第34回(R8年)柔道整復師国家試験 解説【午後51~55】

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問題51 麻酔で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.腰椎穿刺後の頭痛は体動で増悪する。
2.悪性高熱症ではアルカローシスを起こす。
3.胃液の誤嚥による肺炎をメンデルソン(Mendelson)症候群という。
4.誤嚥性肺炎はラリンジアルマスクで予防できる。

解答1・3

解説

腰椎穿刺とは?

腰椎穿刺とは、診断・検査のために脳脊髄液を採取するために、脊柱管に針を挿入する医療処置である。腰椎穿刺の主な理由は、脳や脊髄を含む中枢神経系の病気の診断に役立てることである。これらの状態の例には、髄膜炎およびくも膜下出血などがある。

1.〇 正しい。腰椎穿刺後の頭痛は体動で増悪する。なぜなら、腰椎穿刺後の頭痛(ほかにも、嘔気や嘔吐など)は、低髄液症候群によるものであるため。腰椎穿刺によって髄液が10%程度減少した場合、頭痛や嘔気・嘔吐といった低髄液症候群に陥る。脳脊髄液の圧力が体位によって変化するため、横になることで軽減することが多い。

2.× 悪性高熱症では、「アルカローシス」ではなくアシドーシスを起こす。なぜなら、悪性高熱症は、筋収縮に伴う代謝亢進により「ATP消費 → 乳酸産生 → 代謝性アシドーシス」を起こすため(詳しくは下参照)。
・悪性高熱症とは、通常は脱分極性筋弛緩薬と強力な揮発性の吸入全身麻酔薬の併用に対する代謝亢進反応により生じる体温上昇である。全身麻酔薬の使用中に発症し、急激な体温上昇や異常な高熱・頻脈・筋硬直・ミオグロビン尿などを特徴とする。遺伝性があるため、術前に家族歴や既往を聴取することが重要である。治療としては麻酔の中止、ダントロレン投与、全身冷却などを行う。

3.〇 正しい。胃液の誤嚥による肺炎をメンデルソン(Mendelson)症候群という
・メンデルソン症候群とは、手術中に胃の中のものが誤って気管や肺に入ってしまい、強い炎症や呼吸障害を起こす状態である。特に妊婦や空腹でない患者に起こりやすく、肺が胃酸でやけどをしたようなダメージを受けるのが特徴である。

4.× 誤嚥性肺炎はラリンジアルマスクで予防「できない」。なぜなら、密閉が甘く個人差の技量も関係し、誤嚥のリスクは残存するため。
・ラリンジアルマスクとは、気管挿管とフェイスマスクの中間に位置する気道確保のためのマスクである。麻酔時や緊急時に使用され、チューブを口腔から喉頭へ挿入してチューブ先端のカフによって形成されたマスクで喉頭部分を覆い、気管(肺)への換気を行うことができる。

(※写真引用:「確実にできる!ラリンジアルマスク」羊土社様)

 

 

 

 

 

問題52 2010年に施行された改正臓器移植法で誤っているのはどれか。

1.本人の意思がなければ、家族の同意があっても臓器提供は不可となった。
2.15歳未満での法的脳死判定が可能となった。
3.虐待から脳死にいたった小児からの移植は禁止された。
4.親族への優先提供が容認された。

解答

解説

改正臓器移植法とは?

改正臓器移植法とは、本人の書面意思がなくても家族の承諾で脳死下の臓器提供を可能にし、15歳未満の提供や親族への優先提供も認めた、2009年成立・2010年全面施行の法律である。

1.× 本人の意思が「不明」でも、家族の同意がある場合、臓器提供は「可能」となった。たとえば、本人が生前にドナーカード等で意思表示をしていなかったとしても、臓器提供を拒否する意思表示もなく、家族が書面で承諾した場合には、法的には臓器提供が可能である。逆に、本人が「提供しない」と表示していた場合は、年齢にかかわらず臓器摘出は行うことはできない。

2.〇 正しい。15歳未満での法的脳死判定が可能となった
・改正前は、小児が脳死状態に至っても、15歳未満では本人の有効な意思表示ができない扱いで、脳死下臓器提供はできなかった。
・改正後は、家族の書面承諾があれば、小児でも提供が可能となった。

3.〇 正しい。虐待から脳死にいたった小児からの移植は禁止された。なぜなら、事件性(虐待)があった場合、臓器摘出などにより、証拠隠滅を図ることができるため。したがって、虐待が疑われる児童が死亡した場合は摘出しないという、より広いルールになった。

4.〇 正しい。親族への優先提供が容認された。これは、改正臓器移植法の第六条の二(親族への優先提供の意思表示) において、「移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができる」と明記されている(※引用:「臓器の移植に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)。

 

 

 

 

 

問題53 胸骨圧迫心臓マッサージで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.肘はまっすぐに伸ばして圧迫する。
2.気道確保の後に開始する。
3.胸骨圧迫部位は左右の乳頭を結ぶ線の真ん中である。
4.80回/分のテンポで圧迫する。

