第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午後91~95】

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問題91 膝蓋骨外側脱臼の固定除去後に行う筋力強化で有効なのはどれか。

1.A
2.B
3.C
4.D

答え.1

解説

膝蓋骨外側脱臼とは?

概要:膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨(膝のお皿の骨)が外傷などにより外側にずれてしまい、関節から外れてしまった状態である。膝関節の形態的特徴により、10代の女性に生じることが多く、受傷者の20~50%の方が脱臼を繰り返す「反復性脱臼」へ移行する。【原因】ジャンプの着地などで、膝を伸ばす太ももの筋肉(大腿四頭筋)が強く収縮した時に起こる。【症状】炎症期は、膝関節の痛みや腫れが生じる。慢性期:脱臼を繰り返す(反復性脱臼)ようになると痛みや腫れなどは少なくなり、不安定感を強く訴える。
【治療】脱臼後、直ちに整復を行う。ほとんどの患者では鎮静や鎮痛は不要である。

膝蓋骨脱臼のリハビリテーション内容は、股関節周囲筋(お尻の筋)や大腿四頭筋(太ももの筋)の筋力強化、アイシング等となる。大腿四頭筋の中でも、内側広筋を意識させて大腿四頭筋筋力訓練を行う。内側広筋は、膝蓋骨を内側に引き付ける役割があり、膝蓋骨の外側脱臼の再発を予防する助けとなる。

1.〇 正しい。Aは、膝蓋骨外側脱臼の固定除去後に行う筋力強化で有効である。
なぜなら、Aはパテラセッティングといい、大腿四頭筋(内側広筋)の筋力強化を狙えるため。大腿四頭筋セッティングともいい、大腿四頭筋の等尺性収縮で筋力強化を行う。内側広筋は、膝蓋骨を内側に引き付ける役割があり、膝蓋骨の外側脱臼の再発を予防する助けとなる。したがって、最も優先度が高い。

2.× Bは、股関節内転筋群のトレーニングである。
なぜなら、股関節内転運動を行っているため。

3.× Cは、膝関節屈曲筋群のトレーニングである。
なぜなら、膝関節屈曲運動を行っているため。

4.× Dは、股関節外転筋群のトレーニングである。
なぜなら、股関節外転運動を行っているため。

 

 

 

 

 

問題92 神経根型の頚部捻挫で正しいのはどれか。

1.胸鎖乳突筋の筋力低下
2.上肢の感覚障害
3.肩関節の拘縮
4.下肢深部反射の減弱

答え.2

解説
1.× 胸鎖乳突筋の筋力低下は生じにくい
なぜなら、胸鎖乳突筋の支配神経は副神経であるため。副神経とは、僧帽筋や胸鎖乳突筋など、首を動かす筋肉に分布する運動神経である。ちなみに、胸鎖乳突筋の【起始】胸骨部:胸骨柄前面、鎖骨部:鎖骨の胸骨端、【停止】乳様突起、後頭骨の上項線の外側部、【作用】両側が同時に作用すると首をすくめて顎を突き出す。片側が働けば顔面を対側に回す。吸息の補助、【支配神経】副神経外枝、頸神経叢筋枝(C2,C3)である。

2.〇 正しい。上肢の感覚障害は、神経根型の頚部捻挫で生じる。
頚部捻挫には、①捻挫型(筋肉)、②神経根損傷型、③自律神経障害型などがある。神経根損傷型の場合、支配範囲にある上肢の感覚異常や痛み、運動障害が引き起こされることがある。

3.× 肩関節の拘縮は生じにくい
なぜなら、拘縮が発生するまで長期間の不動を要するため。関節拘縮とは、関節の不動により、線維化することで 関節可動域減少が引き起こされ固定することである。

4.× 下肢深部反射は、「減弱」ではなく亢進する。
損傷高位の腱反射は、減弱または消失し、損傷高位以下の腱反射は亢進する。

錐体路とは

錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。

【錐体路徴候】
・深部腱反射亢進
・病的反射(+)
・表在反射(消失)
・痙性麻痺

【錐体外路症状】
・深部腱反射正常
・表在反射(+)
・病的反射(-)
・不随意運動の出現

 

 

 

 

 

問題93 各検査の評価方法で誤っているのはどれか。

1.SLRは膝伸展位で股関節屈曲90度までの疼痛出現をみる。
2.ルーステストは1分間の運動継続をみる。
3.スピードテストは結節間溝への疼痛出現をみる。
4.ファーレンテストは1分以内の症状出現をみる。

答え.2

解説
1.〇 正しい。SLRは膝伸展位で股関節屈曲90度までの疼痛出現をみる。
SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)は、脊髄後根で圧迫を受ける疾患(坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなど)の有無、ハムストリングス損傷や短縮をみる。背臥位で、下肢を挙上し痛みが生じたら陽性である。

2.× ルーステストは、「1分間」ではなく3分間の運動継続をみる。
Roosテスト(ルーステスト)は、胸郭出口症候群で陽性となる検査である。腕を外転90度、外旋90度、肘を90度曲げた状態にし、この状態で指の曲げ伸ばし(グー・パー)を行う。これを3分間続けられなければ、陽性と判断する。

3.〇 正しい。スピードテストは結節間溝への疼痛出現をみる。
Speedテスト(スピードテスト)は、上腕二頭筋長頭腱の炎症の有無をみる。結節間溝部に痛みがあれば陽性である。【方法】被検者:座位で、上肢を下垂・肩関節外旋位から、上肢を前方挙上(肩関節屈曲)してもらう。検者:肩部と前腕遠位部を把持し、上肢に抵抗をかける。

4.〇 正しい。ファーレンテストは1分以内の症状出現をみる。
ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。1分以内の症状出現で、正中神経麻痺を疑う。

手根管症候群とは?

