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66 初期の後脛骨筋腱機能不全にみられるのはどれか。
1.扁平足
2.外脛骨
3.踵部外反
4.外反母趾
答え.2
解説
後脛骨筋の【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底、【作用】足関節底屈、内返し、【支配神経】脛骨神経(L5~S2)である。後脛骨筋機能不全とは、足の土踏まず(アーチ)を形成するために重要な後脛骨筋腱が加齢により劣化し、扁平足変形を生じる病態である。 中年以降の女性に多いとされている。内くるぶしや足裏に痛みが生じるが、初期段階では程度は軽く痛みを感じない方もいる。痛み自体は弱いものの初期でも内くるぶしの下に腫れなどの症状は見られる。この状態で放置すると、徐々に症状は進行し、痛みが強くなり、体重をかけたり、つま先立ちをすることができないほどになる。
1.× 扁平足
扁平足とは、足関節外反位に加えにアーチの低下などアライメント不良を起こした状態である。後脛骨筋腱機能不全の進行に伴い、後期で扁平足が現れる。
2.〇 正しい。外脛骨は、初期の後脛骨筋腱機能不全にみられる。
後脛骨筋は、足関節の回内と足のアーチを維持する役割を持っている。そのため、後脛骨筋腱の機能不全が初期に起こると、脛骨(足首の内側)が外側に移動する「外脛骨」を引き起こすことがある。
3~4.× 踵部外反/外反母趾
扁平足と同様に、後脛骨筋腱機能不全の進行に伴い、後期で現れる。外反母趾とは、足の親指(母趾)が小指側に曲がり、「く」の字のように変形することである。
外脛骨とは、足の舟状骨の内側に位置する骨をいう。正常な人の15%程度にみられる足の内側にある余分な骨である。有痛性外脛骨とは、その外脛骨が痛みを起こしてしまった状態をいう。スポーツ活動や捻挫などの外傷をきっかけに痛みを起こすことがあり、小児、特に女性での発症が多く、成長期を終えると痛みが治まることが多い。主な症状として、①疼痛(圧痛、運動時痛)、②腫脹(うちくるぶしの下方の腫れ)があげられる。他にも、炎症が強い場合には、熱感も引き起こすことがある。治療として、①薬物療法(鎮痛)、②運動療法、③物理療法(温熱や電気刺激による鎮痛)、④装具療法などがあげられる。
問題67 25歳の男性。オートバイ事故で頸椎を損傷した。三角筋、上腕二頭筋は徒手筋力検査で両側5、手関節伸展は右1、左2である。下肢運動機能は全廃している。
この患者の残存機能の髄節はどれか。
1.第4頸髄節
2.第5頸髄節
3.第6頸髄節
4.第7頸髄節
答え.2
解説
(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)
・25歳の男性(頸椎損傷)。
【徒手筋力検査】
・三角筋、上腕二頭筋:両側5、手関節伸展:右1、左2。
・下肢運動機能:全廃。
1.× 第4頸髄節
なぜなら、本症例は、三角筋と上腕二頭筋が両側5で機能しているため。第4頸髄節の場合は、上腕二頭筋が機能していない。
2.〇 正しい。第5頸髄節は、この患者の残存機能の髄節である。
なぜなら、本症例は、三角筋と上腕二頭筋が両側5で機能しているが、手関節伸展(長・短橈側手根伸筋)は右1、左2と機能が低下しているため。
3~4.× 第6頸髄節/第7頸髄節
なぜなら、手関節伸展(長・短橈側手根伸筋)は右1、左2と機能が低下しているため。第6頸髄節の場合は、手関節伸展(長・短橈側手根伸筋)が機能している。
問題68 肩腱板損傷で正しいのはどれか。
1.筋萎縮がみられる。
2.肩関節外転150度以上で疼痛を生じる。
3.烏口突起の1横指外側に圧痛がみられる。
4.単純エックス線画像で石灰沈着がみられる。
答え.1
解説
腱板構成筋群の中でも棘上筋腱は最も損傷・断裂しやすく、96.6%を占める。これは、棘上筋が身体の構造状引き起こされやすくなっている(衝突や摩擦)ためである。ちなみに、腱板(回旋筋腱板:ローテーターカフ)とは、肩甲骨と上腕骨をつないでいる4つの筋肉の腱の総称である。① 棘上筋、②棘下筋、③小円筋、④肩甲下筋から成る。
1.〇 正しい。筋萎縮がみられる。
なぜなら、肩腱板損傷により可動域の制限・不動による筋力低下で筋萎縮が発生することがあるため。
2.× 肩関節外転「150度以上」ではなく60~120度程度で疼痛を生じる。
