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問題6 衛生行政と所管する官庁の組合せで誤っているのはどれか。
1.一般衛生行政:厚生労働省
2.学校保健行政:文部科学省
3.環境衛生行政:環境省
4.労働衛生行政:経済産業省
答え.4
解説
1.〇 正しい。一般衛生行政は、「厚生労働省」が管轄している。
地域保健行政(一般衛生行政)は、家庭や地域社会、母子・高齢者などである。
2.〇 正しい。学校保健行政は、「文部科学省」が管轄している。
学校保健行政とは、主に学校生活で、保健活動や学校保健制度などである。
3.〇 正しい。環境衛生行政は、「環境省」が管轄している。
環境保健行政は、公害対策、環境保全などである。
4.× 労働衛生行政は、「経済産業省」ではなく厚生労働省である。
産業保健行政(労働衛生行政)は、職場の生活や雇用労働者などである。ちなみに、経済産業省は、経済および産業の発展ならびに鉱物資源およびエネルギー資源の供給に関する行政を所管する。
保健行政(公衆衛生行政)は、①地域保健行政(一般衛生行政)、②産業保健行政(労働衛生行政)、③学校保健行政、④環境保健行政の4分野からなる。厚生労働省が①地域保健行政(一般衛生行政)、②産業保健行政(労働衛生行政)を担当し、文部科学省が③学校保健行政を、環境省が④環境保健行政を担当している。①地域保健行政(一般衛生行政)は、家庭や地域社会、母子・高齢者などが対象である。②産業保健行政(労働衛生行政)は、職場の生活や雇用労働者などが対象である。③学校保健行政はその名の通り学校生活が対象である。④環境保健行政は、公害対策、環境保全が対象である。
【厚生労働省】
①地域保健行政(一般衛生行政):家庭や地域社会、母子・高齢者など
②産業保健行政(労働衛生行政):職場の生活や雇用労働者など
【文部科学省】
③学校保健行政:学校生活
【環境省】
④環境保健行政:公害対策、環境保全など
問題7 世界保健機関(WHO)の主な活動内容はどれか。2つ選べ。
1.地球温暖化対策
2.保健統計の収集
3.薬品のモニタリング
4.途上国への経済支援
答え.2・3
解説
世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。
設置年:昭和23(1948)年
本部:ジュネーブ(スイス)
協力形態:多国間交流
事業内容:発展途上国への国際保健協力、感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅事業、国際疾病分類(ICD)の作成
備考:①WHOの構成組織である地域的機関は、6つ(アフリカ、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパ、東地中海、西太平洋)あり、日本は西太平洋に所属している。②194か国加盟 (2018年4月時点)、③たばこ規制枠組み条約:たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について規定。
(※参考:「日本とWHO」厚生労働省HPより)
1.4.× 地球温暖化対策/途上国への経済支援
これらは、国際協力機構(JICA)が主に行う活動である。国際協力機構とは、開発途上地域に対する技術協力の実施、無償資金協力の実施の促進、開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進に必要な業務等を行い、これらの地域等の経済及び社会の発展または復興に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする機構である。
2~3.〇 正しい。保健統計の収集/薬品のモニタリングは、世界保健機関(WHO)の主な活動内容である。
他にも、世界保健機関(WHO)の事業内容として、発展途上国への国際保健協力、感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅事業、国際疾病分類(ICD)の作成などがある。
気候変動枠組条約(1992年):①大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることが目的である。②先進国は1990年代末まで温室効果ガス排出量を1990年レベルまで戻す(努力目標)。③国際連合環境開発会議(地球サミット)で155か国が署名している。
京都議定書(1997年):①先進国の温室効果ガス排出量の削減目標を定めた。②法的拘束力のある数値目標を国ごとに設定(先進国が対象)。③日本のCO2削減目標は、1990年比で6%減。④日本は1990年比8.4%減で目標の6%減を達成。
パリ協定(2015年):①世界共通の長期目標として産業革命前からの気温上昇を2℃未満に(努力目標は1.5℃)。②主要排出国を含む参加するすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新。③日本は2030年度の温室効果ガス削減目標を2013年度比で26.0%減として国連気候変動枠組条約事務所に登録。
(※参考:「気候変動の国際交渉|関連資料」環境省HPより)
国際協力機構とは、開発途上地域に対する技術協力の実施、無償資金協力の実施の促進、開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進に必要な業務等を行い、これらの地域等の経済及び社会の発展または復興に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする。
設置年:昭和49(1974)年
協力形態:二国間協力
事業内容:①技術協力(専門家の派遣、研究員の受け入れ)、②有償・無償資金協力、③ボランティア派遣(青年海外協力隊など)、④国際緊急援助
備考:国際緊急援助では、大規模災害時、被災国政府等の要請に応じ、国際緊急援助隊が派遣されている。
青年海外協力隊とは、日本国政府が行う政府開発援助 の一環として、外務省所管の独立行政法人国際協力機構 が実施する海外ボランティア派遣制度である。
(※参考:「(1)独立行政法人 国際協力機構(JICA)」外務省HPより)
問題8 不活化ワクチンはどれか。
1.インフルエンザワクチン
2.水痘ワクチン
3.風疹ワクチン
4.BCGワクチン
答え.1
解説
(※図引用:「生ワクチンと不活化ワクチン」田辺三菱製薬様HPより)
