わせで正しいのはどれか。

1.川崎病-大気汚染
2.水俣病-有機水銀
3.珪肺症-石綿(アスベスト)
4.イタイイタイ病-ヒ素

解答

解説

有機水銀について

有機水銀は特に胎児の中枢神経の発達に影響を及ぼすとされている。妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方は、有機水銀濃度が高い水産物を主菜とする料理を週1回以内(合計で週におおむね50~100g程度以下)にすることをお勧めしている。主に多くの有機水銀が含まれるものとして、マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類(キンメダイ、ムツ、ウスメバルなど)、鯨類(鯨、イルカ)などがあげられる。ちなみに、サンマ、イワシ、サバなどは、一般的に有機水銀濃度が低い水産物であるため、控える必要はない。

①四日市喘息(三重県):主に亜硫酸ガスによる大気汚染を原因。
②新潟水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因。
③イタイイタイ病(富山県):カドミウムによる水質汚染を原因
④熊本水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因

1.× 川崎病は、「大気汚染」ではなく原因不明である。川崎病とは、血管に炎症が起こる病気のことで、乳幼児に多いのが特徴である。原因不明であるが、遺伝や細菌・ウイルスなどが複雑に関係して発症すると考えられている。症状として、全身の血管に炎症が起こるため、①発熱、②両目が充血、③口や喉が赤い、④全身に赤みのある発疹などが起こる。血管の炎症を抑え、心臓の合併症を残さないことを目的に治療が行われるため、点滴静脈内注射は必須であり、点滴固定の維持、点滴漏れ、自己抜去を防止することはきわめて重要である。

2.〇 正しい。水俣病は、有機水銀である。水俣病とは、魚介類に蓄積された有機水銀を長期、大量に経口摂取することによって起こる神経系の疾患である。水俣病には、後天性と先天性(胎児性)があり、後天性水俣病の主要症状は、求心性視野狭さく、運動失調、難聴及び知覚障害である。また、胎児性水俣病は、知能発育障害、言語発育障害、咀嚼嚥下障害、運動機能障害、流涎等の脳性小児マヒ様の症状を呈する。

3.× 珪肺症(※読み:けいはいしょう)は、「石綿(アスベスト)」ではなくシリカ(石英)の粉塵吸入である。珪肺症の症状は、せきが見られ、運動中に呼吸が困難になり、ときには悪化して安静時でも息切れするようになる。

4.× イタイイタイ病は、「ヒ素」ではなくカドミウムである。腎機能障害を起こし、カルシウム吸収が障害されて、骨が脆くなり骨折しやすくなる。

 

 

 

 

 

問題119 神経原性筋萎縮を示すのはどれか。

1.皮膚筋炎
2.多発性筋炎
3.筋ジストロフィー
4.筋萎縮性側索硬化症

解答

解説

神経原性筋萎縮とは?

神経原性筋萎縮とは、脊髄の運動ニューロン(脊髄の前角にある運動性神経細胞)や脊髄から出る末梢神経が障害されて筋肉が萎縮する状態の病気である。筋萎縮性側索硬化症があげられる。

筋原性疾患とは、筋肉そのものに原因があって、筋肉が萎縮したり、力が弱くなったりする病気である。筋ジストロフィーがあげられる。

1~2.× 皮膚筋炎/多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患である(※下記:参照)。

3.× 筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称(筋原性疾患)である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高い。3歳頃に歩行や粗大運動の異常で気がつかれることが多い。

4.〇 正しい。筋萎縮性側索硬化症は、神経原性筋萎縮を示す。主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)。

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

問題120 間接ビリルビンが高値となるのはどれか。

1.胆管癌
2.溶血性貧血
3.先天性胆道閉塞症
4.デュビン・ジョンソン(Dubin-Johnson)症候群

解答

解説

ビリルビンとは?

(総)ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。総ビリルビンは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。腎臓からも排泄され、主に肝臓で代謝されるため、肝臓や胆嚢の状態を知るための重要な指標となる。一方、間接ビリルビンが上昇する代表的な疾患は溶血性貧血であり、溶血により多くの赤血球が壊れ、ビリルビンが肝臓の処理能力を超えて過剰に増加する。

1.× 胆管癌は、直接ビリルビンが増加する。胆管がんになると、がんによって胆管が狭くなったり塞いだりすることで、胆汁の流れが悪くなる。

2.〇 正しい。溶血性貧血は、関節ビリルビンが高値となる。溶血性貧血では赤血球が異常に破壊されるため、ヘモグロビンが分解されて生成される間接(非抱合型)ビリルビンが増加する。溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。これにより、血液中の赤血球の数が減少し、貧血状態になる。

3.× 先天性胆道閉塞症は、直接ビリルビンが増加する。先天性胆道閉鎖症とは、胆汁が流れる管(肝外胆管)がつまって生まれてしまったために腸に胆汁が流れず、黄疸が進み、そのまま進行すると肝硬変となり死亡する病気である。

4.× デュビン・ジョンソン(Dubin-Johnson)症候群は、直接ビリルビンが増加する。デュビン・ジョンソン症候群とは、皮膚粘膜眼症候群ともいい、直接ビリルビンの胆汁への排泄障害をきたす常染色体劣性遺伝性疾患である。口唇・口腔、眼、鼻、外陰部などの粘膜にびらん(ただれ)が生じ、全身の皮膚に紅斑(赤い斑点)、水疱(水ぶくれ)、びらんなどが多発する。

黄疸とは?

黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの、②肝細胞の障害によるもの、③胆汁の流れの障害によるもの、④体質によるもの、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)