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問題56 18歳の男子。バイクで転倒し左側胸部を強打した。意識は清明。左側胸部に著明な疼痛があり、呼吸困難を訴えている。胸部単純エックス線検査で左第4・5肋骨骨折と左肺完全虚脱がみられた。
まず行うべき治療はどれか。
1.外固定
2.開胸手術
3.気管内挿管
4.胸腔ドレナージ
解答4
解説
・18歳の男子(意識は清明)。
・バイクで転倒:左側胸部を強打。
・左側胸部に著明な疼痛があり、呼吸困難を訴えている。
・胸部単純エックス線検査:左第4・5肋骨骨折と左肺完全虚脱。
→本症例は、外傷性気胸で肺が完全に虚脱し、しかも呼吸困難を伴っている。したがって、胸腔内の空気を速やかに排出して肺を再膨張させる必要がある。
1.× 外固定より優先されるものが他にある。なぜなら、外固定(胸部の強い固定やテーピング)により、呼吸を浅くしてしまい、換気を悪化させるおそれがあるため。
2.× 開胸手術は実施されない。なぜなら、開胸は、主に出血性ショックや大量出血、重篤損傷などで検討されるため。たとえば、胸腔ドレーンから初回に大量出血が出る、あるいは持続的に多量の出血が続く場合には、胸腔内の大きな血管損傷や肺損傷を疑って開胸手術が検討される。
3.× 気管内挿管は、気道保護が必要なとき、著しい低酸素血症や呼吸不全があるとき、意識障害があるときなどに検討される。
4.〇 正しい。胸腔ドレナージは、まず行うべき治療である。なぜなら、本症例は、外傷性気胸が疑われ、肺が完全に虚脱し、しかも呼吸困難を伴っているため。したがって、胸腔内の空気を速やかに排出して肺を再膨張させる必要がある。
胸腔ドレナージとは、胸壁を切開し、胸腔にチューブを挿入する医療技術である。主に何らかの疾患によって胸腔内に溜まった余分な空気、体液、膿胸などの分泌液を体外に排出するための処置として行われる。中等度以上の自然気胸では胸腔ドレナージを実施する。
問題57 人工関節形成術で正しいのはどれか。
1.人工材料にセラミックは使用しない。
2.急性期の感染性関節疾患には行わない。
3.手指関節は適応でない。
4.高齢者では行わない。
解答2
解説
人工関節形成術とは、病気やけがで傷んだ関節を金属・樹脂・セラミックなどの人工物に置き換え、痛みを減らし、関節の動きや歩行などの日常機能の回復を目指す手術である。
1.× 人工材料にセラミックを「使用する」。セラミックは、特に股関節の骨頭や摺動部などに使われることがあり、摩耗しにくい・硬い・生体親和性が高いといった利点がある。
2.〇 正しい。急性期の感染性関節疾患には行わない。なぜなら、活動性の関節感染や全身感染がある状態で人工関節を入れると、人工関節感染を起こしやすくなるため。結果的に、成績が著しく悪化する。
3.× 手指関節「も適応である」。関節炎、外傷、痛風、その他の変性疾患で傷んだ手指関節(特にPIP関節やMCP関節)に対し、人工関節置換の対象になりえる。
4.× 高齢者「も適応である」。むしろ、高齢者によく行われる治療である。実際、変形性関節症は高齢者に多く、人工膝関節・人工股関節は高齢患者で非常に一般的な治療である。
変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。
問題58 慢性骨髄炎で正しいのはどれか。
1.骨打ち抜き像がみられる。
2.MRIで炎症の広がりがみられる。
3.瘻孔がある場合、血液検査で炎症反応が高値を示す。
4.抗菌薬投与で速やかに治癒する。
解答2
解説
慢性骨髄炎とは、細菌などが骨や骨髄に感染し、長期間にわたり炎症を繰り返す病気である。痛みや腫れ、膿が出る瘻孔を伴うことがあり、死骨ができると治りにくい。抗菌薬だけで治らず、手術が必要となることもある。
1.× 骨打ち抜き像がみられるのは、「多発性骨髄腫」である。
・多発性骨髄腫とは、形質細胞がクローン性に増殖するリンパ系腫瘍である。増殖した形質細胞やそこから分泌される単クローン性免疫グロブリンが骨病変、腎機能障害、M蛋白血症などさまざまな病態や症状を引き起こす。多発性骨髄腫の発症年齢は65~70歳がピークで男性が女性より多く約60%を占める。腫瘍の増大、感染症の合併、腎不全、出血、急性白血病化などで死に至る。主な症状として、頭痛、眼症状の他に①骨組織融解による症状(腰痛・背部痛・圧迫骨折・病的骨折・脊髄圧迫症状・高カルシウム血症など)や②造血抑制、M蛋白増加による症状(貧血・息切れ・動悸・腎機能障害)、易感染性(免疫グロブリン減少)、発熱(白血球減少)、出血傾向(血小板減少)などである。
