第29回(R3年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前31~35】

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問題31 聴覚について正しいのはどれか。

1.高い周波数の声ほど低く聞こえる。
2.耳小骨は音を鼓膜へ伝える。
3.コルチ器官で受容される。
4.聴覚情報は外側膝状体を経由する。

解答

解説

(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)

1.× 高い周波数の声ほど、「低く」ではなく高く聞こえる。
高さとの関係音は、振動数(周波数)が多いほど高くなり、振動数(周波数)が少ないほど低くなる。つまり、同じ時間でたくさん振動する方が高い音ということである。

2.× 逆である。「鼓膜」が耳小骨に音を伝える。
鼓室とは、中耳にある空気が充満した空間で、音を振動として伝達する役割がある。鼓膜からの振動を耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)を通じて内耳の蝸牛管へ伝達させる。

3.〇 正しい。コルチ器官で受容される
蝸牛には無数の蝸牛神経節(らせん神経節)がらせん状に並んでいる。これらはコルチ器(ラセン器)が音を感知して発した信号を集める部分であって、それぞれが内耳神経の蝸牛根と呼ばれる線維束を出している。蝸牛根は内耳道の中で一本にまとまって蝸牛神経となる。

4.× 聴覚情報は、「外側膝状体」ではなく内側膝状体を経由する。
ちなみに、外側膝状体は視覚に関与し、伝導路は視神経→視交叉→外側膝状体→視放線→視覚野である。聴覚の伝導路は、蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回である。

 

 

 

 

 

問題32 抗体について正しいのはどれか。

1.IgAは粘膜表面に分泌される。
2.IgEはT細胞が産生する。
3.IgGは再感染で産生量が低下する。
4.IgMはアルブミンからなる。

解答

解説
1.〇 正しい。IgAは粘膜表面に分泌される
IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。母乳(特に初乳)に多く含まれる。児が自分自身でも生産するため、徐々に濃度が上昇し10歳ごろに成人と同じレベルに達する。

2.× T細胞が産生するのは、「IgE」ではなくサイトカインである。
IgEとは、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、I型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。ちなみに、サイトカインとは、細胞から分泌される低分子のタンパク質で生理活性物質の総称のことで、 生理活性蛋白質とも呼ばれ、細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与える。

3.× IgGは再感染で産生量が「低下」ではなく増加する。
IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。

4.× アルブミンと「IgM」は無関係である。
アルブミンとは、肝臓で作られるたんぱく質で、肝臓や栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。アルブミンが低値の場合は、低栄養状態、がん、 肝硬変など、一方で高値の場合は、脱水により血管内の水分が減少し、濃縮効果によることが考えられる。ちなみに、IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。

MEMO

T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。

 

 

 

 

 

問題33 疾病特有の症状を現し、次第に増悪する時期はどれか。

1.潜伏期
2.前駆期
3.侵襲期
4.極期

解答

解説

MEMO

①潜伏期:発症するまでの期間。
②発病初期(前駆期):症状が出現し始める期間
③進行期(侵襲期):次第に症状が増悪する期間
④最盛期(極期):症状が一番強く出現する期間
⑤消退期:症状が徐々に減少する期間
⑥回復期:症状が回復する期間

1.× 潜伏期
潜伏期とは、発症するまでの期間である。

2.× 前駆期
前駆期とは、発病初期ともいい、症状が出現し始める期間である。

3.〇 正しい。侵襲期は、疾病特有の症状を現し、次第に増悪する時期である。
侵襲期とは、進行期ともいい、次第に症状が増悪する期間である。

4.× 極期
極期とは、最盛期ともいい、症状が一番強く出現する期間である。

 

 

 

 

 

問題34 常染色体劣性(潜性)遺伝病で、両親ともに健常な保因者の場合、患児が出生する確率はどれか。

1.1/2
2.1/4
3.1/8
4.1/16

解答

解説

常染色体劣性遺伝とは?

常染色体劣性遺伝とは、常染色体上の遺伝子の変異が2つある場合に発症する遺伝形式である。男性と女性の両方に現れる。

1.3~4.× 1/2 1/8 1/16
常染色体劣性(潜性)遺伝病で、両親ともに健常な保因者の場合、患児が出生する確率とはいえない。
ちなみに、1/2は、常染色体優性遺伝病が起こる確率である。

2.〇 正しい。1/4は、常染色体劣性(潜性)遺伝病で、両親ともに健常な保因者の場合、患児が出生する確率である。
A’が異常な遺伝子を持つ常染色体
Aが正常な遺伝子を持つ常染色体
親:A’ A ×親:A’ A
A’A’ A’A A’A AAの四通り。
A’A’が発病者となるため、1/4である。

 

 

 

 

 

問題35 出血性梗塞を最も起こしやすい臓器はどれか。

1.腎臓
2.小腸
3.心臓
4.脾臓

解答

解説

出血性梗塞とは?

出血性梗塞とは、脳梗塞が完成されているところに再び血流が流れ出し、血管が破け出血を生じた状態を指す。出血性梗塞の好発部位は、血管の二重支配を受ける臓器で起こりやすいため、例えば、①肺(肺動脈と気管支動脈)、②肝(肝動脈と門脈)、③小腸や大腸などの腸管(多数の腸間膜動脈枝が吻合している)などがその代表である。心原性脳塞栓症の治療に続いて起こり得る。心原性脳塞栓症とは、心臓内でできた血栓が脳の血管を閉塞して起こる脳梗塞である。 脳梗塞の中で 20~25%を占めており、他のタイプの脳梗塞と比較して前触れなく突然発症し、梗塞巣が広範囲で重症になりやすい。血栓ができる原因としては、心房細動が最も頻度が高く心原性脳塞栓症の約 7 割以上を占めており、その他には洞不全症候群、人工弁、発症4週間未満の急性心筋梗塞、心筋症などがある。

1.× 腎臓
腎臓とは、老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排泄することで、体の中の水分量やナトリウムやカリウムといったイオンバランスを適正に保ったり、血液の酸性・アルカリ性を調節したり、体内を常に最適な環境にする機能がある。

2.〇 正しい。小腸は、出血性梗塞を最も起こしやすい臓器である。
出血性梗塞とは、脳梗塞が完成されているところに再び血流が流れ出し、血管が破け出血を生じた状態を指す。出血性梗塞の好発部位は、血管の二重支配を受ける臓器で起こりやすいため、例えば、①肺(肺動脈と気管支動脈)、②肝(肝動脈と門脈)、③小腸や大腸などの腸管(多数の腸間膜動脈枝が吻合している)などがその代表である。心原性脳塞栓症の治療に続いて起こり得る。心原性脳塞栓症とは、心臓内でできた血栓が脳の血管を閉塞して起こる脳梗塞である。 脳梗塞の中で 20~25%を占めており、他のタイプの脳梗塞と比較して前触れなく突然発症し、梗塞巣が広範囲で重症になりやすい。血栓ができる原因としては、心房細動が最も頻度が高く心原性脳塞栓症の約 7 割以上を占めており、その他には洞不全症候群、人工弁、発症4週間未満の急性心筋梗塞、心筋症などがある。

3.× 心臓
心臓とは、収縮と拡張を繰り返して、血液を循環させる働きを持つ器官である。

4.× 脾臓
脾臓とは、左上腹部にあり、①古くなった血球(白血球、赤血球、血小板)の処理や、②感染に対する防御など免疫に関係する働きを担う。

 

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