肩腱板損傷では、主に棘上筋腱が最も損傷・断裂しやすく、96.6%を占める。Painful arc sign(ペインフルアークサイン)は、患者さんの力により外転方向に挙上してもらう。棘上筋が損傷していれば60°〜120°の間で疼痛を感じ、それ以外の角度では疼痛を感じない。
3.× 烏口突起の1横指外側に圧痛がみられるのは、「腱板疎部損傷」である。
腱板疎部とは、肩の前方にある烏口上腕靱帯や上関節上腕靱帯などから構成される空間で、ほかの部位と異なり腱板が存在しないのが特徴である。肘をからだにつけて手を身体から離した位置にする(肩の外転・外旋)での運動時痛がみられる。烏口突起という場所から1横指外側に圧痛がみられる。レントゲンでは挙上位でのすべりがみられる。治療としては、まず安静であるが、状態に応じて手術を要することもある。
4.× 単純エックス線画像で石灰沈着がみられるのは、「石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)」である。
石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)とは、肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じる事によって起こる肩の疼痛・運動制限である。40~50歳代の女性に多くみられる。この石灰は、当初は濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏状へと硬く変化する。石灰が、どんどんたまって膨らんでくると痛みが増し、腱板から滑液包内に破れ出る時に激痛となる。
問題69 転位のある鎖骨骨折の患者の姿勢で誤っているのはどれか。
1.健側の手で患側上肢を支える。
2.頭部を患側に傾ける。
3.上腕は外転肢位をとる。
4.すり足歩行となる。
答え.3
解説
1.〇 正しい。健側の手で患側上肢を支える。
なぜなら、健側の手で患側上肢を支えることで、痛みを和らげることができるため。
2.〇 正しい。頭部を患側に傾ける。
なぜなら、頭部を患側に傾けることで、鎖骨につく筋肉(胸鎖乳突筋や僧帽筋)の緊張を和らげ痛みの緩和につながるため。
3.× 上腕は、「外転」ではなく内転肢位をとる。
なぜなら、転位のある鎖骨骨折では、上腕を体の近くに保つことで痛みを和らげることができるため。外転肢位の場合、鎖骨にストレスがかかりやすく痛みが発生しやすい。
4.〇 正しい。すり足歩行となる。
一般的に、すり足歩行はパーキンソン病にみられやすい歩行である。しかし、転位のある鎖骨骨折では、少しの衝撃でも痛みが発生しやすいため、歩行時に少しでも振動を減らすためにすり足様の歩行様式をとりやすい。
問題70 初検の病歴聴取の進め方で誤っているのはどれか。
1.患者の正面に座り話を聞き取る。
2.患者がリラックスして話せる環境を作る。
3.患者の抱いている懸念や望んでいることを聞き取る。
4.患者のプライバシーに関しての質問は慎重に行う。
答え.1
解説
1.× 患者の「正面」ではなく「角度をつけて」座り話を聞き取る。
なぜなら、患者は直接向かい合う(正面に座る)ことを圧迫感と感じ、緊張しやすく不快に思われやすい。一般的に、少し角度をつけて座るなどの配慮が必要となることがある。
2.〇 正しい。患者がリラックスして話せる環境を作る。
なぜなら、リラックスした環境では、患者は自身の症状や懸念についてより自由に話すことができるため。その結果、不足なく病歴を収集することができる。
3.〇 正しい。患者の抱いている懸念や望んでいることを聞き取る。
なぜなら、治療は医療従事者が一方的に決定するものではないため。患者への説明と同意が必要である。
4.〇 正しい。患者のプライバシーに関しての質問は慎重に行う。
なぜなら、信頼関係を損なう可能性があるため。職業によって、特に医療職は体について間髪入れず質問攻めをしてしまうことが多いため、注意が必要である。
ロジャーズの3原則とは、アメリカの心理学者であるカール・ロジャーズが提唱した「傾聴」の3つの構成要素を表すものである。
【ロジャーズ,C.Rの3原則】
①「共感的理解」:相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすること
②「無条件の肯定的配慮」:相手の話を善悪の評価や好き嫌いの評価をせずに聴くこと
③「自己一致」:聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認すること