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問題121 17歳の男子。ハードル走の選手である。最近、練習中に右股関節の引っかかりを感じるようになった。関節に腫脹や疼痛はなく明らかな可動域制限もみられないが、股関節内転位で屈伸すると股関節部外側で轢音が聴取された。外傷の既往はない。
最も考えられるのはどれか。
1.股関節唇の断裂
2.大転子滑液包炎
3.中殿筋の筋力低下
4.大腿筋膜張筋の緊張増加
答え.4
解説
・17歳の男子(ハードル走の選手)。
・最近:右股関節の引っかかりを感じる。
・関節に腫脹や疼痛はなく明らかな可動域制限もみられない。
・股関節内転位で屈伸:股関節部外側で轢音が聴取。
・外傷の既往はない。
→本症例は、弾発股が疑われる。弾発股とは、股関節の回りの筋肉や腱が、骨(大転子)に引っ掛かり、ポキッと音がする症状をさす。股関節運動時にこの大転子の上を腸脛靭帯という靭帯が滑るように通るが、何らかの原因で正常に動かなくなり引っ掛かり感や音、痛みが発生する。腸脛靭帯に移行していく大腿筋膜張筋の影響と、同じく腸脛靭帯に入り込む大殿筋の影響が大きい。主な原因は、①スポーツや仕事など日常生活の中で姿勢や習慣、②年齢による筋力低下、③股関節や仙腸関節の機能障害などがあげられる。
1.× 股関節唇の断裂は考えにくい。
なぜなら、本症例は著明な炎症症状がみられていないため。股関節唇とは、骨盤側の股関節の屋根の部分のまわりを取り囲む柔らかい軟骨で、リング状に大腿骨頭を包み込んでいる。役割は、大腿骨頭を安定化させ、衝撃吸収である。 関節唇には神経が存在し、損傷を受けると痛みが生じることがあります。 関節唇損傷が生じると骨頭が安定しなくなり、次第に軟骨が破壊され、軟骨がすり減って変形性股関節症になってしまうと考えられています。
2.× 大転子滑液包炎は考えにくい。
なぜなら、本症例は著明な炎症症状がみられていないため。滑液包炎とは、通常、繰り返される摩擦とストレスによって発症する炎症のことである。
3.× 中殿筋の筋力低下は考えにくい。
なぜなら、中殿筋の筋力低下により、引っかかり感や轢音は考えにくいため。動揺歩行(トレンデレンブルグ歩行やアヒル歩行)は、肢帯筋の筋力低下(中殿筋の筋力低下やDuchenne型筋ジストロフィー)で起こる。
4.〇 正しい。大腿筋膜張筋の緊張増加が、最も考えられる。
弾発股とは、股関節の回りの筋肉や腱が、骨(大転子)に引っ掛かり、ポキッと音がする症状をさす。股関節運動時にこの大転子の上を腸脛靭帯という靭帯が滑るように通るが、何らかの原因で正常に動かなくなり引っ掛かり感や音、痛みが発生する。腸脛靭帯に移行していく大腿筋膜張筋の影響と、同じく腸脛靭帯に入り込む大殿筋の影響が大きい。主な原因は、①スポーツや仕事など日常生活の中で姿勢や習慣、②年齢による筋力低下、③股関節や仙腸関節の機能障害などがあげられる。ちなみに、大腿筋膜張筋の【起始】上前腸骨棘と大腿筋膜の内側、【停止】腸脛靭帯、脛骨外側顆前面の粗面、【作用】股関節屈曲、内旋、外転。膝関節伸展、【支配神経】上殿神経である。
問題122 30歳の男性。3か月前からランニングを始めた。左膝の運動痛が出現したため来所した。膝関節の外側に軽度腫脹がみられた。膝蓋跳動は陰性であった。膝関節屈曲位で大腿骨外顆よりやや近位を圧迫しながら膝関節を伸展させると疼痛が再現された。
考えられるのはどれか。
1.鵞足炎
2.膝蓋下脂肪体炎
3.大腿四頭筋腱炎
4.腸脛靭帯炎
答え.4
解説
・30歳の男性(3か月前からランニング)。
・左膝の運動痛が出現した。
・膝関節の外側:軽度腫脹。
・膝蓋跳動:陰性。
・膝関節屈曲位で大腿骨外顆よりやや近位を圧迫しながら膝関節を伸展させると疼痛が再現された。
→本症例は、Graspingテスト(グラスピングテスト)が陽性であることからも腸脛靱帯炎が疑われる。腸脛靱帯炎とは、ランナー膝ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。ちなみに、Graspingテスト(グラスピングテスト)は、腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。腸脛靱帯炎の原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生する。
1.× 鵞足炎は考えにくい。
なぜなら、本症例の膝関節の外側に軽度腫脹であるため。鵞足炎とは、膝下の内側にある鵞足部周辺が炎症を起こしている状態である。 鵞足とは、薄筋・縫工筋・半腱様筋がついている部位のことを指す。
2.× 膝蓋下脂肪体炎は考えにくい。
なぜなら、本症例の膝関節の外側に軽度腫脹であるため。膝蓋下脂肪体炎とは、(Hoffa病:フォッファ病)ともいい、膝の前面(特に、膝蓋骨下)に生じる痛みが生じた状態を指す。膝関節にある膝蓋下脂肪体という組織が、膝関節に脂肪体が挟み込まれ、炎症を起こす。
3.× 大腿四頭筋腱炎は考えにくい。
なぜなら、本症例の膝関節の外側に軽度腫脹であるため。大腿四頭筋腱炎とは、(ジャンパー膝:膝蓋靭帯炎)ともいい、反復したジャンプ動作によって起こる。バレーボール・バスケットボールの選手などに多く発症し、膝蓋骨遠位部に圧痛を認める。
4.〇 正しい。腸脛靭帯炎が考えられる。
本症例は、Graspingテスト(グラスピングテスト)が陽性であることからも腸脛靱帯炎が疑われる。腸脛靱帯炎とは、ランナー膝ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。ちなみに、Graspingテスト(グラスピングテスト)は、腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。腸脛靱帯炎の原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生する。