第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午後21~25】

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問題21 職種が行う役割の組合せで誤っているのはどれか。

1.義肢装具士:装具処方
2.理学療法士:運動療法
3.作業療法士:日常生活活動訓練
4.言語聴覚士:嚥下訓練

答え.1

解説
1.× 装具処方は、「義肢装具士」ではなく医師である。
装具は、病院で診察を受け、医師より製作所に処方が出され、義肢装具士が義肢・装具を製作する。義肢装具士とは、法律上、「医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者」と定められ、医師の処方に従い患者さんの採型や採寸を行い、これを元に義肢装具を製作して、病院などで適合を行う。

2.〇 正しい。理学療法士:運動療法
理学療法士とは、医師の指示のもとに治療体操や運動・マッサージ・電気刺激・温熱などの物理的手段を用いて、運動機能の回復を目的とした治療法・物理療法(理学療法)を行う専門職である。つまり、関節可動域や筋力の向上などが役割である。

3.〇 正しい。作業療法士:日常生活活動訓練
作業療法士とは、医師の指示のもとに手工芸・芸術・遊びやスポーツ・日常動作などを行うことにより、障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を目指す治療(作業療法)を行う専門職である。つまり、食事動作等、日常生活動作の回復が役割である。

4.〇 正しい。言語聴覚士:嚥下訓練
言語聴覚士とは、言語や聴覚、音声、呼吸、認知、発達、摂食・嚥下に関わる障害に対して、その発現メカニズムを明らかにし、検査と評価を実施し、必要に応じて訓練や指導、支援などを行う専門職である。

 

 

 

 

 

問題22 身体障害者手帳を交付するのはだれか。

1.市区町村長
2.都道府県知事
3.厚生労働大臣
4.内閣総理大臣

答え.2

解説

身体障害者手帳とは?

身体障害者手帳とは、身体障害者がそれを対象とする各種制度を利用する際に提示する手帳で、身体障害者が健常者と同等の生活を送るために最低限必要な援助を受けるための証明書にあたる。障害者手帳を提示することで、障害者雇用枠での就労が可能になるほか、医療費の負担減や税金の控除、割引等のサービスが受けることができる。

1.× 市区町村長
市区町村長とは、住民のより豊かな暮らしのために計画を立て、予算を組み、市区町村の法律である条例を制定するなどを行う。

2.〇 正しい。都道府県知事が、身体障害者手帳を交付する。
身体障害者手帳制度は、身体障害者福祉法に基づき、都道府県、指定都市又は中核市において障害の認定や交付の事務が行われています。
身体障害者手帳の交付申請は、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が指定する医師の診断書・意見書、身体に障害のある方の写真を用意し、お近くの福祉事務所又は市役所にて行います(※引用:「障害者手帳」厚生労働省HPより)。

3.× 厚生労働大臣
厚生労働大臣とは、日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。厚生労働省は、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。

4.× 内閣総理大臣
内閣総理大臣とは、日本の内閣の首長たる国務大臣である。文民である国会議員が就任し、その地位及び権限は日本国憲法や内閣法などに規定されている。

 

 

 

 

 

問題23 57歳の男性。生来右利きである。左中大脳動脈領域のアテローム性脳梗塞を発症し、4週が経過した。右片麻痺のブルンストロームステージは上肢2、手指1、下肢4で、感覚障害は表在・深部とも軽度である。
 これから行うべき対応で正しいのはどれか。

1.車いすに適した自宅改修
2.長下肢装具の作成
3.右手箸操作の訓練
4.利き手交換の訓練

答え.4

解説

本症例のポイント

・57歳の男性(右利き)
・左中大脳動脈領域のアテローム性脳梗塞(4週経過)
・右片麻痺のBrs:上肢2、手指1、下肢4
・感覚障害:表在・深部とも軽度。
→本症例は、4週が経過していることから、ある程度、脳梗塞の症状・回復が一定となる時期である。これ以上、劇的な回復は見込めにくいことから、今後の対応を考えるべきである。

1.× 車いすに適した自宅改修
なぜなら、本症例は車いす不要と考えられるため。下肢のBrsのstageⅣ:座位で足を床の後方へすべらせて、膝を90°屈曲。踵を床から離さすに随意的に足関節背屈である。

