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問題51 消毒と滅菌で誤っているのはどれか。
1.オートクレーブは高圧蒸気滅菌装置である。
2.グルタラールは粘膜に対して刺激性が弱い。
3.クロルヘキシジンはMRSAに対して有効である。
4.ポビドンヨードは蛋白質の存在下で殺菌力が低下する。
答え.2
解説
1.〇 正しい。オートクレーブは高圧蒸気滅菌装置である。
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。
2.× グルタラールは、粘膜に対して刺激性が「強い」。
グルタラールとは、被消毒物の材質に与える影響が少なく、各種器具・機器、内視鏡などの消毒に有用である。しかし、薬液が皮膚に付着した場合、皮膚の着色や発疹、発赤等の過敏症状を起こすことがあり、また、蒸気は眼や呼吸器等の粘膜に対して刺激作用を示すことなどから、その使用には十分な注意が必要である。
3.〇 正しい。クロルヘキシジンはMRSAに対して有効である。
クロルヘキシジングルコン酸塩液は、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。
4.〇 正しい。ポビドンヨードは蛋白質の存在下で殺菌力が低下する。
ポビドンヨードとは、世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつである。施設に感染症が流行していない場合は、ポビドンヨードやアルコール溶液などで断端を消毒することは勧められていない。臍帯断端は清潔で乾いた状態にしておく必要がある。
黄色ブドウ球菌は非常にありふれた常在菌で、健常者でも髪の毛や鼻の粘膜、口腔内、傷口などによく付着している。
問題52 手術法で正しいのはどれか。
1.感染創では一次縫合を行う。
2.血管吻合は内翻縫合で行う。
3.皮膚切開はランゲル皮膚割線と平行に行う。
4.神経縫合はアルベル・ランベール縫合で行う。
答え.3
解説
汚染創とは、細菌、異物が創面に付着してはいるものの増殖して創周囲組織に浸潤していない状態である。感染創とは、菌が増殖して創周囲組織内に浸 潤している状態である。震災時に治療の対象となる創傷は、汚染創もしくは感染創である。
1.× 感染創では一次縫合を行うべきではない。
なぜなら、感染状態下での一次縫合は、感染の拡大のリスクを高める可能性があるため。したがって、傷の清浄化、デブリードメント(壊死組織などの除去)を行った後、二次縫合を行う。創傷治癒には、一次治癒(一次縫合)と二次治癒(二次縫合)がある。一次治癒とは、創縁と創縁が密着し、創縁と創縁の間に瘢痕をほとんど形成せずに治癒する状態をいう。二次治癒とは、創縁と創縁の間に肉芽組織を形成し瘢痕となり治癒に至ることをいう。
2.× 内翻縫合(※読み:ないはんほうごう)で行うのは、「血管吻合」ではなく消化管吻合(※読み:ふんごう)である。
ちなみに、血管に対し、外翻縫合を行う。
筋膜・筋:筋肉自体は縫合しなくてもよい。
神経:神経鞘を縫合
血管:外翻縫合
消化管:内翻縫合
3.〇 正しい。皮膚切開はランゲル皮膚割線と平行に行う。
ランゲルの皮膚割線とは、皮膚割線(※読み:ひふかっせん)のことである。人は受精卵から細胞分裂を繰り返して体を作りますが、この細胞分裂の過程によって生じた細胞膜の跡をランゲルラインという。外科手術の際にランゲルラインに 沿ってメスを入れると線維を切断しないため、傷口がきれいで手術跡が目立たない。
4.× アルベル・ランベール縫合(Albert-Lembert縫合)で行うのは、「神経縫合」ではなく消化管縫合である。
消化管縫合のうちAlbert-Lembert縫合は、2層縫合の代表として、今日でも比較的安全な方法として広く使用されている(※参考:「腸管縫合—Albert-Lembert縫合」著:吉田 紘一より)
問題53 全身麻酔の導入で正しいのはどれか。
1.患者の不安を除去し鎮静を図る。
2.抗コリン剤投与は気道分泌を促す。
3.筋弛緩薬は気管内挿管を困難にする。
4.栄養管理のため直前に経口摂取を行う。
答え.1
解説
1.〇 正しい。患者の不安を除去し鎮静を図る。
