第29回(R3年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後146~150】

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問題146 五臓の特徴的な症状と治療穴の組合せで正しいのはどれか。

1.五更泄瀉:太衝
2.梅核気:太淵
3.陽萎:大陵
4.多夢:神門

解答

解説
1.× 五更泄瀉:太衝(※読み:たいしょう)
五更泄瀉は、脾腎陽虚にみられ、夜明け前:午前3~5時の下痢、鷄鳴下痢のものをいう。太衝は、に該当する。ちなみに、太衝は、足背、第1~2指中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部に位置する。

2.× 梅核気:太淵(※読み:たいえん)
肝鬱気滞は、精神抑鬱、急躁、易怒、胸肋部痛、脈弦、梅核気などである。太淵は、肺に該当する。ちなみに、太淵は、手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部に位置する。

3.× 陽萎:大陵(※読み:だいりょう)
の主な症状として、耳鳴、難聴、健忘、腰膝酸軟、尿閉、遺尿、浮腫、不妊、閉経、陽萎などがあげられる。大陵は、心包に該当する。ちなみに、大陵は、手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋上に位置する。

4.〇 正しい。多夢:神門(※読み:しんもん)
多夢は、心陰虚、肝血虚にみられる。神門は、に該当する。ちなみに、神門は、手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上に位置する。

 

 

 

 

 

問題147 次の文で示す患者の病証で最も適切なのはどれか。
 「51歳の男性。2日前に強い寒冷環境で長時間の作業をした後、肩に固定性の痛みとこわばりが生じた。舌は淡、脈は緊を認める。」

1.行痹
2.痛痹
3.着痹
4.熱痹

解答

解説

本症例のポイント

・51歳の男性。
・2日前:強い寒冷環境で長時間の作業をした後、肩に固定性の痛みこわばり
・舌:淡、脈:緊。
→本症例は、痛痺の病証が考えられる。痛痺とは、寒邪による痛みである。温めると症状は改善しやすい。

【しびれの種類】
神経痛などの痛みを「痺証(ひしょう)」と呼ぶ。
①着痺(※読み:ちゃくひ):湿邪による痛み。重だるい。
②熱痺(※読み:ねっぴ):熱邪による痛み。熱感や腫れ。
③痛痺(※読み:つうひ):寒邪による痛み。温めると症状は改善しやすい。
④行痹(※読み:こうひ):風邪による痛み。遊走性の痛み。
⑤尪痹(※読み:おうひ):加齢による痛み。関節の変形や体質慢性化がある。

1.× 行痹(※読み:こうひ)
行痹とは、風邪による痛み。遊走性の痛み。

2.〇 正しい。痛痹(※読み:つうひ)は、この患者の病証である。
本症例は、痛痺の病証が考えられる。痛痺とは、寒邪による痛みである。温めると症状は改善しやすい。

3.× 着痹(※読み:ちゃくひ)
着痺とは、湿邪による痛み。重だるい。

4.× 熱痹(※読み:ねっぴ)
熱痺とは熱邪による痛み。熱感や腫れ。

 

 

 

 

 

問題148 次の文で示す病証に対する配穴の組合せで最も適切なのはどれか。
 「50歳の女性。3週間前に旅行で歩き過ぎて右殿部から大腿外側部のつっぱり感と痛みを自覚した。足先のしびれ、こむら返り、目の疲れも気になる。舌は淡白、脈は細を認める。」

1.肝兪:足臨泣
2.腎兪:束骨
3.脾兪:陥谷
4.膀胱兪:然谷

解答

解説

本症例のポイント

・50歳の女性。
・3週間前:旅行で歩き過ぎて右殿部から大腿外側部のつっぱり感と痛み。
足先のしびれこむら返り目の疲れ
・舌:淡白、脈:細。
→本症例は、肝の血虚症状がみられる。肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などである。また、しびれの走行が足の少陽胆経に基づく。したがって、肝と胆が該当する。

1.〇 正しい。肝兪(※読み:かんゆ):足臨泣(※読み:あしりんきゅう)
五要穴の兪穴のである肝兪は、上背部、第9胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
五兪穴の兪穴のである足臨泣は、足背、第4~5中足骨底接合部の遠位、第5指の長指伸筋腱外側の陥凹部に位置する。

2.× 腎兪(※読み:じんゆ):束骨(※読み:そっこつ)
五要穴の兪穴のである腎兪は、腰部、第2腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
五兪穴の兪穴の膀胱である束骨は、足外側、第5中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。