2.× 長下肢装具の作成
なぜなら、短下肢装具での歩行獲得が目指せるレベルであるため。長下肢装具とは、立位訓練開始から装具をつけ、介助下での平行棒な歩行訓練が必要なレベルの重度の麻痺に適応となる。臨床では、重度弛緩性麻痺時には長下肢装具で立位練習を行い、股関節の収縮が得られてきた際に、短下肢装具へ移行しながら練習することが多い。

3.× 右手箸操作の訓練
なぜなら、右片麻痺のBrs:上肢2、手指1であるため。上肢stageⅡ:上肢のわずかな随意運動、手指stageⅠ:弛緩性麻痺である。そのため、現時点で右手箸操作の訓練を行うのは困難である。

4.〇 正しい。利き手交換の訓練が行うべき対応である。
なぜなら、患者は右利きであるが、重度の右片麻痺を呈しているため。一方、左手は機能していることから、生活を支えるためには利き手の交換(右から左へ)を訓練することが適切である。

 

 

 

 

 

問題24 診察で誤っているのはどれか。

1.患者は客観的に診察する。
2.医療面接では他覚所見を確認する。
3.診断した疾患に対して治療する。
4.治療後の経過は診療録に記載する。

答え.2

解説
1.〇 正しい。患者は客観的に診察する
主観的情報とは、対象者から得られる情報であり、一方、客観的情報とは、医療者の観察から得て解釈した情報である。

2.× 医療面接では、「他覚所見」だけではなく、「他覚所見のほかにも主観的所見(自覚所見)も」を確認する。
他覚所見とは、検査結果等から導き出される医師の見解である。

3.〇 正しい。診断した疾患に対して治療する
診断的治療とは、病気の診断の検討をし、それに対する治療をしながら経過を観察し、その治療で効果がみられたら、やはりその診断が正当であったとする診断・治療の方法である。

4.〇 正しい。治療後の経過は診療録に記載する
診療記録(診療録、カルテ)とは、医療に関してその診療経過等を記録したものである。 診療録には手術記録・検査記録・看護記録等を含め診療に関する記録の総称をいう。

問題志向型医療記録とは?

問題志向型医療記録とは、患者の抱える問題に目を向け、患者の問題を中心に行う医療(POM:problem oriented medical)の考え方に合わせた記録方法のことをいう。問題(プロブレム) 毎に情報を整理し、問題毎にSOAP(subjective, objective, assessment, plan)に分けて記載する方法のこと。記載内容は以下のように整理する。

①S(Subjective):主観的情報
②O(Objective):客観的情報
③A(Assessment):評価
④P(Plan):計画

 

 

 

 

 

問題25 高身長を呈するのはどれか。

1.クレチン病
2.先端巨大症
3.ターナー(Turner)症候群
4.マルファン(Marfan)症候群

答え.4

解説
1.× クレチン病
クレチン病とは、先天性の甲状腺機能低下症であり、独特の顔貌と低身長、知能低下を来たす。症状として、元気がない、体重が増えない、かすれた声、手足が冷たい、むくみ、皮膚がカサカサ、黄疸が長引く、出べそが目立つ、舌がぼってり大きい、小泉門(後頭部の骨の き間)が大きいなどがみられる。

2.× 先端巨大症
先端巨大症は、下垂体前葉ホルモンである成長ホルモンの過剰分泌で生じる。身長には影響が出ず、5~10年かけてゆっくり進行する。アクロメガリーとも呼ばれ、額、鼻、唇や下あごが大きくなる特徴的な顔貌と、手足など体の先端が肥大する病気である。

3.× ターナー(Turner)症候群
ターナー症候群とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみ(翼状頸)があり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。女性特有の染色体異常である。

4.〇 正しい。マルファン(Marfan)症候群は、高身長を呈する。
Marfan症候群とは、全身の結合組織の働きが体質的に変化しているために、骨格の症状(高身長・細く長い指・背骨が曲がる・胸の変形など)、眼の症状(水晶体(レンズ)がずれる・強い近視など)、心臓血管の症状(動脈がこぶのようにふくらみ、裂けるなど)などを起こす病気である。つまり、全身の結合組織がもろくなるため、大動脈癌や大動脈解離を生じやすい。

 

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