解答1・3

解説

MEMO

胸骨圧迫心臓マッサージ(胸骨圧迫)は、心肺蘇生法の一部である。胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。

1.〇 正しい。肘はまっすぐに伸ばして圧迫する。なぜなら、肘をまっすぐに伸ばすことで(肘関節伸展位)、体重を真上からかけることができるため。したがって、効率よく力が伝わる。

2.× 気道確保の「後」ではなくに開始する。
【一次救命処置の手順】
①安全確認と感染防御
②意識状態の確認
③協力者を集める
④呼吸の確認
胸骨圧迫式心マッサージ
気道確保・人工呼吸2回
⑦AEDによる除細動

3.〇 正しい。胸骨圧迫部位は、左右の乳頭を結ぶ線の真ん中である
・これは、成人も小児も同じ部位となる。

4.× 「80回/分」ではなく100回/分のテンポで圧迫する。
・これは、成人も小児も同じテンポとなる。ただし小児は、片手で実施することが多い。

 

 

 

 

 

問題54 アルコール多飲者に多い頭蓋内出血はどれか。

1.急性硬膜下血腫
2.急性硬膜外血腫
3.慢性硬膜下血腫
4.外傷性脳内出血

解答

解説

硬膜下血腫とは?

硬膜下血腫は、①急性と②慢性に大きく分類される。
・①急性硬膜下血腫とは、短時間のうちに硬膜と脳の間に血腫が形成された状態のことであり、頭部外傷としては重症に分類される。ほとんどが頭部外傷によるもので、児童虐待の死因として最も多い。
・②慢性硬膜下血腫とは、軽度の外傷により軽微な出血が起こり、経時的に血腫が増大し、やがて症状が現れる。症状として、認知障害、頭痛、尿失禁、歩行障害、片麻痺などである。CT画像から、急性硬膜下血腫に特徴的な①三日月状の高吸収域、②左側脳室体部の圧排変形、③midlineの偏位がみられる。

1.× 急性硬膜下血腫は、通常、頭部外傷後に急性の神経症状をきたす病態である

2.× 急性硬膜外血腫は、典型的には側頭骨骨折に伴う中硬膜動脈損傷で生じる急性外傷性出血であるため。
・急性硬膜外血種とは、高所、階段からの転倒や、交通外傷などによって、強く頭部を打撲することで、脳を覆う硬膜という膜と頭蓋骨との隙間に血液が貯留した状態を指す。

3.〇 正しい。慢性硬膜下血腫は、アルコール多飲者に多い頭蓋内出血である。なぜなら、アルコール多飲者では、脳萎縮が進みやすく、転倒もしやすいため。したがって、軽微な頭部外傷でも橋静脈が引き伸ばされて傷つき、慢性硬膜下血腫になりやすい。

4.× 外傷性脳内出血は、重い頭部外傷に伴う脳挫傷や脳実質内の出血として生じることが多い。交通事故や高所転落のあとに脳挫傷を伴って脳内出血を起こすのが典型である。

 

 

 

 

 

問題55 脳梗塞で正しいのはどれか。

1.20~30%で一過性脳虚血が先行する。
2.アテローム血栓性脳梗塞は心房細動を合併する。
3.心原性脳梗塞は階段状に進行する。
4.ラクナ梗塞は意識障害を伴う。

解答

解説
1.〇 正しい。20~30%で一過性脳虚血が先行する
・一過性脳虚血発作とは、一時的に脳への血流が不十分になった状態である。動脈硬化により引き起こされ、症状は一過性で発作後24時間以内に改善されるものをいう。発作の起こり方は急速である。約1/3が脳血栓症(や脳梗塞)に移行するといわれている。

2.× 「アテローム血栓性脳梗塞」ではなく心原性脳梗塞は、心房細動を合併する。
・アテローム血栓性脳梗塞とは、比較的太い脳の血管で起こる動脈硬化が原因の脳梗塞をいう。血栓溶解薬の投与や外科的処置(血管内膜剥離)によって治療が行われる。
・脳塞栓症(心原性脳塞栓症または心原性脳梗塞)とは、不整脈が原因で心臓内に血栓ができ、これが血流に乗って脳内の血管で詰まった場合をいう。

3.× 「心原性脳梗塞」ではなくアテローム血栓性脳梗塞は、階段状に進行する。なぜなら、アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化性の血栓形成や血行動態が徐々に悪化するため。一方、心原性脳梗塞は、塞栓子が突然血管を閉塞するため、発症時から神経症状が完成している。

4.× ラクナ梗塞は、意識障害を「伴わない」。なぜなら、ラクナ梗塞は、小さな穿通枝の閉塞による深部小梗塞であるため。意識障害は、より大きな梗塞や脳幹・視床の広い病変などが疑われる。
・ラクナ梗塞とは、細い脳動脈穿通枝の小さな梗塞であり、意識障害はみられないことが多い。血栓溶解療法とは、血管内に生じた血栓を薬で分解する治療法である。

 

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