第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前41~45】

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問題41 鷲手をきたす罹患神経はどれか。

1.筋皮神経
2.正中神経
3.橈骨神経
4.尺骨神経

解答

解説
1.× 筋皮神経
筋皮神経とは、烏口腕筋を貫き、上腕二頭筋と上腕筋の間を走行し、外側二頭筋溝の遠位端で筋膜を貫いて、前腕橈側の皮膚に分布し、感覚枝である外側前腕皮神経を出す。主に、上腕の屈筋群(上腕二頭筋、烏口腕筋、上腕筋)と前腕外側の感覚を司る。

2.× 正中神経は、猿手となる。
正中神経とは、腕神経叢を出たのち上腕骨に沿って走り、前腕では橈骨と尺骨の間を走り、手根管をくぐりぬけて、主に手の親指側に分布する。支配する感覚の領域は手のひら側の親指から薬指の半分とその下の手のひら、手背側では親指から薬指の半分の指先である。正中神経麻痺で、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。

3.× 橈骨神経は、下垂手となる。
橈骨神経麻痺とは、母指背側の感覚障害と上腕三頭筋・腕橈骨筋・長、短橈側手根伸筋、総指伸筋などの伸筋群の麻痺(下垂手)を認める。

4.〇 正しい。尺骨神経は、鷲手をきたす罹患神経である。
尺骨神経とは、上腕の内側から前腕の内側を通る。小指側の感覚と手指・手首の運動を支配する。尺骨神経麻痺の症状として、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。ちなみに、鷲手とは、尺骨神経麻痺により手内筋が萎縮し、とくに環指と小指の付け根の関節(MP関節、中手指骨関節)が過伸展する一方、指先の関節(DIP関節、遠位指節間関節)と中央の関節(PIP関節、近位指節間関節)が屈曲した状態である。また、Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。

 

 

 

 

 

問題42 血中脂質で基準値を下回ると動脈硬化のリスクが高くなるのはどれか。

1.中性脂肪
2.総コレステロール
3.LDLコレステロール
4.HDLコレステロール

解答

解説
1.× 中性脂肪
中性脂肪とは、食事から摂取した栄養のうち、体内でエネルギーとして使われる脂肪のことである。運動により、エネルギー消費量が増加し、内臓脂肪と皮下脂肪がエネルギー源として利用される。

2.× 総コレステロール
総コレステロールとは、脂質の一種でコレステロール骨格をもつ化合物である。血中脂質とは、血液中に含まれる脂肪分のことで、 LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称となる。

3.× LDLコレステロール
LDLコレステロールとは、悪玉コレステロールとも呼び、全身の末梢血管にコレステロールを運ぶ作用を持つ。肝臓で主に代謝され、140mg/dL以上あると脂質異常症と診断される。ちなみに、脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。

4.〇 正しい。HDLコレステロールは、血中脂質で基準値を下回ると動脈硬化のリスクが高くなる。
HDLコレステロールとは、善玉コレステロールとも呼び、血管や末梢組織に蓄積した余分なコレステロールを肝臓に運び、最終的には便として排出する役割を担っている。したがって、体内にたまったコレステロールを肝臓に運ぶ清掃車のような役割を担う。

 

 

 

 

 

問題43 リンパ節腫脹の原因で誤っているのはどれか。

1.感染症
2.白血病
3.鼠径ヘルニア
4.悪性腫瘍の転移

解答

解説

リンパ節腫脹とは?

リンパ節腫脹とは、1つまたは複数のリンパ節が増大して触知できるようになった状態である。ウィルス、細菌、結核菌、梅毒、トキソプラズマなどによって起こる。体表から触知できるリンパ節は、①頭頸部、②腋窩、③肘関節上部、③腹部、④鼠径部(大腿部)、⑤膝窩部である。リンパ節は皮下に存在するため、皮膚を動かしても皮膚と一緒に動くことはないため、示指から環指の指腹を皮膚に軽く密着させ、皮膚を動かすことにより触診する。

1.〇 感染症
感染症とは、病原体が体に侵入して、症状が出る病気のことをいう。病原体は大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などに分類される。

