第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前66~70】

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問題66 縦郭にないのはどれか。

1.主気管支
2.葉気管支
3.気管
4.心臓

解答

解説

(※画像引用:中高津クリニック様HP)

1,3~4.〇 主気管支縦郭/気管/心臓は、縦郭にある。縦隔とは、両側を肺の間の空間のことで、前が胸骨、後ろが椎体となる。下方は横隔膜でふさがれている。縦隔内にある主な臓器としては①胸腺、②気管、③食道、④心臓、⑤上大静脈、⑥大動脈弓、⑦上行大動脈などがある。

2.× 葉気管支は、縦郭にない。葉気管支とは、左右の肺に分かれた気管支(主気管支)がさらに分岐してできる気管支の一種である。

MEMO

気管は左右の主気管支に分岐する。この部分を気管分岐部と呼ぶ。主気管支は葉気管支を分岐して各葉に分かれ、さらに区域気管支、亜区域気管支と分岐していく。

区域気管支:区域気管支は葉気管支から枝分かれした3次気管支で、肺区域の固有気管支である。
肺区域:左右の肺は肺葉に分かれ、それぞれの肺葉は肺区域から構成される。肺区域は、区域気管支の起始部を頂点とし抹消に広がる不規則な円錐形の領域で、独立した区域気管支と区域動脈を持つ。

 

 

 

 

 

問題67 腎臓の髄質にあるのはどれか。

1.遠位曲尿細管
2.近位曲尿細管
3.ヘンレのワナ
4.ボーマン嚢

解答

解説

(※図引用:「イラストボックス様」より)

1.× 遠位曲尿細管は、主に腎臓の「皮質」にある。髄質にも一部存在するため、不適切問題と考えらえる。

2.× 近位曲尿細管は、主に腎臓の「皮質」にある。髄質にも一部存在するため、不適切問題と考えらえる。

3.〇 正しい。ヘンレのワナは、腎臓の髄質にある。ヘンレのワナは、Henle係蹄(ヘンレけいてい)ともいい、腎小体から近位尿細管→Henle係蹄→遠位尿細管へとつながる。腎小体(糸球体とボーマン嚢を合わせて腎小体)は、腎皮質にある。

4.× ボーマン嚢は、腎臓の「皮質」にある。糸球体とボーマン嚢を合わせて腎小体という。多数のネフロンは集合管に合流し、尿を腎杯に送る。腎臓の実質部分の外側を皮質、内側を髄質といい、皮質に腎小体が左右それぞれ約100万個ずつ存在する。

 

 

 

 

 

問題68 男性生殖器で正しいのはどれか。

1.尿道球腺は尿生殖隔膜内に位置する。
2.精巣上体は精巣の前面に位置する。
3.前立腺は膀胱の後面に位置する。
4.精嚢は膀胱の側面に位置する。

解答

解説


1.〇 正しい。尿道球腺は、尿生殖隔膜内に位置する。尿道球腺液とは、カウパー腺液ともいい、男性の尿道球腺から分泌される弱アルカリ性の粘性がある無臭無色透明な液体である。尿道球腺は、前立腺の下、陰茎の付け根付近に位置する。尿生殖隔膜とは、骨盤隔膜とともに骨盤下口を覆う筋膜である。

2.× 精巣上体は、精巣の「前面」ではなく外側に位置する。精巣上体とは、陰嚢の中、精巣の外側に付属する組織である。精巣(睾丸)で作られた精子を蓄えて成熟させる。精子を運ぶ管(精管)の一部である。

3.× 前立腺は、膀胱の「後面」ではなく下方(取り囲むよう)に位置する。前立腺とは、男性にしかない生殖器の一つで、前立腺液といわれる精液の一部を作り、精子に栄養を与えたり、精子を保護する役割を持っている。前立腺は、直腸と恥骨の間にあり、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいる。

4.× 精嚢は、膀胱の「側面」ではなく後面に位置する。精嚢とは、精嚢は、前立腺の後ろに一対ある長さ5cmほどの袋状の器官で、精嚢液を分泌して射精のときに精子と混ぜ合わせ精液を作る。

 

 

 

 

 

問題69 卵巣出血時に血液が貯留しやすい場所はどれか。

1.直腸子宮窩
2.直腸膀胱窩
3.膀胱子宮窩
4.卵巣窩

解答

解説

(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)

1.〇 正しい。直腸子宮窩は、卵巣出血時に血液が貯留しやすい場所である。なぜなら、直腸子宮窩は、女性の骨盤内で最も低い位置にある腹膜腔の部分であるため。ちなみに、直腸子宮窩とは、ダグラス窩ともいわれ、直腸と子宮を上から覆っている腹膜が臓器の間のすき間に入りこんでできる深いくぼみのこと。

2.× 直腸膀胱窩は、男性の骨盤内で直腸と膀胱の間に位置する部分である。つまり、男性の場合、ダグラス窩に相当しダグラス窩と言われることはあるが、女性には存在しないため、卵巣出血には関係ない。

3.× 膀胱子宮窩とは、子宮と膀胱の間に位置する部分である。卵巣出血時には、子宮が間に挟む位置関係であるので、直腸子宮窩より貯留しやすい場所とはいえない。

4.× 卵巣窩とは、外腸骨動静脈の腹側、尿管の背側に位置する部位である。卵巣は、骨盤側壁の卵巣窩におさまっており、卵巣間膜、卵巣提索、固有卵巣により固定される。

 

 

 

 

 

問題70 副腎皮質で正しいのはどれか。

1.アドレナリンを分泌する。
2.3層の組織構造をとる。
3.外肺葉由来である。
4.中心静脈が走る。

解答

解説

副腎皮質とは?

副腎皮質から、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などが分泌される。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

①球状帯:電解質コルチコイド(アルドステロン)を産生する。皮膜直下の薄い層で、皮質細胞が球状の塊を形成する。
②束状帯:糖質コルチコイド(コルチゾール)を産生する。最も厚い層で、細胞は縦に並び、細胞索を形成する。その間を洞様毛細血管が髄質に向かって走行する。
③網状帯:アンドロゲンを産生する。皮質の最深部で、網状をなす細胞索からなる。

1.× アドレナリンを分泌するのは、「副腎髄質」である。副腎髄質から、①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンという。

2.〇 正しい。3層の組織構造をとる。副腎皮質は、外側から内側に向けて球状層、束状層、網状層の3層構造を呈している。

3.× 「外肺葉」ではなく中胚葉由来である。一方、副腎髄質は外胚葉由来である。

4.× 中心静脈が走るのは、副腎髄質である。副腎髄質で生成されたホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)は中心静脈を通じて血流に放出される。

各胚葉に由来する器官

外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

 

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