第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後101~105】

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問題101 次の文で示す患者の治療方針で最も適切なのはどれか。
「27歳の女性。月経過多に悩む。食欲不振で大便溏薄、臍部に力がなく、四肢が冷える。面色萎黄。」

1.胃熱を除く。
2.腎精を補う。
3.痰湿を除く。
4.脾気を補う。

解答

解説

本症例のポイント

・27歳の女性(月経過多に悩む)。
・食欲不振、大便溏薄(※とうはく:軟便のこと)。
・臍部に力がなく、四肢が冷える。
面色萎黄
→本症例は、脾気虚が疑われる。脾気虚は、食欲不振、腹脹、大便溏薄、倦怠感、息切れ、自汗、面色萎黄などがあげられる。

1.× 胃熱を除く。
胃熱の症状は、胃胱部灼熱痛、呑酸、嘈雑、口臭、便秘、歯肉炎などである。

2.× 腎精を補う。
腎精不足は、倦怠感、発育不全、不妊、陽萎、耳鳴、視力減退、脱毛、腰膝酸軟などである。

3.× 痰湿を除く。
気の病証のひとつである痰湿(津液の停滞)は、湿・水:(身体が重だるい、浮腫、下痢)など、飲:腹鳴、動悸、喘息、浮腫など、痰:眩暈、咳嗽、頭痛、動棒、意識障害、精神障害などの状態をいう。

4.〇 正しい。脾気を補う
なぜなら、本症例は、脾気虚が疑われるため。脾気虚は、食欲不振、腹脹、大便溏薄、倦怠感、息切れ、自汗、面色萎黄などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題102 骨度法で最も短いのはどれか。

1.前髪際中点から後髪際中点
2.胸骨体下端から臍中央
3.腋窩横紋前端から肘窩
4.中指尖から手関節横紋

解答

解説
1.〇 前髪際中点から後髪際中点までは、1尺2寸である。

2.× 胸骨体下端から臍中央までは、8寸である選択肢の中で最も短い。。

3.〇 腋窩横紋前端から肘窩までは、9寸である。

4.〇 中指尖から手関節横紋までは、8寸5分である。

骨度法とは?

骨度法とは、骨を基準にして、身体各所の長さを尺寸によって定める方法である。

骨度法:1尺10寸、1寸10分
【頭顔面部】
前髪際中点~後髪際中点:1尺2寸
眉間~前髮際中点:3寸
両額角際間:9寸
両乳様突起間:9寸

【胸腹部】
頸切痕~胸骨体端:9寸
胸骨体下端~臍中央:8寸
臍中央~恥骨結合上縁:5寸
両乳頭間:8寸

【上肢】
左右の肩甲棘内端縁間:6寸
中指尖~手関節横紋:8寸5分
腋窩横紋前端または後端~肘窩:9寸
肘窩~手関節横紋:1尺2寸

【下肢】
恥骨結合上縁~膝蓋骨上縁:1尺8寸
膝蓋骨尖~内果尖:1尺5寸
脛骨内側顆下縁~内果尖:1尺3寸
脛骨内側顆下縁~膝蓋骨尖:2寸
大転子頂点~膝窩:1尺9寸
殿溝~膝窩:1尺4寸
膝窩~外果尖:1尺6寸
内果尖~足底:3寸
足指尖~踵(足底):1尺2寸

 

 

 

 

 

問題103 正経十二経脈の説明で正しいのはどれか。

1.陽経は臓に属して腑に絡する。
2.手の三陽経は顔面部から手部に流れる。
3.経脈は上焦に起こり足の厥陰経で一巡する。
4.経脈は各々が独立しながらも連絡している。

解答

解説
1.× 臓に属して腑に絡するのは、「陽経」ではなく陰経である。
ちなみに、腑に属して臓に絡するのは、陽経である。

2.× 顔面部から手部に流れるのは、「手の三陽経」ではなく足の三陰経である。
ちなみに、手部から顔面部に流れるのは、手の三陽経である。

3.× 経脈は、「上焦」ではなく中焦に起こり足の厥陰経で一巡する。
中焦】①手の太陰肺経‐【手示指端】→②手の陽明大腸経‐【鼻翼外方】→③足の陽明胃経‐【足第1指内側端】→④足の太陰脾経‐【心中】→⑤手の少陰心経‐【手小指端】→⑥手の太陽小腸経‐【内眼角】→⑦足の太陽膀胱経‐【足第5指端】→⑧足の少陰腎経‐【胸中】→⑨手の厥陰心包経‐【手薬指端】→⑩手の少陽三焦経‐【外眼角】→⑪足の少陽胆経‐【足第1指外側端】→⑫足の厥陰肝経‐【中焦】→①手の太陰肺経

4.〇 正しい。経脈は各々が独立しながらも連絡している
十二経別とは、経脈の流れから分かれて体内深部に走行する支脈のことである。主に肘や膝から分かれ、五臓六腑のいずれかと連絡している。正経十二経脈とは、各々が臓腑と連絡し、独立しながらも連絡しあい人体を循環する1本の環になる。陰経は臓に属して腑に絡し、陽経は腑に属して臓に絡する。

 

 

 

 

 

問題104 経脈間の接続とその部位の組合せで正しいのはどれか。

1.手の陽明経から足の陽明経:内眼角
2.足の太陰経から手の少陰経:側胸部
3.足の少陰経から手の厥陰経:胸中
4.手の太陽経から足の太陽経:外眼角

解答

解説

MEMO

【中焦】①手の太陰肺経‐【手示指端】→②手の陽明大腸経‐【鼻翼外方】→③足の陽明胃経‐【足第1指内側端】→④足の太陰脾経‐【心中】→⑤手の少陰心経‐【手小指端】→⑥手の太陽小腸経‐【内眼角】→⑦足の太陽膀胱経‐【足第5指端】→⑧足の少陰腎経‐【胸中】→⑨手の厥陰心包経‐【手薬指端】→⑩手の少陽三焦経‐【外眼角】→⑪足の少陽胆経‐【足第1指外側端】→⑫足の厥陰肝経‐【中焦】→①手の太陰肺経

1.× 手の陽明経から足の陽明経は、「内眼角」ではなく鼻翼外方である。

2.× 足の太陰経から手の少陰経は、「側胸部」ではなく心中である。

3.〇 正しい。足の少陰経から手の厥陰経:胸中

4.× 手の太陽経から足の太陽経は、「外眼角」ではなく内眼角である。

 

 

 

 

 

問題105 陰維脈の郄穴の部位はどれか。

1.下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方5寸
2.下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸
3.下腿後内側、ヒラメ筋とアキレス腱の間、内果尖の上方5寸
4.下腿内側、脛骨内縁の後方の陥凹部、内果尖の上方2寸

解答

解説

陰・陽のつく奇経八脈の郄穴

陰維脈-築賓【腎】
陰蹻脈-交信【腎】
陽維脈-陽交【胆】
→陽維脈(すべての陽経脈と連絡している):金門
陽蹻脈-跗陽【膀】

1.× 下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方5寸は、蠡溝である。
蠡溝(※読み:れいこう)は、肝経の絡穴である。

2.× 下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸は、復溜である。
復溜(※読み:ふくりゅう)は、腎の経穴である。

3.〇 正しい。下腿後内側、ヒラメ筋とアキレス腱の間、内果尖の上方5寸は、陰維脈の郄穴の部位である。

4.× 下腿内側、脛骨内縁の後方の陥凹部、内果尖の上方2寸は、交信である。
交信(※読み:こうしん)は、陰蹻脈の郄穴である。

 

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