第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前16~20】

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問題16 肩鎖関節上方脱臼で誤っているのはどれか。

1.高齢者に好発する。
2.トッシー分類がある。
3.直達外力による発生が多い。
4.鎖骨遠位端が上方に転位する。

解答

解説

肩鎖関節脱臼の整復法・固定法

【整復法】
①助手は患肢上肢を後上方へ軽く引く。
②術者は下方に転位した患肢上肢を上方に押し上げながら鎖骨遠位端を下方へ圧迫して整復する。

【固定法】
①固定期間:4週~8週
②整復位は困難で完全固定が容易ではない。

1.× 「高齢者」ではなく青壮年期に好発する。なぜなら、スポーツ活動や転倒など、直接的な外力が関与することが多いため。鎖骨脱臼で最も多い(約90%)。

2.〇 正しい。トッシー分類がある。肩鎖関節脱臼(肩鎖関節の損傷)には、トッシー分類(Tossy分類)がある。3型に分けられ、Grade1:靱帯の軽度の損傷のみで捻挫と同様、レントゲンで明らかな関節のずれはない。触診では肩鎖関節部の突出はなく軽度の圧痛がある。Grade2:肩鎖靱帯の損傷があり、レントゲンで亜脱臼位を呈する。触診で肩鎖関節の圧痛と軽度の動揺性がある。Grade3:肩鎖靱帯損傷に烏口鎖骨靱帯の損傷が加わり、レントゲンで完全脱臼位を呈する。触診で肩鎖関節部に一致した突出があり、同部を押すとピアノの鍵盤の様な浮き沈みを認める。

3.〇 正しい。直達外力による発生が多い。なぜなら、転倒などでの肩峰への直達外力が多いため。ちなみに、直達外力とは、打撃や衝突などの外力により加わった力が直接患部に作用することである。一方、介達外力とは、打撃や圧迫などの外力が加わった部位から離れた部位に体内組織を通じて外力が伝わることである。

4.〇 正しい。鎖骨遠位端が上方に転位する。なぜなら、転倒などでの肩峰への直達外力が多いため。

 

 

 

 

 

問題17 肩鎖関節脱臼に対するロバート・ジョーンズ絆創膏固定法で誤っているのはどれか。

1.患者の姿勢は整復位とする。
2.第1帯は鎖骨外端部圧迫する。
3.第2帯は背部から貼付する。
4.皮膚のかぶれに注意する。

解答

解説

ロバート・ジョーンズ絆創膏固定法

肩鎖関節上方脱臼の絆創膏固定法をロバート・ジョーンズという。ロバート・ジョーンズ固定(Robert-Jones固定)は、肩鎖関節上方脱臼の第2~3度損傷で用いる固定法である。
【手順】
①胸部前面を斜めに上行し局所副子上を通過する。
②上腕部後面を通過し綿花沈子をあてた肘をまわる。
③上腕部前面を通過し局所副子上を通過し健側肩甲骨下部まで貼付する。

1.〇 正しい。患者の姿勢は整復位(座位)とする。

2.〇 正しい。第1帯は、鎖骨外端部圧迫する。前面は、鎖骨遠位端から乳頭部より下を圧迫する。一方、背面は、肩甲骨下角より下に鎖骨遠位端を圧迫する。

3.× 第2帯は、「背部から」ではなく前面から貼付する。胸部正中線近くから上昇させ、鎖骨遠位端の上を通るよう貼付する。脱臼の再発を防ぐため、鎖骨遠位に最も圧迫かかるようにする。

4.〇 正しい。皮膚のかぶれに注意する。なぜなら、皮膚トラブルは、絆創膏を使用する際の注意点であるため。

 

 

 

 

 

