第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午後66~70】

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問題66 大腿骨頭すべり症で正しいのはどれか。

1.女性に多い。
2.肥満型に多い。
3.アリス徴候陽性となる。
4.好発年齢は壮年期である。

答え.2

解説

大腿骨頭すべり症とは?

大腿骨頭すべり症とは、大腿骨近位骨端軟骨の脆弱化、体重負荷により、大腿骨頭が頚部に対して、後下方に転位する疾患である。原因として、肥満と成長期のスポーツ活動による力学的負荷が大腿骨に加わるために生じる。成長ホルモンと性ホルモンの異常で発症することもある。9歳から15歳頃の股関節の成長軟骨板(成長線)が力学的に弱い時期に発症する。

1.× 「女性」ではなく男性に多い。
男女比では5:4とやや男性に多い傾向である。

2.〇 正しい。肥満型に多い
原因として、肥満と成長期のスポーツ活動による力学的負荷が大腿骨に加わるために生じる。成長ホルモンと性ホルモンの異常で発症することもある。9歳から15歳頃の股関節の成長軟骨板(成長線)が力学的に弱い時期に発症する。

3.× アリス徴候は、「陽性」ではなく陰性である。
アリス徴候は、背臥位で両膝を屈曲しながら、股関節を屈曲して両下腿をそろえ、左右の膝の高さを比べる診察法である。膝の高さに差があるときに陽性と診断し、股関節脱臼を疑う。これは、股関節の脱臼が生じると大腿骨頭が寛骨臼の後方に位置するため、左右差が生じる。一方、両側脱臼例や下肢に骨性の短縮が存在する症例の場合、有効ではないため注意が必要である。

4.× 好発年齢は、「壮年期」ではなく思春期である。
原因として、肥満と成長期のスポーツ活動による力学的負荷が大腿骨に加わるために生じる。成長ホルモンと性ホルモンの異常で発症することもある。9歳から15歳頃の股関節の成長軟骨板(成長線)が力学的に弱い時期に発症する。

 

 

 

 

 

問題67 76歳の女性。駐車場で転倒し右手を衝いて受傷した。受傷時の単純エックス線写真を別に示す。
 ギプスによる固定を行ったが、ギプス除去後に注意すべき所見はどれか。

1.弾発指
2.母指の屈曲障害
3.スワンネック変形
4.手関節尺側の疼痛

答え.4

解説


1.× 弾発指(ばね指)
ばね指とは、指を曲げて伸ばそうとしたときに、弾くようなバネに似た動きをする状態のことである。ばね指は、指を曲げるのに必要な腱や腱鞘に炎症が起こり、腱鞘炎が悪化することで発症する。特に手指を使いすぎていたり、スポーツをしたりしているとかかりやすいといわれている。

2.× 母指の屈曲障害
母指の屈曲障害は、正中神経麻痺により生じる。猿手とは、母指球が萎縮し、母指が内転位となり、母指とその他の手指との対立運動が不能となる状態である。

3.× スワンネック変形
スワンネック変形は、MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節が屈曲変形となる。関節リウマチなどによっておこる。

4.〇 正しい。手関節尺側の疼痛がギプス除去後に注意すべき所見である。
橈骨遠位端骨折の合併症として、正中神経麻痺、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、尺骨突き上げ症候群、三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)などがあげられる。尺骨突き上げ症候群は、手首の骨と前腕の骨がぶつかりあい、軟骨を痛めたり、関節が炎症をおこして起こるものである。ドアノブを回したり、ぞうきんを絞るなどの日常動作で痛みが生じる。 

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題68 骨折の治癒過程で正しいのはどれか。

1.炎症期→仮骨形成期→仮骨硬化期→リモデリング期
2.炎症期→仮骨硬化期→仮骨形成期→リモデリング期
3.炎症期→リモデリング期→仮骨形成期→仮骨硬化期
4.炎症期→仮骨形成期→リモデリング期→仮骨硬化期

答え.1

解説
1.〇 正しい。「炎症期→仮骨形成期→仮骨硬化期→リモデリング期」が骨折の治癒過程である。

炎症期:骨折後2〜3日で活動のピークを迎える。骨折した人が経験する初期の痛みのほとんどがこの炎症によるものである。

仮骨形成期:骨折後1週間が過ぎると骨芽細胞が活動し、1週間目から14週目ぐらいが仮骨が形成する時期である。仮骨とは、骨折した場合に折れたり欠損したりした骨の代わりに、新たにできる不完全な骨組織のことである。

仮骨硬化期:8週間目から36週間目ぐらいにあたる。

リモデリング期:硬化仮骨が患部の機能とともに回復に、本体の骨に吸収、添加作用していく時期である。これが20週目から52週目ぐらいにあたる。

 

 

 

 

 

問題69 骨折型を受傷外力の小さい順から並べると正しいのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.横骨折:斜骨折:螺旋骨折
2.斜骨折:螺旋骨折:横骨折
3.螺旋骨折:横骨折:斜骨折
4.横骨折:螺旋骨折:斜骨折

答え.3or4
※対応:複数の選択肢を正解として採点する。

解説

3~4.螺旋骨折=横骨折<斜骨折が骨折型を受傷外力の小さい順となる。

螺旋骨折は、捻じれる力がかかることで生じる骨折である。スキーでの転倒など捻りが加わる外傷を負ったときや、ボールの投球、腕相撲といった運動の動作の際に起こることもある。 

横骨折は、骨折線が骨の長軸方向に対してほぼ垂直に入る骨折のことである。

斜骨折は、骨の長軸に対して骨折線(骨折部に生じる亀裂)が斜めに入っているものをいう。

ちなみに、ほかにも骨の長軸に並行に骨折線が入っているものを「縦骨折」というものもある。

 

 

 

 

 

問題70 疲労骨折と発生部位の組合せで正しいのはどれか。

1.下部頸椎:棘突起
2.脛骨:顆間隆起
3.距骨:頸部
4.肋骨:第12

答え.1

解説

疲労骨折とは?

 疲労骨折とは、1回の大きな外傷でおこる通常の骨折とは異なり、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいう。好発部位は、腰椎が半数以上を占める。次に、中足骨35%、脛骨27%、肋骨12%、腓骨9%、尺骨・大腿骨・足関節の内側がそれぞれ3%である。

1.〇 正しい。下部頸椎:棘突起
ただし、頚椎の疲労骨折の割合は少ない。

2.× 脛骨は、「顆間隆起」ではなく脛骨の中央1/3部分が多い。

3.× 距骨は、「頸部」ではなく距骨外側突起が多い。
ただし、距骨の疲労骨折の割合は少ない。

4.× 肋骨は、「第12」ではなく第1肋骨第4~9肋骨が多い。
肋骨では首の斜角筋が第1肋骨を繰り返し引っ張ることでストレスが蓄積し発症する。第4~9肋骨ではゴルフや野球などの繰り返し体を捻る動作を行うスポーツで多くみられる。

 

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