第34回(R8年)柔道整復師国家試験 解説【午後71~75】

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問題71 全身関節弛緩性テストで陽性所見はどれか。

1.膝を伸ばして身体を前屈して指先が床に届く。
2.踵をつけてつま先が120度以上開く。
3.足関節が20度以上背屈する。
4.背臥位で膝が10度以上反張する。

解答

解説

東大式全身関節弛緩性テストとは?

東大式全身関節弛緩性テストとは、手・肘・肩・股・膝・足の6大関節と脊柱の計7項目を調べ、関節が通常より過度に動きやすいかを簡便に評価する方法である。スポーツ現場や整形外科のメディカルチェックで、全身の関節の緩さを把握する目的で用いられる。

【各検査項目と陽性判定】
①手関節:手首を曲げ、親指が前腕につく場合は陽性である。
②肘関節:肘を伸ばしきったときに15度以上反る場合は陽性である。
③肩関節:片手を上から、もう片手を下から背中へ回し、背中の後ろで両手の指を握れる場合は陽性である。
④股関節:かかとをつけて立ち、両足を外側へ180度以上開ける場合は陽性である。
⑤膝関節:立位で膝が10度以上反るように伸びる場合は陽性である。
⑥足関節:足裏を床から離さずにしゃがみ、足関節が45度以上曲がる場合は陽性である。
⑦脊柱:立位で前屈した際に、手のひら全体が床につく場合は陽性である。

【点数の見方】
手・肘・肩・膝・足は左右各0.5点、脊柱と股関節は各1点で、合計7点満点である。総合の陽性基準は報告により差があり、7点満点中3点以上を陽性とする報告と、7項目中4項目陽性を弛緩ありとする報告がある。

1.× 膝を伸ばして身体を前屈して、「指先」ではなく手掌全体が床に届く場合は、陽性と判断できる。

2.× 踵をつけてつま先が「120度」ではなく180度以上開く場合は、陽性と判断できる。

3.× 足関節が「20度」ではなく45度以上背屈する場合は、陽性と判断できる。

4.〇 正しい。背臥位で膝が10度以上反張する場合は、陽性と判断できる。

 

 

 

 

 

問題72 頭蓋底骨折と症状の組合せで正しいのはどれか。

1.前頭蓋底骨折:ブラックアイ
2.後頭蓋底骨折:バトル徴候
3.中頭蓋底骨折:カーテン徴候
4.前頭蓋底骨折:口蓋垂の健側偏位

解答

解説
1.〇 正しい。前頭蓋底骨折:ブラックアイ
・ブラック アイとは、頭蓋底骨折の際、眼瞼下の出血により結膜や眼瞼に出血斑がみられる徴候である。つまり、頭蓋底骨折はしばしば周囲の血管を損傷し、眼窩周辺の出血を引き起こす。

2.× バトル徴候は、「後頭蓋底骨折」ではなく頭蓋底骨折のひとつである。
・バトルサインとは、頭蓋底骨折の際の徴候のひとつで、耳介後部の斑状皮下出血がみられているものをさす。鼻骨骨折とは、スポーツなどで、鼻を硬いものにぶつけてしまった場合など、何らかの衝撃が鼻に加わることで、鼻骨が骨折した状態を指す。鼻骨骨折は顔の外傷の中で、一番多い骨折で、症状として、鼻づまり、においがわからないなどが挙げられる。

3~4.× カーテン徴候(口蓋垂の健側偏位)は、「中頭蓋底骨折」ではなく後頭蓋底骨折に関連する。なぜなら、後頭蓋底骨折では、下位脳神経の障害が起こりうるため。Ⅸ(舌咽神経)、Ⅹ(迷走神経)、Ⅺ(副神経)は、頸静脈孔付近を通るため、後頭蓋底骨折で合併しやすい。
・カーテン徴候とは、一側の迷走神経麻痺がある場合には口蓋垂が健側に傾くこと。咽頭後壁も健側に牽引される。

 

 

 

 

 

問題73 眼窩底破裂骨折の合併症で誤っているのはどれか。

1.顎関節脱臼
2.視神経障害
3.視束管骨折
4.脳しんとう

解答

解説

眼窩底破裂骨折とは?

眼窩底破裂骨折とは、目を囲む骨のうち底の薄い部分が、打撲などの強い衝撃で割れる骨折である。目を動かす筋肉や脂肪が骨折部に挟まれ、複視、眼球運動障害、眼球陥没、頬のしびれなどを生じる。

1.× 顎関節脱臼は、眼窩底破裂骨折の合併症ではない。なぜなら、顎関節脱臼は、通常は顎関節そのものや下顎への外傷、あるいは大きな開口で起こる病態であるため。

2.〇 正しい。視神経障害は、眼窩底破裂骨折の合併症である。なぜなら、眼窩骨折では、重症例で視神経が浮腫、挫傷、血腫、骨片圧迫などにより障害されるため。

3.〇 正しい。視束管骨折は、眼窩底破裂骨折の合併症である
・視束管とは、頭蓋骨の奥にある細い骨の通路であり、目で受けた情報を脳へ伝える視神経と眼動脈が通る部分である。ここが骨折や圧迫を受けると、視力低下や失明を生じうる。

