第28回(R2年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後151~155】

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きゅう理論試験問題(問題151~160)

問題151 良質艾の精製工程で最も時間をかけて不純物を取り除くのはどれか。

1.裁断機
2.石臼
3.けんどん(長唐箕)
4.唐箕

解答

解説

艾の製造

①ヨモギを採集(5~8月頃)→②葉を乾燥→③石臼でひく→④篩(長唐箕(けんどん))にかける→⑤唐箕で不純物を除去する。
※ヨモギ:キク科の多年生植物。生産量は新湯県が最も多い。

1.× 裁断機
裁断機は、乾燥ヨモギの葉をきざみ、細かく粉砕するために用いる。

2.× 石臼
石臼は、葉柄、葉脈、葉肉を粉砕し、葉から毛茸・綿毛を剥離するのに用いられる。

3.× けんどん(長唐箕)
けんどんは、篩(ふるい)ともいい、円筒形で葉枝・葉脈などを落とすのに用いられる。

4.〇 正しい。唐箕は、良質艾の精製工程で最も時間をかけて不純物を取り除く。
唐箕は、風力で比重差による夾雑物の除去を行うために用いる。長時間かけると毛茸の表面付着物が除去されて、より純粋な毛茸となる。

 

 

 

 

 

問題152 透熱灸を避けるべき経穴はどれか。

1.神堂
2.顴髎
3.風市
4.臑会

解答

解説

透熱灸とは?

有痕灸である透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。※糸状灸も含まれる。

1.× 神堂(※読み:しんどう)
神堂は、上背部、第5胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に位置する。

2.〇 正しい。顴髎(※読み:けんりょう)は、透熱灸を避けるべき経穴である。
なぜなら、顴髎は、顔面部にあるため。ちなみに、顴髎は、顔面部、外眼角の直下、頬骨下方の陥凹部に位置する。下関(胃経)の前方にあたる。

3.× 風市(※読み:ふうし)
風市は、大腿部外側、直立して腕を下垂し、手掌を大腿部に付けたとき、中指の先端があたる腸脛靭帯後方陥凹部に位置する。

4.× 臑会(※読み:じゅえ)
臑会は、上腕後面、三角筋の後下縁、肩峰角の下方3寸に位置する。三角筋や上腕三頭筋の治療穴である。

鍼灸の禁忌部位

鍼:新生児の大泉門、外生殖器、臍部、眼球、急性炎症の患部など。
※肺、胸膜、心、腎、中枢神経系、大血管などへの刺鰄は注意が必要

灸:顔面、化膿を起こしやすい部位、浅層に大血管がある部位、皮膚病患部などへの直接灸など。

 

 

 

 

 

問題153 灸あたりについて誤っているのはどれか。

1.瞑眩の一種である。
2.水疱の破壊により起こる。
3.めまいは症状の一つである。
4.灸療法を再開したときは総刺激量を少なくする。

解答

解説

灸あたり(瞑眩)

症状:施灸直後または翌日から数時間~数十時間、全身倦怠感、脱力感、頭重、めまい、悪寒、発熱、嘔気などをみるが、その後、愁訴は急速に軽減・消失する。
原因:総刺激量の過剰などが要因と考えられている。
処置:安静臥床、予防では刺激量の調節や精神的安定を図る。

1.〇 正しい。瞑眩の一種である。
瞑眩(めんげん)とは、東洋医学において、治療後に一時的に起こる症状の悪化や倦怠感のことをいう。漢方医学では、病気が治っていく過程で起こる不快な症状のことを「好転反応」と呼ぶことがあるが、これを「瞑眩」と呼ぶ。

2.× 水疱の破壊により起こるわけではない
水疱とは、水ぶくれともいい、表皮と真皮の境界部に滲出液が貯留した状態で、びらんになる前の状態である。死んだ皮膚でできた非常に薄い膜の下に液体がたまってできる膨らみである。

3.〇 正しい。めまいは症状の一つである。
灸あたり(瞑眩)は、施灸直後または翌日から数時間~数十時間、全身倦怠感、脱力感、頭重、めまい、悪寒、発熱、嘔気などの症状を指す。

4.〇 正しい。灸療法を再開したときは総刺激量を少なくする。
なぜなら、原因として、総刺激量の過剰などが要因と考えられているため。処置は、安静臥床、予防では刺激量の調節や精神的安定を図る。

 

 

 

 

 

問題154 糖尿病患者に対する灸施術で灸痕化膿のリスクが最も低いのはどれか。

1.艾条灸
2.焦灼灸
3.透熱灸
4.打膿灸

解答

解説
1.× 艾条灸は、糖尿病患者に対する灸施術で灸痕化膿のリスクが最も低い。
なぜなら、皮膚と直接接触しないため。艾条灸は、温灸のひとつである。温灸は、艾を皮膚から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える方法で、棒灸、温灸器、温筒灸、艾条灸などがある。

2.〇 焦灼灸
有痕灸である焦灼灸は、イボ、ウオノメ、タコなどに用いる灸法。施灸部の皮膚、組織を破壊する。タール成分(カテコール)の作用がある。

3.〇 透熱灸
有痕灸である透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。※糸状灸も含まれる。

4.〇 打膿灸
有痕灸である打膿灸(弘法の灸)は、小指~母指頭大程度の艾炷を直接施灸して火傷を作り、膏薬を貼付して化膿を促す灸法である。小児や虚弱者には不適である。

 

 

 

 

 

問題155 灸による温熱刺激の受容・伝導について誤っているのはどれか。

1.熱刺激で開くイオンチャネルが存在する。
2.Ⅳ群線維によって伝導される。
3.脊髄後角の侵害受容ニューロンへ伝達する。
4.熱痛情報は脊髄後側索を上行する。

解答

解説
1.〇 正しい。熱刺激で開くイオンチャネルが存在する。
温熱刺激を感じるイオンチャネルは、TRPチャネル(Thermosensitive Transient Receptor Potential channel)と呼ばれている。TRPチャネルは、熱い・冷たいといった温度を感じる他、メントールで清涼感を感じるメカニズムや、化粧品が肌に合わない時のピリピリする感覚などに深く関わっている。

2.〇 正しい。Ⅳ群線維によって伝導される。
Ⅳ群線維は、C線維で温冷・痛覚の求心路である。

3.〇 正しい。脊髄後角の侵害受容ニューロンへ伝達する。
温冷、痛覚は、侵害受容線維とよばれる神経線維(自由終末)が感知する。侵害受容器に侵害刺激が加わると、活動電位を発生し侵害受容線維を伝導する。

4.× 熱痛情報は「脊髄後側索」ではなく外側脊髄視床路を上行する。
外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。

 

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