第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 単純性股関節炎で正しいのはどれか。

1.女児に多く発生する。
2.両側同時発症はない。
3.股関節開排制限が特徴である。
4.大腿骨頭壊死を起こすことがある。

答え.2

解説

単純性股関節炎とは?

単純性股関節炎とは、原因は不明で、1週間ほど安静にしていれば痛みも治まり、自然治癒する。エックス線写真において、特段異常所見は見られない。3~10歳に好発する。超音波検査やMRIで関節液の貯留が確認される。ほとんど片側性で、強い発赤や腫脹、発熱は見られないが、股関節の運動時疼痛を訴え、運動制限、跛行が見られる。

1.× 「女児」ではなく男児に多く発生する。
男女の比率はおおよそ4:1とされる。

2.〇 正しい。両側同時発症はない
ほとんど片側性で、強い発赤や腫脹、発熱は見られないが、股関節の運動時疼痛を訴え、運動制限、跛行が見られる。

3.× 股関節開排制限が特徴であるのは、「発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)」である。
発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の有無を診るため、股関節開排制限や大腿皮膚溝、鼠径皮膚溝の非対称を確認する。発育性股関節形成不全とは、生下時の女児(0~1歳)におこる股関節の脱臼などの状態である。現在では、先天性股関節脱臼のことを発育性股関節形成不全と呼ぶ傾向にある。変形性股関節症の原因となることが多い。片側に発症することが多く、リーメンビューゲル装具(アブミ式吊りバンド)で開排(屈曲・外転)肢位にして治療する。リーメンビューゲル装具で改善しない場合、牽引療法を、さらに治療が困難な場合は、観血的整復術や補正手術を検討する。

4.× 大腿骨頭壊死を起こすことがあるのは、「Perthes病」である。
Perthes病は、小児期における血行障害による大腿骨頭、頚部の阻血性壊死が起こる原因不明の疾患である。骨頭・頚部の変形が生じる。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛や大腿部にみられる関連痛で、股関節の関節可動域制限も生じる。治療は大腿骨頭壊死の修復が主な目標であり、治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。男女比は4:1である。好発年齢は、「6~7歳」である。発生率は1万人に1.5人と言われ、そのうち約10%が両側に発症するが、たいていは片方がなってから2年以内の違う時期に反対側が発症する。

 

 

 

 

 

問題97 大腿骨部前面の打撲で誤っているのはどれか。

1.コンタクトスポーツで多くみられる。
2.初期は膝関節屈曲位で固定する。
3.受傷後24時間を経過したら温熱療法が有効である。
4.疼痛増悪時は医師に診断を仰ぐ。

答え.3

解説
1.〇 正しい。コンタクトスポーツで多くみられる。
大腿部打撲は、チャーリーホースともいい、主な原因は、強い外力である。特にバスケットボール、サッカー、ラグビーなど接触が多い競技では相手の膝などが大腿部を強打することで多く起こる。

2.〇 正しい。初期は膝関節屈曲位で固定する。
なぜなら、膝関節を屈曲位により、大腿四頭筋や軟部組織の伸張を軽減させ、痛みを和らげることができるため。

3.× 受傷後24時間を経過したら温熱療法が有効とはいえない
なぜなら、受傷後2~3日は炎症が強い時期であるため。炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。

4.〇 正しい。疼痛増悪時は医師に診断を仰ぐ。
なぜなら、骨化性筋炎や急性コンパートメント症候群を合併している可能性があるため。外傷性骨化性筋炎とは、骨化性筋炎ともいい、打撲などの外傷によって、筋肉の中に骨と同じような組織ができてしまう疾患のことである。損傷を受けた筋肉が出血して血腫ができたところに、カルシウムが沈着し、石灰化しておこる。スポーツなどでよくみられるいわゆる「ももかん」で、大腿部を直接打撲すると筋肉の中に血腫が出き、これが骨化することで、骨化性筋炎となる。

MEMO

コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢動脈の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。

 

 

 

 

 

問題98 腹臥位で被検者の膝関節を90度屈曲位とし、検者が下腿と踵部を把握、脛骨長軸近位方向へ圧迫を加えながら下腿を内旋したところ、関節部に疼痛が誘発された。
 この徒手検査で判明する損傷部位はどれか。

1.十字靭帯
2.側副靭帯
3.関節半月
4.関節滑膜ひだ

答え.3

解説

本症例のポイント

・被検者:腹臥位で膝関節を90度屈曲位。
・検者:下腿と踵部を把握、脛骨長軸近位方向へ圧迫を加えながら下腿を内旋した。
→関節部に疼痛が誘発された。
これは、アプレー圧迫テストである。一般的にApleyテスト(アプレーテスト)といっても、アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)やアプレー圧迫・牽引テストとApleyとつくテストがいくつかある。アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)は、棘上筋腱の変性性筋炎を疑う。アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。

1.× 十字靭帯
前方引き出しテストは、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位にて患側膝90°屈曲位で、検者は下腿を前方に引く。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。ほかにも、膝関節前十字靱帯損傷の検査として、Lachmanテスト(ラックマンテスト)があげられる。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

2.× 側副靭帯
アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。アプレー牽引テストは、うつ伏せで膝を90°屈曲し、大腿部を検者の膝で固定する。下腿を上方に引っ張り上げて膝の関節包を緊張させ、疼痛が誘発されると陽性である。