4.〇 正しい。脳しんとうは、眼窩底破裂骨折の合併症である。なぜなら、眼窩底破裂骨折は、顔面への比較的大きな鈍的外力で起こるため。
・脳しんとうとは、頭を強く打ったり急に揺さぶられたりして、脳が一時的に正常に働かなくなる状態である。意識消失がなくても起こり、頭痛やめまい、吐き気、記憶の混乱などが出る。脳しんとうを繰り返すと、ひどい場合は重い障害が残ったり、さらには頭蓋内の出血などが原因で死に至ることもある。

 

 

 

 

 

問題74 頸椎骨折の組合せで正しいのはどれか。

1.環椎破裂骨折:ジェファーソン(Jefferson)骨折
2.軸椎椎体骨折:ハングマン骨折
3.椎体破裂骨折:ティアドロップ骨折
4.椎体前辺縁部骨折:チャンス(Chance)骨折

解答

解説
1.〇 正しい。環椎破裂骨折:ジェファーソン(Jefferson)骨折
・環椎骨折(Jefferson骨折)とは、第一頸椎(環椎)の前弓・後弓の破裂骨折(椎体の前方の壁だけではなく、後方の壁も割れる骨折で、脊髄症状を生じる骨折)を指す。環椎骨折(Jefferson骨折)の治療は、主に装具を用いた保存療法が選択される。不安定性が強く早期の場合は手術が選択されることもあるが稀である。環椎は可動性が高く、周囲に神経・血管が通っている特徴がある。

2.× ハングマン骨折は、「軸椎椎体骨折」ではなく軸椎の横突起と椎弓の骨折である。
・ハングマン骨折は、第2頸椎(軸椎)の横突起と椎弓が骨折するものである。交通事故によって発生しやすい。

3.× ティアドロップ骨折は、「椎体破裂骨折」ではなく椎体前辺縁部骨折である。
・椎体骨折(ティアドロップ骨折・涙滴骨折)とは、頚椎が、外力で屈曲が強制され、同時に、上方向からの圧迫力が加わったときに、中・下部頚椎(第3~第7頸椎)に発生する骨折のことである。上位椎体が下位椎体を圧迫したときに、椎体前方部分を破壊し、これが涙の滴のように前方へ分離するのが特徴である。

4.× チャンス(Chance)骨折は、「椎体前辺縁部骨折」ではなくで椎体破裂骨折である。
・チャンス骨折は、脊椎の過剰な屈曲により生じる脊椎骨折である。通常、第1腰椎~第4腰椎におこりやすい。症状には腹部の痣(シートベルトの痕)があげられる。約半数のチャンス骨折は、脾破裂、小腸損傷、腎臓損傷、腸間膜の破裂などの腹部の外傷と関連している。

 

 

 

 

 

問題75 胸骨骨折で誤っているのはどれか。

1.ハンドル損傷で発生する。
2.胸骨剣結合部骨折では剣状突起は胸骨体の前方に転位する。
3.胸壁動揺があれば重篤である。
4.心臓しんとうの合併は予後不良である。

解答

解説

胸骨骨折とは?

胸骨骨折とは、野球の球が飛んできて前胸部にあたる、あるいは車の運転中に事故にあい、ハンドルに前胸部を強く打ちつけるなど、強い圧力が前胸部の中央部にかかって起こる骨折のことをいう。 骨折の中では、比較的まれなものだが、胸骨の裏には心臓があるため、心臓の損傷や心破裂が起こる場合もある。

1.〇 正しい。ハンドル損傷で発生する
・ハンドル損傷とは、事故の瞬間に体が大きく前にのめりハンドル部分に体を強打して負う怪我である。特にシートベルトを着用していない場合に、胸骨骨折はしばしば発生する。

2.× 胸骨剣結合部骨折では、剣状突起は胸骨体の「前方」ではなく後方に転位する。後方転位によって、縦隔側の心膜・心臓・大血管などを傷つける。
・胸骨剣結合部骨折の受傷機転として、交通事故などでみぞおち付近に強い前後方向の衝撃が加わり、胸骨下端と剣状突起のつなぎ目が後方へ押し込まれて生じる。典型例はハンドルやシートベルトで胸の下部を強打する外傷である。

3.〇 正しい。胸壁動揺があれば重篤である。なぜなら、胸壁動揺は、重症の鈍的胸部外傷を意味し、換気障害や肺挫傷を伴いやすいため。
・胸壁動揺とは、複数の肋骨が骨折することで正常な胸壁運動が障害され、換気が困難になることである。 フレイルチェスト、胸郭動揺ともいう。 重篤な胸部外傷である。

4.〇 正しい。心臓しんとうの合併は、予後不良である。なぜなら、心臓しんとうは、前胸部打撃を契機に致死的不整脈、特に心室細動を起こしうる重篤な病態であるため。
・心臓震盪とは、小児の突然死の原因のひとつで、若年者の胸部(胸の真ん中から左側)に衝撃が加わった直後に、心室細動などの致死的な不整脈に襲われ、心停止となる。

 

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