2.〇 白血病
(急性)白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。

3.× 鼠径ヘルニアは、リンパ節腫脹の原因ではない。
鼠径ヘルニアとは、鼠径部の脆弱化した筋膜・腿膜の裂隙(すき間)から、壁側腹膜に包まれた腹腔内臓器が脱出したものである。主に2種類に大別される。①外鼠径ヘルニア、②内鼠径ヘルニアである。①外鼠径ヘルニアは、内鼠径輪からもともと存在する通路である鼠径管を通って腸管が脱出するものである。乳幼児期男児や成人男性に多い。②内鼠径ヘルニアは、横筋筋膜の脆弱化により、もともと穴が開いていない筋膜を突き破って腸管が脱出するものである。壮年期以降の男性に多い。症状として、鼠径部に膨らみができ、不快感や違和感、痛みが発生する。

4.〇 悪性腫瘍の転移
腫瘍とは、体の中にできた細胞のかたまりのことである。悪性腫瘍とは、このような腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)するもののことをいう。悪性腫瘍の転移によってリンパ節腫脹などの症状が起こり、悪性リンパ腫となる。一方、良性腫瘍とは、浸潤や転移をせず、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと増える腫瘍のことをいう。

 

 

 

 

 

問題44 呼吸器症状について正しいのはどれか。

1.気胸は胸痛の原因となる。
2.喘息による咳は昼間に多い。
3.痰を伴わない咳を湿性咳嗽という。
4.動脈血酸素飽和度が正常であれば呼吸困難は呈さない。

解答

解説
1.〇 正しい。気胸は胸痛の原因となる
自然気胸とは、明らかな原因がなく起こる気胸のことである。一般的な症状として、①突然の胸の痛み、②咳、③呼吸困難などがあげられる。自然気胸は20歳前後に多く、その次には60歳代によく起こる。若年者の特徴は、男性・長身・やせ型である。体質的に肺の表面を覆っている胸膜が弱いため発症すると考えられている。一方で高齢者の場合は、喫煙者で栄養状態の悪い方が多い。高齢の方は肺の状態が元来良くないために、治療に時間がかかったり、治療後に気胸が再発することもある。

2.× 喘息による咳は、「昼間」ではなく夜間・早朝に多い。
なぜなら、夜間は副交感神経が優位になり、気道が狭くなるため。また、早朝は朝の冷え込みやハウスダストなどが舞い上がったりとそれら刺激により起こりやすい。ちなみに、気管支喘息とは、主に気管支に炎症が起きている状態である。炎症により気管支が狭くなったり(狭窄)、刺激に対して過敏な反応を示したりする。喘息は乳幼児期に発症することが多く、全体の60~70%が2~3歳までに発症する。子どもの喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなるが、そのうちの約30%は大人になっても続くといわれている。

3.× 痰を伴わない咳を「湿性咳嗽(※読み:しっせいがいそう)」ではなく乾性咳嗽という。
湿性咳嗽とは、痰を伴う「ゴホゴホ」という湿った咳のことで、気道からの分泌物(痰や鼻汁)の増加を体外に出そうとする生理的な反応で、鼻や喉に炎症が起こっている状態である。

4.× 動脈血酸素飽和度が正常であっても、呼吸困難は呈す
なぜなら、息苦しさ(呼吸困難)の原因の全てが、動脈血酸素飽和度:SpO2値低下(血液中の酸素の量の低下)によるとは限らないため。例えば、心因性の呼吸困難である。パニック障害や不安障害などは呼吸困難をきたすが、動脈血酸素飽和度:SpO2値は正常の場合が多い。

 

 

 

 

 

問題45 一次救命処置で正しいのはどれか。

1.救急薬品を使用する。
2.胸骨圧迫を行う。
3.人工呼吸器をつける。
4.静脈ルートを確保する。

解答

解説

一次救命処置の手順

一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。

①安全確認と感染防御
②意識状態の確認
③協力者を集める
④気道確保・呼吸の確認
⑤人工呼吸2回
⑥胸骨圧迫式心マッサージ
⑦AEDによる除細動

※安全確認と感染防御が最優先だが、設問の選択肢にないので、次の段階で優先される選択肢を選ぶ。

1.3~4.× 救急薬品を使用する/人工呼吸器をつける/静脈ルートを確保するのは、二次救命処置である。
二次救命処置とは、病院などの設備の整った環境で、有資格者が行う救命処置である。二次救命処置は、医師や十分に教育訓練を受けた看護師や救急救命士などが、医師の指示の下で医療用補助器具や薬剤などを用いて行う。

2.〇 正しい。胸骨圧迫を行う
一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。

AEDとは?

自動体外式除細動器とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。AEDの除細動の適応は、①心室細動(VF)、②無脈性心室頻拍(VT)である。

 

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