第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 経脈病証で「顔がすすけて黒く、腰が痛く、陰囊が腫れて痛み、小便が出ない。」のはどれか。

1.足の厥陰経脈病証
2.足の少陰経脈病証
3.足の少陽経脈病証
4.足の太陽経脈病証

解答

解説

本症例のポイント

・顔がすすけて黒く、腰が痛い。
陰囊が腫れて痛み、小便が出ない。
→本症例は、足の厥陰経脈病証が疑われる。足の厥陰肝経:腰痛が起こり、仰向けになったりうつ伏せになれなくなる。男性は睾丸が腫れ少腹が拘急疼痛し、婦人は少腹が腫れる。のどが乾き、顔面が垢がたまっている様に黒くなる。嘔吐や粥状の下痢をしたり、鼠径ヘルニア、小便失禁、尿開が起きる。

1.〇 正しい。足の厥陰経脈病証が最も考えられる。
足の厥陰肝経:腰痛が起こり、仰向けになったりうつ伏せになれなくなる。男性は睾丸が腫れ少腹が拘急疼痛し、婦人は少腹が腫れる。のどが乾き、顔面が垢がたまっている様に黒くなる。嘔吐や粥状の下痢をしたり、鼠径ヘルニア、小便失禁、尿開が起きる。

2.× 足の少陰経脈病証
足の少陰腎経:空腹感があるが食べられない。顔面が黒くすすけて艶がない。咳をして唾を吐くと血が混じっている。咳をしてあえぐ。目がボーっとしてハッキリしない、不安感や煩悶感を覚え、よく恐れを抱き、恐れたり、驚いたり、不安を覚えたりする。口の中や喉の渇き上実下虚になり、咽頭が乾いたり痛んだりする。足底全体に熱感を感じて痛む。

3.× 足の少陽経脈病証
足の少陽胆経:口苦が起こり、大きなため息をつく、寝返りが打てない。顔に少し垢が付いたように黒くなる。体の艶が無くなる。足外反しほてる。頭やエラの所が痛む。まなじりが痛む。首に結核性のリンパ節炎ができる。往来寒熱の状態になり、あらゆる関節が痛む。

4.× 足の太陽経脈病証
足の太陽膀胱経:腰が折れる様に痛む。膝裏の辺りが引きつって結ばれたようになる。下腿三頭筋辺りが裂けるような感じがする。痔、マラリアまたはマラリア様の熱病、精神疾患、癇癪、頭頂部から項にかけて痛む。目が黄ばんだり、充血したり、涙が出たり鼻閉が起こり鼻血が出る。項から背部、膝裏まで流れる経脈の流注上が痛む。

 

 

 

 

 

問題97 舌診で気陰両虚の所見はどれか。

1.舌体が腫れて大きい。
2.舌苔が剥落している。
3.舌の色が青紫色である。
4.舌下静脈の怒張がある。

解答

解説
1.× 舌体が腫れて大きい。
これは胖大といい、陽虚、痰湿の停滞でみられる。

2.〇 正しい。舌苔が剥落していることは、舌診で気陰両虚の所見である。
苔質の剥落は、胃気・胃陰の損傷(気陰両虚)である。

3.× 舌の色が青紫色である。
紫(暗)は、血瘀が疑われる所見である。ちなみに、淡暗は気虚血瘀、暗紅は熱証、青紫は寒証、瘀斑・瘀点は血である。

4.× 舌下静脈の怒張がある。
これは血瘀の所見である。血瘀は、疼痛(固定痛・刺痛、夜間に増悪)、腫脹、腫塊、肌膚甲錯。瘀斑、月経痛・血塊、皮下出血斑、色素沈着、紫舌・暗紅舌がみられる。

 

 

 

 

 

問題98 六部定位脈診で左手尺中の沈の部が虚している場合、難経六十九難に基づく治療穴の部位はどれか。

1.足の第1指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分
2.足内側、第1中足指節関節内側の近位陥凹部、赤白肉際
3.膝後内側、半腱様筋腱の外縁、膝窩横紋上
4.下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸

解答

解説

本症例のポイント

・六部定位脈診で左手尺中の沈の部が虚している場合。
・左手尺中の沈の部:
→虚している場合:つまり、腎虚証に該当する。したがって、腎の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は復溜・経渠となる。

~六部定位脈診~
【部位】
①左:浮・沈
寸:小腸・心
関:胆・肝
尺:膀胱・腎

②右:浮・沈
寸:大腸・肺
関:胃・脾
尺:三焦・心包

[/memo]

1.× 足の第1指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分は、大敦(※読み:だいとん)である。

2.× 足内側、第1中足指節関節内側の近位陥凹部、赤白肉際は、太白(※読み:たいはく)である。

3.× 膝後内側、半腱様筋腱の外縁、膝窩横紋上は、陰谷(※読み:いんこく)である。

4.〇 正しい。下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸は、六部定位脈診で左手尺中の沈の部が虚している場合、難経六十九難に基づく治療穴の部位である。
腎の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は復溜・経渠となる。ちなみに、復溜(※読み:ふくりゅう)は、下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸に位置する。また、経渠(※読み:けいきょ)は、前腕前外側、橈骨下端の橈側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸に位置する。

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

 

 

 

 

問題99 大腸の病変に用いる下合穴はどれか。

1.陽陵泉
2.足三里
3.上巨虚
4.委陽

解答

解説

MEMO

下合穴は、胆:陽陵泉【胆】、小腸:下巨虚【胃】、胃:足三里【胃】、大腸:上巨虚【胃】、膀胱:委中【膀】、三焦:委陽【膀】があげられる。

1.× 陽陵泉は、の病変に用いる下合穴である。
陽陵泉(※読み:ようりょうせん)は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部にあるに位置する。

2.× 足三里は、の病変に用いる下合穴である。
足三里は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。前脛骨筋の治療穴である。

3.〇 正しい。上巨虚は、大腸の病変に用いる下合穴である。
上巨虚(※読み:じょうこきょ)は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方6寸に位置する。

4.× 委陽は、三焦の病変に用いる下合穴である。
委陽(※読み:いよう)は、膝後外側、大腿二頭筋腱の内緑、膝窩横紋上に位置する。深部に総骨神経が通る。

 

 

 

 

 

問題100 心火亢盛証でみられないのはどれか。

1.口渇
2.不眠
3.舌尖紅
4.結脈

解答

解説
1~3.〇 口渇/不眠/舌尖紅
心火亢進(心火亢盛)は、心悸、心煩、不眠、顏面紅潮、口渇、暑がり、舌尖紅、脈数などがあげられる。

4.× 結脈は、心火亢盛証でみられない。
結脈とは、脈が一拍欠落する不整脈のことである。決まった法則性はなく、ゆるやかな脈で、時々止まる。主に陰寒や積滞内阻による。

 

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