3.〇 正しい。関節半月は、この徒手検査で判明する損傷部位である。
本症例は、アプレー圧迫テスト陽性である。一般的にApleyテスト(アプレーテスト)といっても、アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)やアプレー圧迫・牽引テストとApleyとつくテストがいくつかある。アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)は、棘上筋腱の変性性筋炎を疑う。アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。

4.× 関節滑膜ひだ
関節滑膜ひだ障害は、Hughston Plica Test(滑膜ひだ障害誘発試験)で判断する。方法として、股関節、膝関節を45~60度屈曲させ、一方の手で足関節を保持し、他方の手を膝関節におき、指を膝蓋骨の内縁にあて軽く圧迫する。患者にゆっくりと膝の屈曲・伸展を繰り返してもらう。この時、肥厚した滑膜ひだが膝蓋骨の内側部に圧痛とクリックを発生させる。

滑膜ヒダとは?

滑膜ヒダとは、膝関節の関節包内にあるひだ状の部分で、膝の屈伸時にクリック音を触知する特徴がある。ほかにも、運動時に疼痛や違和感を生じる。膝関節の膝蓋内側滑膜ヒダが屈伸運動時に膝蓋骨と大腿骨内側課との間に挟まり機能的刺激を受けて肥厚する。内側滑膜ヒダは関節鏡で見ると棚のようにみえることから、タナ障害とも呼びます。

 

 

 

 

 

問題99 有痛性三角骨障害で正しいのはどれか。

1.足部の過剰骨で最も頻度が高い。
2.足関節最大背屈で疼痛を訴える。
3.足関節後内側の疼痛がみられる。
4.足関節捻挫を契機に発症する。

答え.4

解説

有痛性三角骨障害とは?

有痛性三角骨とは、外くるぶしの後方、アキレス腱前方に痛みがあり、足関節を底屈すると強い痛みを感じるものをさす。クラシックバレエやサッカーなど足関節を底屈するスポーツで多く見られ、繰り返す微小外傷により徐々に症状が出現する事が多い。三角骨は距骨後突起の後方に位置する過剰骨のひとつである。健常者での出現率は約10%で、約2/3が片側性である。

1.× 足部の過剰骨で最も頻度が高いのは、「有痛性外脛骨」である。
外脛骨の保有率は15~20%といわれる。外脛骨とは、足の舟状骨の内側に位置する骨をいう。正常な人の15%程度にみられる足の内側にある余分な骨である。有痛性外脛骨とは、その外脛骨が痛みを起こしてしまった状態をいう。スポーツ活動や捻挫などの外傷をきっかけに痛みを起こすことがあり、小児、特に女性での発症が多く、成長期を終えると痛みが治まることが多い。主な症状として、①疼痛(圧痛、運動時痛)、②腫脹(うちくるぶしの下方の腫れ)があげられる。他にも、炎症が強い場合には、熱感も引き起こすことがある。治療として、①薬物療法(鎮痛)、②運動療法、③物理療法(温熱や電気刺激による鎮痛)、④装具療法などがあげられる。

2.× 足関節最大「背屈」ではなく底屈で疼痛を訴える。
なぜなら、足関節最大底屈により、三角骨または巨大な後突起が脛骨と踵骨の間に挟まれるため。

3.× 足関節「後内側」ではなく後外側の疼痛がみられる。
有痛性三角骨とは、外くるぶしの後方、アキレス腱前方に痛みがあり、足関節を底屈すると強い痛みを感じるものをさす。

4.〇 正しい。足関節捻挫を契機に発症する
三角骨ができる原因として、①骨化核の癒合不全の状態に陥り過剰骨となったもの、②距骨後突起の外側結節が骨折を起こし偽関節となったものがあげられる。

 

 

 

 

 

問題100 足根管症候群で正しいのはどれか。

1.足根管は内果後壁と伸筋支帯で形成される。
2.腓骨神経枝の絞扼性神経障害である。
3.足背部の感覚異常が主症状である。
4.過度回内足は足根管内腔を狭める。

答え.4

解説

足根管症候群とは?

足根管症候群とは、後脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害である。

1.× 足根管は内果後壁と「伸筋支帯」ではなく屈筋支帯で形成される。
屈筋支帯とは、内果と踵骨を結ぶ靭帯性の組織である。役割は、足関節の運動に伴い、筋肉がバラバラにならないようにまとめる。

2.× 「腓骨神経枝」ではなく後脛骨神経の絞扼性神経障害である。
足根管を通るのは①後脛骨筋の腱、②長指屈筋の腱、③後脛骨動脈、脛骨神経、長母指屈筋の腱である。足背の筋を支配するのは腓骨神経である。

3.× 「足背部」ではなく足底部の感覚異常が主症状である。
脛骨神経とは、大腿後面の中央より遠位で坐骨神経の内側部分として分岐し、中央を下行、足関節の底屈と足趾の屈曲を行う筋群と、足関節外果より足背外側、足底の知覚を支配している神経である。

4.〇 正しい。過度回内足は足根管内腔を狭める
なぜなら、足関節回内により屈筋支帯が伸張し、足根管内腔を圧迫するため。

 

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