経口生ワクチン:ロタウイルス
注射生ワクチン:BCG、麻しん風しん、水痘(みずぼうそう)、ムンプス(おたふくかぜ)
注射不活化ワクチン:B型肝炎、小児用肺炎球菌、ヒブ、4種混合、日本脳炎、2種混合、子宮頚がん、インフルエンザ、髄膜炎菌
1.〇 正しい。インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンである。
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスへの感染を原因に発症する。A型、B型、C型の3種類があり、このうち冬季に流行する「季節性インフルエンザ」はA型とB型によるものである。症状として、38℃以上の発熱や寒気、関節痛、全身のだるさなどの全身症状と、喉の痛みや咳などの風邪のような症状が現れる。上気道症状が1週間程度続くのが典型的である。
2.× 水痘ワクチンは、生ワクチンである。
水痘とは、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気である。子供の頃にかかった水痘ウイルスが数十年の潜伏期間を経て、免疫力が低下した時などに再活性化(回帰感染)して起こる。
3.× 風疹ワクチンは、生ワクチンである。
風疹とは(三日ばしか)、風疹ウイルスに感染することで引き起こされる感染症である。感染から14〜21日(平均16〜18 日)の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現するが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度である。 また不顕性感染が15(~30)%程度存在する。
4.× BCGワクチンは、生ワクチンである。
BCGワクチン(BCG接種)とは、ウシ型結核菌の実験室培養を繰り返して作製された細菌、および、それを利用した結核に対する生ワクチンである。1歳まで(標準として生後5か月から8か月まで)に1回接種する。主に小児の結核の発症・重症化予防に効果があるとされている。
予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。
A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎
B類疾病:主に個人予防に重点を置き、国の積極的な勧奨なく、本人(保護者)に努力義務はない。
疾患:季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症
(参考:「予防接種とは?」東京都医師会HPより)
問題9 金属器具に使用できない消毒薬はどれか。
1.クロルヘキシジン
2.グルタラール
3.消毒用エタノール
4.次亜塩素酸ナトリウム
答え.4
解説
1.〇 クロルヘキシジン
クロルヘキシジングルコン酸塩液は、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。
2.〇 グルタラール
グルタラールは、被消毒物の材質に与える影響が少なく、各種器具・機器、内視鏡などの消毒に有用である。しかし、薬液が皮膚に付着した場合、皮膚の着色や発疹、発赤等の過敏症状を起こすことがあり、また、蒸気は眼や呼吸器等の粘膜に対して刺激作用を示すことなどから、その使用には十分な 注意が必要である。
3.〇 消毒用エタノール
消毒用エタノールは、皮膚や手術部位の消毒、医療器具の洗浄消毒などに用いられている。また、種々の添加物成分を混合した製剤(エタノール製剤またはアルコール製剤)として、新指定医薬部外品や食品添加物の用途でも使われている。
4.× 次亜塩素酸ナトリウムは、金属器具に使用できない消毒薬である。
次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルス感染症に罹患した患者の嘔吐物が床に飛び散っているこの処理に使用する消毒薬である。ノロウイルスの消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの注意点として、毒性が強く、吸い込んでしまったり、目に入ってしまった場合には呼吸器や粘膜へ損傷を与える危険を伴う。
問題10 手指の消毒で正しいのはどれか。
1.最初にブラシで擦る。
2.流水による手洗いでは温水より冷水の方がよい。
3.術前の手洗いは指先から各指、手掌の順で洗う。
4.速乾性擦式消毒薬は30秒以上かけて手にすり込む。
答え.4
解説
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
【手指衛生の5つのタイミング】
①患者に触れる前( 手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るため)
②清潔/無菌操作の前( 患者の体内に微生物が侵入することを防ぐため)
③体液に曝露された可能性のある場合(患者の病原微生物から医療従事者を守るため)
④患者に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
⑤患者周辺の環境や物品に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
(※引用:「WHO手指衛生ガイドライン」矢野邦夫より)
1.× 最初にブラシで擦る必要はない。
なぜなら、そのブラシが使いまわしで不衛生な可能性も考えられるため。またブラシの硬さによるが、ブラシを使用すると皮膚を傷つけ、手洗いをする側の手荒れを生じさせたり、手荒れが悪化することで感染のリスクを増加させる可能性があるため。石けんは十分に泡立てる。泡立てることにより洗浄効果が得られる。
2.× 逆である。流水による手洗いでは、「冷水」より「温水」の方がよい。
絶対に温水である必要はないが、患者に触れる前、冷水で手洗いした場合、不快感を与えてしまう。
3.× 術前の手洗いは、「指先から各指、手掌」ではなく「手首から指先」の順で洗う。
なぜなら、手首から指先に向かって洗うことで、洗った部分から未洗浄の部分へと汚れが流すことできるため。
4.〇 正しい。速乾性擦式消毒薬は30秒以上かけて手にすり込む。
速乾性擦式消毒薬(アルコールベースの手指消毒薬など)は、適切に作用させるためには手全体に均一に分布させ、十分な時間(通常は30秒以上)をかけてすり込む必要がある。