問題18 肩関節烏口下脱臼の合併症と症状の組み合わせで正しいのはどれか。

1.大結節骨折-肩関節後方の圧痛
2.筋皮神経麻痺-前腕内側の感覚障害
3.腋窩動脈損傷-爪部の蒼白
4.腱板損傷-肩関節の伸展運動不能

解答

解説
1.× 大結節骨折は、肩関節「後方」ではなく外側の圧痛である。なぜなら、大結節骨折により、炎症が起こるため。大結節とは、上腕骨頭の後外側の隆起のことをさし、棘上筋、棘下筋、小円筋の停止である。

2.× 筋皮神経麻痺は、前腕「内側」ではなく外側の感覚障害である。筋皮神経とは、頚から出た腕神経の束から枝分かれした神経である。主に、上腕二頭筋と前腕外側の感覚を司る。

3.〇 正しい。腋窩動脈損傷は、「爪部の蒼白」である。なぜなら、橈骨動脈の拍動消失(循環障害)するため。橈骨動脈は、腋窩動脈の分岐である。上肢の動脈は、「鎖骨下動脈→腋窩動脈→上腕動脈→橈骨動脈、尺骨動脈」となる。

4.× 腱板損傷は、肩関節の「伸展」ではなく外転運動不能である。腱板構成筋群の中でも棘上筋腱(作用:肩関節外転)は最も損傷・断裂しやすく、96.6%を占める。これは、棘上筋が身体の構造状引き起こされやすくなっている(衝突や摩擦)ためである。ちなみに、腱板(回旋筋腱板:ローテーターカフ)とは、肩甲骨と上腕骨をつないでいる4つの筋肉の腱の総称である。① 棘上筋、②棘下筋、③小円筋、④肩甲下筋から成る。

 

 

 

 

 

問題19 高齢者の肩関節前方脱臼の固定期間はどれか。

1.3週
2.6週
3.9週
4.12週

解答

解説

肩関節前方脱臼とは?

烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。

【固定】①材料:巻軸包帯、副子(肩関節前後面にあてる)、腋窩枕子、三角巾。②肢位と範囲:肩関節軽度屈曲・内旋位で肩関節のみ。③期間:30歳代以下は5~6週間、40歳代以上は3週間

1.〇 正しい。3週は、高齢者の肩関節前方脱臼の固定期間である。なぜなら、高齢者の方が若年者より、関節の可動域制限や筋力低下を引き起こすため。

2.× 6週は、30歳代以下の肩関節前方脱臼の固定期間である。なぜなら、若年者は、習慣性脱臼に発展しないよう周辺の軟部組織が修復する期間を要するため。

3.× 9週/12週は、長すぎる固定期間である。

 

 

 

 

 

問題20 肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。

1.ヒューター三角は正常である。
2.上腕三頭筋腱を索状に触知できる。
3.肘関節は伸展位で固定されている。
4.上腕骨遠位端は後方に突出している。

解答

解説

肘関節後方脱臼とは?

好発:青壮年
原因:①肘関節過伸展の強制:肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)
【症状】関節包前方断裂、疼痛、肘関節屈曲30度で弾発性固定、自動運動不可、肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱が緊張(索状に触れる)、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、前腕の短縮
【固定肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(回内位も)
【固定範囲】上腕近位部からMP関節手前まで
【固定期間】靭帯損傷なし:3週間、不安定性がある場合4週間

1.× ヒューター三角は、「正常」ではなく乱れる。ヒューター三角とは、肘関節屈曲位で内側上顆・外側上顆・肘頭を結ぶ二等辺三角形のことである。

2.〇 正しい。上腕三頭筋腱を索状に触知できる。索状とは、張った状態で縄のような状態になることである。肘関節後方脱臼が起こると、上腕三頭筋が緊張し、腱が張った状態となる。

3.× 肘関節は、「伸展位」ではなく肘関節90°屈曲で固定される。なぜなら、上腕二頭筋・上腕三頭筋、そのほか肘関節の周りの軟部組織(関節包)にストレスがかかりにくいため。

4.× 「上腕骨遠位端」ではなく肘頭(尺骨近位端)は後方に突出している。これは、肘関節過伸展の強制:肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)ことで生じるため。

(※図引用:「上腕骨 完全脱臼」illustAC)

 

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