第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後126~130】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題126 透熱灸を避けるべき経穴はどれか。

1.百会
2.巨髎
3.天柱
4.角孫

解答

解説

透熱灸とは?

透熱灸とは、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する方法である。糸状灸も含まれる。

1.× 百会(※読み:ひゃくえ)
百会は、頭部、前正中線上、前髪際の後方5寸に位置する。

2.〇 正しい。巨髎(※読み:こりょう)は、透熱灸を避けるべき経穴である。
なぜなら、巨髎は顔面部に位置するため。巨髎は、顔面部、瞳孔線上、鼻翼下縁と同じ高さに位置する。

3.× 天柱(※読み:てんちゅう)
天柱は、後頸部、第2頸椎棘突起上縁と同じ高さ、僧帽筋外縁の陥凹部に位置する。

4.× 角孫(※読み:かくそん)
角孫は、頭部、耳尖の当たるところに位置する。

 

 

 

 

 

問題127 緊張型頭痛に対する局所治療について罹患筋と治療穴の組合せで正しいのはどれか。

1.側頭筋:風池
2.僧帽筋:翳風
3.後頭筋:玉枕
4.頭半棘:筋脳空

解答

解説
1.× 風池は、「側頭筋」ではなく胸鎖乳突筋頭板状筋頭半棘筋である。
風池(※読み:ふうち)は、前頸部、後頭骨の下方、胸鎖乳突筋と僧帽筋の起始部の間、陥凹部に位置する。深部に椎骨動脈が通る。ちなみに、側頭筋は、角孫(三焦)である。

2.× 翳風は、「僧帽筋」ではなく顎二腹筋である。
翳風(※読み:えいふう)は、前頸部、耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部に位置する。ちなみに、僧帽筋は、巨骨(大陽)、秉風、曲垣、肩外兪、肩中兪(小陽)、天柱~肝兪、附分~神堂(膀胱)、天髎(三焦)、肩井(胆)である。

3.〇 正しい。後頭筋:玉枕
後頭筋は、浮白、頭竅陰、脳空(胆)、脳戸(督脈)である。玉枕(※読み:ぎょくちん)は、頭部、外後頭隆起上縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸3分に位置する。

4.× 脳空は、「頭半棘筋」ではなく後頭筋である。
脳空(※読み:のうくう)は、頭部、外後頭隆起上縁と同じ高さ、風池の直上※脳戸(督脈)と同じ高さにあたる。ちなみに、頭半棘筋は、天柱(胱)、風池(胆)である。

 

 

 

 

 

問題128 マン・ウェルニッケ肢位にある片麻痺患者に対して、上肢の痙性の改善を目的に相反性Ⅰa抑制を応用した低周波鍼通電療法を行う場合、適切な治療穴の組合せはどれか。

1.消濼:外関
2.曲沢:内関
3.承筋:承山
4.豊隆:足三里

解答

解説

本症例のポイント

・片麻痺患者(マン・ウェルニッケ肢位)
・目的:上肢の痙性の改善
・相反性Ⅰa抑制を応用した低周波鍼通電療法を行う。
→マン・ウェルニッケ姿勢とは、Wernicke-Mann肢位(ウェルニッケマン肢位)ともいい、大脳皮質から大脳脚の間(脳幹より上位)で運動制御系が片側性に障害されたときに、病巣の対側上肢が屈曲位、下肢が伸展位を呈する肢位のことをいう。脳血管障害の後遺症としてしばしば認められる。【上肢】肩関節内旋・内転位、肘関節屈曲位、手関節掌屈位、手指屈曲位、【下肢】股関節伸展・内旋・内転位、膝関節伸展位、足関節内反尖足位となる。

→相反性抑制とは、主働筋が収縮する際に拮抗筋を収縮させない(弛緩させる)命令が出されるというような、互いに拮抗しあう筋の活動を抑制するメカニズムのことである。

つまり、上肢屈曲位の姿勢を相反する刺激により、上肢伸展優位の活動を促す必要がある。

1.〇 正しい。消濼(※読み:しょうれき):外関(※読み:がいかん)
なぜなら、これら治療穴は、上肢伸展筋優位に活動するための筋を対象としているため。
消濼は、上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方5寸である。橈骨神経溝中に取る。
外関は、前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横敏の上方2寸

2.× 曲沢(※読み:きょくたく):内関(※読み:ないかん)
曲沢は、肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱内方の陥凹部に位置する。上腕動脈拍動部で、尺沢(肺経)と少海(心経)とのほぼ中点にあたる。
内関は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸に位置する。

3.× 承筋(※読み:しょうきん):承山(※読み:しょうざん)
承筋は、下腿後面、腓腹筋の両筋腹の間、膝窩横紋の下方5寸に位置する。
承山は、下腿後面、腓腹筋筋腹とアキレス腱の移行部に位置する。

4.× 豊隆(※読み:ほうりゅう):足三里(※読み:あしさんり)
豊隆は、下腿前外側、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸に位置する。
足三里は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。

 

 

 

 

 

問題129 次の文で示す症例の障害神経根の部位で最も適切なのはどれか。
「55歳の男性。頸部の神経根症状により左肩関節外転筋力低下、左上腕二頭筋反射減弱、左上腕外側の知覚鈍麻がみられる。」

1.C3‒C4間
2.C4‒C5間
3.C6‒C7間
4.C7‒Th1間

解答

解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

本症例のポイント

・55歳の男性(頸部の神経根症状)。
・左肩関節外転筋力低下、左上腕二頭筋反射減弱、左上腕外側の知覚鈍麻。

1.× C3‒C4間
C3‒C4間は、上肢の運動は困難である。したがって、移動は下顎による電動車椅子の操作で行う。主な動作筋は胸鎖乳突筋で、頭部の前屈や回転は行える。

2.〇 正しい。C4‒C5間は、この症例の障害神経根の部位である。
C4‒C5間は、左肩関節外転筋力低下、左上腕二頭筋反射減弱、左上腕外側の知覚鈍麻がみられる。

3.× C6‒C7間
C6‒C7間は、上腕三頭筋の筋力低下、上腕三頭筋腱反射の低下、示指~中指の知覚鈍麻がみられる。

4.× C7‒Th1間
C7‒Th1間は、肩・肘関節の運動はほ母性上であり、指の屈曲筋が正常に近くなる。小指の知覚低下がみられることもある。

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

 

 

 

 

 

問題130 次の文で示す症例に対する局所治療穴として最も適切なのはどれか。
 「38歳の女性。家事や子どもの世話が忙しく、最近になって手関節に痛みを感じるようになった。アイヒホッフテスト陽性。」

1.内関
2.合谷
3.列欠
4.陽池

解答

解説

本症例のポイント

・38歳の女性。
・最近:手関節に痛みを感じる。
・アイヒホッフテスト:陽性
→本症例は、ド・ケルバン病が疑われる。ド・ケルバン病(de Quervain病、狭窄性腱鞘炎)は、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。手首に腫れと痛みを伴い、母指を小指側に牽引したときに痛みが増強する。また、親指を握って尺屈すると疼痛が出現するフィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となる。

1.× 内関(※読み:ないかん)
内関は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸に位置する。

2.× 合谷(※読み:ごうこく)
合谷は、手背、第2中手骨中点の橈側に位置する。

3.〇 正しい。列欠(※読み:れっけつ)は、この症例に対する局所治療穴である。
列欠は、前腕橈側、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分に位置する。

4.× 陽池(※読み:ようち)
陽池は、手関節後面、総指伸筋腱の尺側陥凹部、手関節背側横紋上に位置する。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)