・打ち抜き像とは、多発性骨髄腫の骨病変で、X線検査で骨の一部が黒く抜けて見える像を指す。骨の中に多数の円形の透過性病変が見られる。
2.〇 正しい。MRIで炎症の広がりがみられる。なぜなら、MRIは慢性骨髄炎で骨髄内病変だけでなく、膿瘍・瘻孔・周囲軟部組織を含めた炎症の範囲を詳しく評価できるため。
3.× 瘻孔がある場合、血液検査で炎症反応が高値を示す「わけではない(正常または軽度上昇を示す)」。なぜなら、瘻孔がある慢性骨髄炎では、膿が外へ排出されて感染が局所にとどまりやすく、全身へ強い炎症反応が出にくいため。さらに、慢性経過では炎症が低活動性となり、CRPや白血球数が高値にならないことがある。
・瘻孔とは、炎症などによって皮膚や粘膜と臓器をつなぐ、または臓器と別の臓器をつなぐ異常な管状の穴のことである(※読み:ろうこう)。
4.× 「抗菌薬投与」ではなく外科的治療で速やかに治癒する。なぜなら、慢性骨髄炎では腐骨が感染の温床になりやすいため。また、抗菌薬を投与しても、感染した骨の一部が死骨となって血流が乏しくなるため、抗菌薬が病巣まで十分届きにくい。
問題59 転移性骨腫瘍で正しいのはどれか。
1.原発巣の症状が先行する。
2.疼痛の寛解・増悪を繰り返す。
3.長管骨の骨幹端部に好発する。
4.溶骨性病変が多い。
解答4
解説
骨転移とは、転移性骨腫瘍ともいい、がん細胞が血液の流れで運ばれて骨に移動し、そこで増殖している状態のことをいう。骨転移は、どんながんでもおきる可能性がある。乳がん、前立腺がん、肺がんなどが、骨に転移しやすい。骨転移には、3種類(①溶骨型、②造骨型、③混合型)あげられ、①溶骨型骨転移がおきると、骨が弱くなり、痛みがでたり、ちょっとしたことで骨折してしまうことがある。
1.× 必ずしも、原発巣の症状が先行する「わけではない」。なぜなら、転移性骨腫瘍では、原発巣が無症状のまま、骨病変による疼痛や病的骨折が最初の症状になることがあるため。
2.× 疼痛の寛解・増悪を繰り返すのは、「多発性硬化症(※下参照)」である。ちなみに、転移性骨腫瘍の疼痛は、典型的には夜間痛を伴う持続性・進行性の痛みである。
3.× 「長管骨の骨幹端部」ではなく赤色骨髄の多い部位(椎体・骨盤・肋骨)に好発する。なぜなら、転移性腫瘍は血行性転移が主体であるため。腫瘍細胞は、血流豊富な赤色骨髄領域(成人では脊椎・骨盤・肋骨・大腿骨近位部など)に着床しやすい。むしろ、骨幹端部(関節に近い部位)は血流が少なく、転移は稀である。
4.〇 正しい。溶骨性病変が多い。なぜなら、がん細胞が破骨細胞を活性化して骨を壊す働きを強めるため。脊椎圧迫骨折・肋骨骨折が典型となる。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
問題60 骨粗鬆症で誤っているのはどれか。
1.橈骨骨幹部骨折は骨脆弱性骨折である。
2.治療薬としてビタミンKがある。
3.骨萎縮度は腰椎エックス線側面像で判定する。
4.治療上重要なのは生活指導である。
解答1
解説
骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。
1.× 「橈骨骨幹部骨折」ではなく橈骨遠位端骨折は、骨脆弱性骨折である。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。
2.〇 正しい。治療薬としてビタミンKがある。日本の骨粗鬆症ガイドラインでは、メナテトレノン(ビタミンK)が、骨粗鬆症治療薬の一つである。腰椎骨密度の上昇や椎体骨折の抑制に期待できる。
3.〇 正しい。骨萎縮度は、腰椎エックス線側面像で判定する。
・腰椎エックス線側面像とは、腰の骨を横から写したレントゲン画像であり、骨粗鬆症で起こる椎体の圧迫骨折や変形を調べるものである。楔状椎、魚椎、扁平椎などの所見が重要である。
4.〇 正しい。治療上重要なのは生活指導である。なぜなら、骨粗鬆症では、薬物療法に加えて、生活指導(運動、栄養、禁煙、節酒、転倒予防など)が骨折予防に直結するため。
国試オタク 