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31.末梢神経における活動電位の興奮伝導に主要な役割を果たすイオンはどれか。
1.カリウムイオン
2.カルシウムイオン
3.ナトリウムイオン
4.マグネシウムイオン
解答3
解説
Na+:活動電位発生時の急速な脱分極。
Ca2+:脱分極の維持(プラトー)に関わる。
K+:再分極の際に関わる。
1.× カリウムイオンは、活動電位の再分極に関与する。ナトリウムイオンの流入後、電位依存性カリウムチャネルが開いてカリウムイオンが細胞外へ流出し、膜電位が元の静止電位に戻る。
2.× カルシウムイオンは、脱分極の維持(プラトー)に関わる。活動電位が神経終末に到達すると、カルシウムチャネルが開き、カルシウムイオンが流入して神経伝達物質の放出を引き起こす。ただし、活動電位の伝導そのものには直接関与しない。
3.〇 正しい。ナトリウムイオンは、末梢神経における活動電位の興奮伝導に主要な役割を果たすイオンである。末梢神経では、膜電位が閾値に達すると電位依存性ナトリウムチャネルが開き、ナトリウムイオンが細胞内へ流入し、膜電位が急速に正に向かう。
4.× マグネシウムイオンは、カルシウムチャネルの調節や酵素活性の調整に関与する。
32.血液量をモニターしているのは主にどの受容器か。
1.頸動脈洞圧受容器
2.大動脈弓圧受容器
3.大動脈小体化学受容器
4.心肺部圧受容器
解答4
解説
1.× 頸動脈洞圧受容器は、主に動脈圧を感知する。頚動脈洞圧受容器は、頚動脈洞反射(ツェルマーク・ヘーリング反射)に関与する。例えば、頸動脈洞マッサージであり、迷走神経が刺激され失神する。機序として、頚動脈洞圧迫→迷走神経が過剰な反射を起こす。徐脈となり、血圧が低下し、脳幹へ行く血液が少なくなり脳幹での酸素量減少で失神状態に陥ることもある。
2.× 大動脈弓圧受容器は、主に動脈圧を感知する。大動脈弓の壁に存在し、頸動脈洞圧受容器と同様に血圧の変化に反応する。
3.× 大動脈小体化学受容器は、主に血液中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、pHをモニターする。大動脈弓付近に存在し、呼吸調節に関与する。
4.〇 正しい。心肺部圧受容器は、血液量をモニターしている。心肺部圧受容器は、右心房や大静脈などに存在し、循環血液量や静脈還流量の増加を感知する。圧受容器の活動が亢進すると、バゾプレシンの分泌が抑制される。したがって、水の再吸収が減少し、尿量が増加する。
33.肺循環について正しい記述はどれか。
1.大循環とも呼ばれる。
2.体循環の動脈圧より低い。
3.肺動脈は動脈血を運ぶ。
4.肺静脈は右心房に血液を運ぶ。
解答2
解説
心不全は心臓のポンプ機能低下のため末梢組織の酸素需要に見合った血液量を供給できない状態である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全、体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。
心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの(呼吸困難、起座呼吸、尿量減少など)
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの(頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など)
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。
1.× 「大循環」ではなく小循環とも呼ばれる。大循環(体循環)と小循環(肺循環)は、心臓のポンプ機能によって血液を全身に循環させる血液循環の2つの系統である。大循環とは、左心室から全身へ血液を送り、右心房に戻る経路を指す。
2.〇 正しい。体循環(大循環)の動脈圧より低い。なぜなら、体循環(大循環)では、全身の組織や臓器に酸素や栄養を供給することを目的に、安定して高い動脈圧が必要であるため。
3.× 肺動脈(小循環)は、「動脈血」ではなく静脈血を運ぶ。肺動脈とは、 心臓から肺に血液を送るための血管である。肺動脈は、脱酸素化された血液を運ぶ唯一の動脈である。一方、肺静脈は、酸素化された血液を運ぶ唯一の静脈である。
4.× 肺静脈は、「右心房」ではなく左心房に血液を運ぶ。肺動脈とは、 心臓から肺に血液を送るための血管である。肺動脈は、脱酸素化された血液を運ぶ唯一の動脈である。一方、肺静脈は、酸素化された血液を運ぶ唯一の静脈である。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)
34.血液の塩酸基平衡の保持に重要なイオンはどれか。
1.カリウムイオン
2.カルシウムイオン
3.マグネシウムイオン
4.重炭酸イオン
解答4
解説
総水分(体液成分)は、①細胞外液、②細胞内液に分けられる。
①細胞外液:間質液と血漿。間質液が細胞外液の7~8割を占める。
②細胞内液:体液のうち細胞内に存在する。
1.× カリウムイオンは、細胞内液の主要な陽イオンであり、主に膜電位の調節に関与する。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。酸塩基平衡への寄与は間接的で、主役ではない。
2.× カルシウムイオンは、骨の構成や筋収縮、血液凝固に重要な役割を果たす。
3.× マグネシウムイオンは、酵素反応の補酵素として重要である。マグネシウムは、生体内で約50~60%がリン酸塩や炭酸塩として骨に沈着し、残りの約40%は筋肉や脳、神経に存在している。細胞が正常に働くために必須の物質である。
4.〇 正しい。重炭酸イオンは、血液の塩酸基平衡の保持に重要なイオンである。重炭酸イオンは、体が酸性に傾いたとき、腎臓によって、血液中に重炭酸イオン(アルカリ性物質)を放出し、アシドーシスを防ぐ働きをする。
電解質異常とは、体内の電解質バランスが崩れることによって引き起こされる病気のことである。電解質とは、体内の液体に存在するイオン(带電粒子)のことで、主なものにナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)などがある。電解質異常は、体液の浸漏や脱水、腎臓や腸の異常、薬剤などによって引き起こされる。症状は異常によって異なる。
35.腸管からの吸収に際して胆汁酸と共にミセルを形成するのはどれか。
1.脂肪酸
2.アミノ酸
3.ブドウ糖
4.電解質
解答1
解説
肝臓で合成されるアルカリ性の物質で、胆嚢で濃縮されたうえ、貯蔵される。
胆汁中には消化酵素は存在しない。しかし、胆汁中に含まれる胆汁酸は乳化作用とミセル形成作用を有するため、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たす。
胆汁はビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質からなり、消化酵素は含まれない。胆汁は消化酵素の働きを助ける作用がある。
1.〇 正しい。脂肪酸は、腸管からの吸収に際して胆汁酸と共にミセルを形成する。胆汁酸は、腸管内で脂質の消化・吸収を助けるために働く。特に、脂質の主成分である中性脂肪(トリグリセリド)は、膵リパーゼの作用で脂肪酸とモノグリセリドに分解される。この脂肪酸やモノグリセリドが、胆汁酸とともにミセルという小さな構造体を形成する。ミセルは、水に溶けやすい形にすることで腸管上皮細胞の吸収を容易する。
2.× アミノ酸とは、広義には、アミノ基とカルボキシ基の両方の官能基を持つ有機化合物の総称である。一方、狭義には、生体のタンパク質の構成ユニットとなる「α-アミノ酸」を指す。
3.× ブドウ糖は、炭水化物が消化されてできる水溶性物質である。直接吸収される。
4.× 電解質とは、体内の液体に存在するイオン(带電粒子)のことで、主なものにナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)などがある。電解質異常は、体液の浸漏や脱水、腎臓や腸の異常、薬剤などによって引き起こされる。症状は異常によって異なる。