手根管症候群は、正中神経の圧迫によって手指のしびれや感覚低下などの神経障害が生じる。手根管(手関節付近の正中神経)を4~6回殴打すると、支配領域である母指から環指橈側および手背の一部にチクチク感や蟻走感が生じる(Tinel徴候陽性)。Tinel徴候のほか、ダルカン徴候(手根管部を指で圧迫するとしびれ感が増悪する)やファーレン徴候(Phalen徴候:手首を曲げて症状の再現性をみる)も陽性となる場合が多い。

 

 

 

 

 

問題94 クワドリラテラルスペース症候群で誤っているのはどれか。

1.腋窩神経の絞扼性障害である。
2.肩関節外転動作が困難となる。
3.棘下筋に萎縮がみられる。
4.肩外側に感覚障害を認める。

答え.3

解説

クワドリラテラルスペース症候群とは?

クワドリラテラルスペースは、上腕三頭筋長頭、大円筋、小円筋、上腕骨に囲まれたスペースのことをいう。後上腕回旋動脈と腋窩神経が通る。

クワドリラテラルスペース症候群は、主にスポーツ動作などで腕を内・外に捻るような動作を繰り返す事で、クワドリラテラルスペースを構成する筋肉が過緊張を起こしてしまい、その中を通過する腋窩神経、後上腕回旋動脈が上腕骨と肩甲骨周辺の筋肉(小円筋・大円筋・上腕三頭筋長頭)に挟まれ炎症を起こしている状態を指す。

1.〇 正しい。腋窩神経の絞扼性障害である。
なぜなら、クワドリラテラルスペースに後上腕回旋動脈と腋窩神経が通るため。

2.〇 正しい。肩関節外転動作が困難となる。
なぜなら、腋窩神経が支配する筋に、三角筋や小円筋があげられるため。三角筋の作用は、主に肩関節外転である。

3.× 棘下筋に萎縮がみられるのは、「バレーボールショルダー(肩甲上神経絞扼性障害)」である。
肩甲上神経絞扼障害とは、バレーボールショルダーともいい、肩甲上神経が、肩甲骨の肩甲切痕または棘窩切痕という箇所を通過するところで絞扼されることで起こる障害である。肩の痛みや腕が挙がりにくくなるなどの症状が現れる。また、肩の後面から腕にかけて放散する痛みがある。

4.〇 正しい。肩外側に感覚障害を認める。
なぜなら、腋窩神経は感覚線維も含んでおり、腋窩神経は上外側上腕皮神経に走行するため。

 

 

 

 

 

問題95 末梢神経障害と症状の組合せで正しいのはどれか。

1.前骨間神経麻痺:母指球筋の萎縮
2.後骨間神経麻痺:ティアドロップアウトライン
3.肘部管症候群:フローマンサイン
4.円回内筋症候群:骨間筋の萎縮

答え.3

解説

前骨間神経と後骨間神経について

前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。両者とも触覚に異常がないのが特徴である。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じる。

【前骨間神経】
・肘の辺りで正中神経から分岐して主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配している。ほかにも、長母指屈筋、方形回内筋を支配する。
→涙のしずくが陽性。

【後骨間神経】
・肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している。
→下垂指(drop finger)となる。

1.△ 前骨間神経麻痺により、母指球筋の萎縮が生じる。
※わかる方いらしたらコメント欄にて教えてください。前骨間神経麻痺は、正中神経の枝である。したがって、母指球の萎縮や Phalen test(ファーレンテスト)陽性となる。

2.× ティアドロップアウトラインは、「後骨間神経麻痺」ではなく前骨間神経麻痺である。
前骨間神経麻痺は、正中神経の枝である。正中神経麻痺では、猿手やtear drop sign(ティア ドロップ サイン)、perfect O(パーフェクト Oテスト)、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる。

3.〇 正しい。肘部管症候群:フローマンサイン
肘部管症候群は、尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側骨手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞拒性障害である。尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。

4.× 骨間筋の萎縮は、「円回内筋症候群(正中神経絞扼)」ではなく肘部管症候群(尺骨神経絞扼)である。
円回内筋症候群とは、円回内筋の支配神経で上肢腹側の真ん中を通っている正中神経が、肘関節周辺で圧迫されて痛みや痺れ、筋肉の衰えなどの症状を起こす疾患である。

 

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