3.× 脾兪(※読み:ひゆ):陥谷(※読み:かんこく)
五要穴の兪穴のである脾兪は、上背部、第11胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
五兪穴の兪穴のである陥谷は、足背、第2~3中足骨間、第2中足指節関節の近位陥凹部に位置する。

4.× 膀胱兪(※読み:ぼうこうゆ):然谷(※読み:ねんこく)
五要穴の兪穴の膀胱である膀胱兪は、仙骨部、第2後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨棱の外方1寸5分に位置する。
五兪穴の栄穴のである然谷は、足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際に位置する。

 

 

 

 

 

問題149 次の文で示す患者の経脈病証を原絡配穴法で治療する場合、主証で選穴するのはどれか。
 「28歳の男性。2か月前から上歯痛や鼻出血、腹鳴がみられるようになり、昨日から舌根部や心窩部が痛み、食事をすると嘔吐するようになった。」

1.公孫
2.太白
3.衝陽
4.豊隆

解答

解説

本症例のポイント

・28歳の男性。
・2か月前:上歯痛や鼻出血、腹鳴
・昨日:舌根部や心窩部が痛み、食事をすると嘔吐。
→本症例は、の不調(特に、脾胃湿熱)が疑われる。脾臓の主な症状として、食欲不振、腹臓、下痢、浮種、身体の重だるさ、やせ、腹鳴などがあげられる。脾胃湿熱は、上腹部膨満感、食欲不振、嘔吐、口苦、口粘、尿黄、舌質黄膩などがあげられる。したがって、胃の原穴である「衝陽」が選択できる。

原絡配穴法
①胃の原穴「衝陽」:脾の脈穴「公孫」
②胃の脈穴「豊隆」:脾の原穴「太白」

③心の原穴「神門」:小腸の脈穴「支正」
④心の脈穴「通里」:小腸の原穴「腕骨」

1.× 公孫(※読み:こうそん)
五要穴の絡穴の脾である公孫は、足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際に位置する。

2.× 太白(※読み:たいはく)
五要穴の原穴の脾である太白は、足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。

3.〇 正しい。衝陽(※読み:しょうよう)は、この患者の経脈病証を原絡配穴法で治療する場合、主証で選穴する。
五要穴の原穴の胃である衝陽は、足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部に位置する。

4.× 豊隆(※読み:ほうりゅう)
五要穴の絡穴の胃である豊隆は、下腿前外側、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸に位置する。

 

 

 

 

 

問題150 次の文で示す患者の病証に対して十二刺の刺法に基づき治療する場合、刺鍼部位の指標となるのはどれか。
 「足先の強い冷えを感じ、ときには腰まで冷えが上ってくる。下痢をしやすい。」

1.大腿動脈拍動部
2.膝窩動脈拍動部
3.後脛骨動脈拍動部
4.足背動脈拍動部

解答

解説

本症例のポイント

・足先の強い冷え
・ときに腰まで冷えが上ってくる。
・下痢をしやすい。
→本症例は、寒厥が疑われる。寒厥とは、手足や全身が冷えてしまう状態を指し、冷え性を「畏寒」「四肢厥冷」「下肢冷」「腰腹冷」などと表現する。陰刺は、寒厥のとき、左右の太渓穴に同時に刺入する。

1.× 大腿動脈拍動部に関連するのは、気衝や箕門、衝門がある。
気衝(※読み:きしょう)は、鼠経部、恥骨結合上縁と同じ高さ、前正中線の外方2寸、大腿動脈拍動部に位置する。
箕門(※読み:きもん)は、大腿内側、膝蓋骨庭内端と衝門を結ぶ線上、衝門から1/3、縫工筋と長内転筋の間、大腿動脈拍動部に位置する。
衝門(※読み:しょうもん)は、鼠径部、鼠経溝、大腿動脈拍動部の外方に位置する。

2.× 膝窩動脈拍動部に関連する刺鍼部位はない。

3.〇 正しい。後脛骨動脈拍動部は、患者の病証に対して十二刺の刺法に基づき治療する場合、刺鍼部位の指標となる。
本症例は、寒厥が疑われる。寒厥とは、手足や全身が冷えてしまう状態を指し、冷え性を「畏寒」「四肢厥冷」「下肢冷」「腰腹冷」などと表現する。陰刺は、寒厥のとき、左右の太渓穴に同時に刺入する。ちなみに、太渓(※読み:たいけい)は、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部に位置する。

4.× 足背動脈拍動部に関連するのは、衝陽や太衝がある。
衝陽(※読み:しょうよう)は、足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部に位置する。
太衝(※読み:たいしょう)は、足背、第1~2指中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部に位置する。

 

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