第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後91~95】

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問題91 「関節がだるく痛み、頭が重くなる。」の症状を引き起こす病邪の特徴はどれか。

1.粘滞性
2.昇散性
3.開泄性
4.収引性

解答

解説

六淫とは?

風邪:陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。
寒邪:陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。
暑邪(熱邪):陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。
湿邪:陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。
燥邪:陽性の邪気で乾燥性があり、肺を損傷しやすい。秋に現れることが多い。
火邪(熱邪):陽性の邪気で炎上性があり、気・津液を損傷する。また、生風、動血という特徴も持つ。

1.〇 正しい。粘滞性は、「関節がだるく痛み、頭が重くなる。」の症状を引き起こす病邪の特徴である。
粘滞性は、湿邪の特徴である。湿邪は、陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。

2.× 昇散性
昇散性は、暑邪(熱邪)の特徴である。暑邪(熱邪)は、陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。

3.× 開泄性
開泄性は、風邪の特徴である。風邪は、陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。

4.× 収引性
収引性は、寒邪の特徴である。寒邪は、陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。

 

 

 

 

 

問題92 臓腑と生理作用の組合せで正しいのはどれか。

1.小腸:受納
2.胃:降濁
3.大腸:化物
4.胆:腐熟

解答

解説
1.× 受納は、「小腸」ではなくである。
小腸の生理として、①受盛化物(胃から下降してきたものを受け入れる)、②泌別清濁(人体に必要なものとそうでないものに分別する)。

2.〇 正しい。胃:降濁
胃の生理として、①受納(口から入った飲食物を受け入れる)、②腐熟(飲食物の初歩的な消化を行う)、③和降(消化した飲食物を小腸に下降させる)、④降濁(胃は濁なるものを腸へ送ること)などである。

3.× 化物は、「大腸」ではなく小腸である。
大腸の生理として、伝導糟粕(小腸で分別した不要なものの中の固形のものを大便として排泄する)などである。

4.× 腐熟は、「胆」ではなくである。
胆の生理として、疏泄精汁(小腸に胆汁を分泌して消化を助ける)などである。

 

 

 

 

 

問題93 胆経の病でみられるのはどれか。

1.嘆息
2.喘息
3.噴嚔
4.吃逆

解答

解説
1.〇 正しい。嘆息は、胆経の病でみられる。
足の少陽胆経:口苦が起こり、大きなため息をつく、寝返りが打てない。顔に少し垢が付いたように黒くなる。体の艶が無くなる。足外反しほてる。頭やエラの所が痛む。まなじりが痛む。首に結核性のリンパ節炎ができる。往来寒熱の状態になり、あらゆる関節が痛む。

2.× 喘息は、肺経の病でみられる。
手の太陰肺経:あえぎ、、喉の痛み上腕、前腕の経所の流れる所が痛んだり、感覚異常が起きる。手の平が熱くなる。肩背が痛み、風寒の邪が襲ってくると汗が出る。小便が少しずつ出で回数が多い、もしくは小便がしばしば出てあくびをする。肩背が冷えて痛み、酸素不足の様な感じがする。尿の色が変わる。

3.噴嚔は、風寒邪による外感病などが疑われる。
噴嚏は、くしゃみのことで、嚏ともいう。

4.吃逆は、肺・胃・肝などさまざまでみられる。
気逆証は、頭痛、眩暈、易怒、咳嗽、喘息、悪心・嘔吐、噯気、吃逆などをいう。肺気上逆・胃気上逆・肝気上逆などである。

 

 

 

 

 

問題94 気血を化生する臓はどれか。

1.肝
2.心
3.脾
4.腎

解答

解説

MEMO

気血生成の源とは、水穀の精微(後天の精)ともいい、気や血となって全身を巡る作用のことをさす。脾胃(中焦)の働きにより、飲食物(水穀)より得られる精である。

1.× 肝
肝の生理は、①疏泄(情志・気機・月経の調節、脾胃の補助、②蔵血(血の貯蔵、血液量の貯節)である。また、特性は、①昇発(上昇·発散)②条達(隅々まで行き渡らせる)である。

2.× 心
心の生理として、①主血(血(脈)を主る(血を送り出す))、②神志(生命活動を維持し、精神活動を主宰する)があげられる。

3.〇 正しい。は、気血を化生する臓である。
脾の生理として、①運化(飲食物を水穀の精微に変化させ、心・肺に運ぶ)、②統血(血が脈中から漏れ出るのを防ぐ(気の固摂作用))などがあげられ、脾は気血生成の源、生痰の源といわれる。

4.× 腎
腎の生理として、①蔵精(精を貯蔵し、生命活動を調節する)、②主水(水を主り、水液代謝を調節する)、③納気(吸気を補助し、呼吸のバランスを保つ)があげられる。

 

 

 

 

 

問題95 次の文で示す患者の病証で最もみられる脈状はどれか。
「45歳の女性。主訴は膝痛。10日前に転倒して膝を打撲した。現在も膝内側が腫れて痛み、夜間も痛む。」

1.滑脈
2.洪脈
3.濡脈
4.濇脈

解答

解説

本症例のポイント

・45歳の女性(主訴:膝痛
・10日前:転倒して膝を打撲。
・現在:膝内側が腫れて痛み、夜間も痛む。
→本症例は、血瘀が疑われる。血の病証である血瘀は、疼痛(固定痛・刺痛、夜間に増悪)、腫脹、腫塊、肌膚甲錯。瘀斑、月経痛・血塊、皮下出血斑、色素沈着、紫舌・暗紅舌があげられる。

1.× 滑脈
滑脈は、痰湿、食滞で起こる。滑脈は、脈の流れが滑らかで、円滑に指に触れるものを指す。

2.× 洪脈
洪脈は、陽明病で起こる。陽明病は、裏実熱証で、発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈などが起こる。洪脈とは、脈管が太く、有力であふれるように感知される場合を指す。

3.× 濡脈
濡脈は、湿証、虚証で起こり、浮位で触れ、脈幅が小さく軟らかい、少し按じると絶えそうなものを指す。

4.〇 正しい。濇脈は、患者の病証で最もみられる脈状である。
濇脈は、渋脈ともいい、血瘀で起こる。脈の流れが悪く、ざらざらとして渋滞したようなものを指す。

 

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