全身麻酔の3つの概念として、鎮痛・鎮静・筋弛緩がある。全身麻酔とは、痛覚刺激を与えても患者が覚醒しないように、人為的に誘発される意識喪失である。
2.× 抗コリン剤投与は気道分泌を「促す」のではなく抑制する。
抗コリン剤による反応(胃の嬬動運動を抑える反応)により、頻脈、口渇、羞明(まぶしさ)、排尿障害、眼圧上昇などを起こす。
3.× 筋弛緩薬は気管内挿管を「困難」ではなく円滑にする。
なぜなら、筋弛緩薬により、骨格筋を弛緩させ、気管挿管時の喉頭展開を容易にし、全身の不動化や良好な手術視野の確保ができるため。
4.× 栄養管理のためとはいえ、直前に経口摂取は行わない。
なぜなら、胃の内容物が逆流して肺の中へ流れ込むことで誤嚥性肺炎をおこす可能性があるため。したがって、手術予定時刻の4時間前からは、絶飲食である。
問題54 外出血で誤っているのはどれか。
1.鼻出血
2.肺結核
3.皮下出血
4.消化性潰瘍
答え.3
解説
出血とは、血液が血管外に流出することである。①外出血と②内出血に分類される。
①外出血:皮膚や臓器の外に出血する場合
(例:外傷出血、口腔内の出血、鼻血、消化管の出血など)
→血液が体の外に多く流出すると体内の血液量が減り貧血を起こす。
②内出血:傷口が体の中に出血する場合
(例:皮下出血、頭蓋内の出血、筋肉内の出血など)
→出血によって血腫が作られ、周りの組織を圧迫することで、神経や血管に障害を起こす。
1.〇 正しい。鼻出血は、外出血である。
鼻出血とは、鼻血のことを指す。鼻の粘膜が何らかの原因で傷つくことで出血する。
2.〇 正しい。肺結核は、外出血である。
なぜなら、肺から血痰が排出されるため。肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
3.× 皮下出血は、外出血で誤っている。
皮下出血は、内出血である。内出血とは、傷口が体の中に出血する場合のことを指し、例えば、皮下出血、頭蓋内の出血、筋肉内の出血などがあげられる。出血によって血腫が作られ、周りの組織を圧迫することで、神経や血管に障害を起こす。
4.〇 正しい。消化性潰瘍は、外出血である。
消化性潰瘍とは、食物を分解する働きをもつ胃酸や消化酵素が胃や十二指腸の壁を深く傷つけてしまうことによって起こる病気である。消化性潰瘍ができると、お腹の上のほうやみぞおちのあたりに鈍い痛みを感じることが多くみられる。空腹時に痛みが強くなることが多く、食事をとることで軽くなる。
問題55 腹部外傷で腹腔内遊離ガス像を認めるのはどれか。
1.肝損傷
2.腎損傷
3.脾損傷
4.消化管穿孔
答え.4
解説
腹腔内遊離ガス像とは、腹腔内フリーエアーともいい、腹腔内に空気がたまることである。本来、腹腔内の空間には空気がない。しかし、消化管(胃や大腸など)に穴が開くと中の空気が腹腔内に漏れ出す。この時、胸部レントゲンを立位で撮影すると、腹腔内にある空気が上に集まり、横隔膜の下(腹腔内)に空気がたまる。
1.× 肝損傷
肝損傷が軽度な場合は、受傷時の打撲によって右側腹部〜上腹部に痛みが現れる。肝臓は血流がとても豊富な臓器であるため、損傷が高度な場合には、腹腔内出血を起こす危険性がある。その場合は出血が多量となり血圧低下、 意識混濁などの出血性ショックの症状が現れる。
2.× 腎損傷
腎損傷の症状として、出血性ショックや血尿、腎部の痛みと腫れ、あざ等の症状が現れる。このうち、出血性ショックを起こした場合等には、適切な治療を施さないと死亡するおそれがある。
3.× 脾損傷
脾損傷の症状として、左上腹部を中心とした痛みを伴う。放散痛として左肩に痛みが生じる場合もある。損傷の程度が高度な場合は、脾臓の実質や 脾動脈の損傷により腹部内へ大量出血をきたす場合もあり、この場合は血圧低下や意識障害などの出血性ショックの状態となる。
4.〇 正しい。消化管穿孔は、腹部外傷で腹腔内遊離ガス像を認める。
腹腔内遊離ガス像とは、腹腔内フリーエアーともいい、腹腔内に空気がたまることである。本来、腹腔内の空間には空気がない。しかし、消化管(胃や大腸など)に穴が開くと中の空気が腹腔内に漏れ出す。この時、胸部レントゲンを立位で撮影すると、腹腔内にある空気が上に集まり、横隔膜の下(腹腔内)に空気がたまる。